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『トリプルX ネクスト・レベル』 さらにはあのスパイだって帰って・・・えっ別人?

B000FF6VOY.jpg『トリプルX ネクスト・レベル』(2005) XXX:STATE OF THE UNION 101分 アメリカ

監督:リー・タマホリ 製作:ニール・H・モリッツ、アーン・シュミット 製作総指揮:ロブ・コーエン、デレク・ドーチー、トッド・ガーナー 脚本:サイモン・キンバーグ 撮影:デヴィッド・タッターサル キャラクター原案:リッチ・ウィルクス 音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:アイス・キューブ、サミュエル・L・ジャクソン、ウィレム・デフォー、スコット・スピードマン、ノーナ・ゲイ、サニー・メイブリー、マイケル・ルーフ、ピーター・ストラウス、ジビット、ポール・コリンズ

 またもや世界が危機に陥った。もはやこれまでの従来型スパイでは手に負えない。そこで悪党には悪党をぶつける。そのために前作で活躍したあの男“トリプルX”が帰ってきた・・・
 って、前作では白人だったのが黒人になってる。しかも仏頂面のヒゲダルマ。
 まぁ、007シリーズでも何度か主演俳優は変わってるしなと思ったら、「あんた何が出来るの?前のトリプルXは色々できたよ。スノーボードにスカイダイビングにレースに・・・」、「で、そいつはどうした」、「・・・この間の任務で死んだよ」
 死んだのかよ、ザンダー・ケイジ!

 こんな設定のせいか全米での興業収益も今ひとつで、日本では劇場未公開のビデオスルー作品となってしまった。結構面白いのに。
 それもこれも全て、前作のトリプルXことザンダー・ケイジを演じたヴィン・ディーゼルが悪い。バカでお気楽な娯楽映画なんてうんざりだぜ。俺はすげぇ俳優なんだから、もっと演技力を必要とする作品にしかでねぇぜ。シェークスピア作品とかな。分かってる?そこんとこ。

 ヴィン・ディーゼルがそのようなことを考えていたかについては大きな間違いはないだろう。麻薬捜査官が家族を殺されたというアクション映画なのに、延々と主人公が悩み苦しむ様を見せられる『ブルドック』(2003)とか、前作の『ピッチ・ブラック』(2000)は低予算ながらアイディアの詰まったB級SFの佳作だったのを、無駄に金をかけて本人だけ観念的なつもりの単に意味不明というか頭の悪いSF大作にしてしまった『リディック』(2004)とか、散々たる状況である。
 そもそも、娯楽作品を下に見た時点でディーゼルの負けは決まったような物だ。映画はそもそも娯楽だ。娯楽映画こそ映画の基本だ。ちゃんと娯楽が出来ないはどこに行ってもしょせん2流だ。自己愛と自意識ばかり強い困った男である。あー、やだやだ。
 そしてどれもこれも失敗して、食うに困ったのかシュワルツェネッガーの『キンダガートン・コップ』(1990)の出来損ないでしかない(しかも『キンダガートン・コップ』自体が大した出来ではないというのに)『キャプテン・ウルフ』(2005)に手を出す始末。バカヤロ、娯楽は甘くねーっつーの。

 そこで二代目トリプルXを襲名したのがアイス・キューブ。この人、『ゴースト・オブ・マーズ』(2001)や『トルク』(2004)などでも渋くて格好いいという設定の人物をやっているが、アメリカ人にとっては実際にこの人はそうなんだろうか?
 どうもこの小太りでムスッっとした顔を見ると、荒井注を思い出してしょうがないのはオレだけだろうか。
 映画の前半で、アイス・キューブは収容されていた軍事刑務所から脱獄を試みる。銃で武装して後を追ってくる看守たち。
 刑務所の屋根に追い詰められたアイス・キューブは何を思ったか屋根からジャンプ。映像は「スローモーション、ション、ショーン」。もしかして諦めて身を投げたのか?
 次の瞬間、救助に来たヘリのバーにしがみついていて、無事に脱出するのだが、このスローモーションがコメディ映画のカットにしか見えなかった。うーん、本当に格好いいのかなぁ?
 映画『ストリートファイター』(1994)の主題歌も歌ってたよな、そういえば。本業はラッパーだってのはすっかり忘れてた。

 とりあえずもはやスパイ映画ではなく普通のアクション映画。そう割り切ってみればなかなか楽しい。この作品は見た目以上に低予算で作られてそうな感じだ。おそらくはセガール映画よりちょっと多いぐらい?そこを工夫と「CGってバレバレだけど、しょうがないじゃんか。金ねーんだから」という開き直りでカバーしている。
 そもそもはソニー・ピクチャーズが007シリーズに対抗して作られたという『トリプルX』。そのソニー・ピクチャーズが007の制作に関わってしまった今となっては、もはや続編が作られることはないだろう。
 その供養も含めて観るべし、観るべし。

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