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『電撃フリントGO!GO!作戦』 オンナにゃ強いし、空手も強い

B000KQFCC0.jpg『電撃フリントGO!GO!作戦』(1966) OUR MAN FLINT 108分 アメリカ

監督:ダニエル・マン 製作:ソウル・デヴィッド 原作:ハル・フィンバーグ 脚本:ベン・スター、ハル・フィンバーグ 撮影:ダニエル・L・ファップ 特殊効果:L・B・アボット 音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ジェームズ・コバーン、リー・J・コッブ、ギラ・ゴラン、エドワード・マルヘア、ベンソン・フォン、ジアンナ・セラ、ジェームズ・ブローリン

 007シリーズの世界的大ヒットで、柳の下を狙って模倣作のスパイ映画が山ほど作られた。
 そのほとんどは単なるエピゴーネンに過ぎず、今となっては忘れ去られ、今度も思い出されることなどない作品ばかりだ。
 だが、何事にも例外はある。この『電撃フリントGO!GO!作戦』は1966年の作品だから『007 サンダーボール作戦』(1965)と『007は二度死ぬ』(1967)の間の時期に製作された作品である。二番煎じを狙った低予算映画ではなく、かなり金も使い、スタッフも揃え、FOXがかなり本気で挑んだと思われる作品だ。特撮シーンもなかなかだし、音楽はなんとジェリー・ゴールドスミス。
 当時の007はコネリーボンドの時代で、まだリアリティ指向があったが、『電撃フリントGO!GO!作戦』はリアリティ無視の面白ければ何でもあり映画になっている。作風としてはムーアボンドの『私を愛したスパイ』や『ムーンレイカー』に似ているだろう。ある意味、先取りだ。

 世界中で異常気象がおきている。大型台風が発生したり、火山が噴火したり。今のところ犯行声明はないが、これらの現象には必ずなにか裏で操っているものがいるはず。
 そして、何台ものコンピュータでそれぞれ独自にこの事件解決に最適なスパイを選び出すのだが、どの答えもそろってフリントの名をあげた。
 このフリント(ジェームズ・コバーン)という男、MI6の0008を遙かにしのぐスーパースパイなのだが、スパイ稼業には興味が無く、ビルの1フロアを貸し切って4人の美女と優雅な生活を送っている。世界的な事件にも興味が無く、依頼を断り続けていたのだが、結局現場に引きづり出されてしまう。こうしてフリントの冒険が始まった。

 悪の組織は後半になってようやく登場する。3人の科学者によって管理されたその組織は、あるエネルギーによって極地の氷を自在に溶かしたり、休火山を噴火させて地震を起こすなど、気象を自在に操ることが出来た。そして彼らが要求してくるのは、全ての核兵器や軍艦、戦闘機などの軍事兵器の破棄と、ギャラクシーによる恒久平和的な世界構築であった。ちなみにその3人の科学者の名前とはカスパーとバルタザールとメルキオールである。(違うって)
 しかし、どんなに素晴らしい世界に思えても、絶対権力者が支配する世の中などいわゆるデストピアに過ぎない。この作品でもギャラクシーの手下たちは自由意志で働いているようで、実は薬物と洗脳で従っていたのだ。デストピア物としては、『1984』とか『華氏451』とか、出来は悪いが『リベリオン』とか、古くは『メトロポリス』とか『来るべき世界』あたりだな。社会風刺的なことを言うと、今の日本ってデストピアだよなぁ。ゴムバンドを口にくわえた芸人さん。そりゃユートピアだ。
 もはや世界の運命はフリントに託された・・・と思いきや死んでやんのフリント。
 しかし、実はフリントには驚くべき特技があってそこからまた大活躍が始まるのだが、その特技は観てからのお楽しみ。『ダイ・アナザー・デイ』でブロスナンボンドが同じ技を使っていたが、ひょっとしてオマージュか?

 ちなみに、007をモデルにしたとかもしれない0008(演ずる役者がちょっとショーン・コネリーに似ている)とは仲が悪いわけでもなく、安酒場で出くわしたときにケンカの振りをして情報交換をしている。お互いに認め合っている関係のようだ。0008は麻薬関係の事件を追っていて、フリントが「スペクターか?」と尋ねると「それは密売組織に過ぎない。製造元はギャラクシーという組織だ」という会話がある。うん、やっぱ0008は007だ。ちなみにトリプルオーエイトと読む。

 女好きで空手打撃系で戦うフリントが格好いい。ジェームズ・コバーンは背が高い上に手足が長い人なので一つ一つの技が格好いい。もちろん、1966年のハリウッド映画ではボクシングの格闘シーンならまだしも、空手系の撮り方や演出方法もまだ出来上がっていないし、監督のダニエル・マンがそこら辺に興味がなさそうな人なので、現在の眼でみるとつらいものはある。
 でも、ジェームズ・コバーンはスティーヴ・マックイーンなどと一緒にブルース・リーの元でジークンドーを学んだ一人だぞ。本気でジークンドーを極めようとかではなく、役者としての幅を広げるためなんだろうが、ブルース・リーの直弟子だ。

 そして今回のギャラクシー事件は無事に解決し、世界の平和は守られた。
 しかし、またいつ何時世界を危機に陥れる悪が現れるとも限らない。
 だが心配するな。我らがヒーローフリントは必ず帰ってくる。

「FLINT WILL RETURN IN “電撃フリントアタック作戦”」

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