« 『アルファヴィル』 元気です ありがとう どうぞ | メイン | 『ハロウィン』 お菓子か?殺人か? »

『ザ・フォッグ』(1979) 霧の中に復讐者がいる

B00005LK0C.jpg『ザ・フォッグ』(1979) THE FOG 90分 アメリカ

監督:ジョン・カーペンター 製作:デブラ・ヒル 製作総指揮:チャールズ・B・ブロック 脚本:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル 撮影:ディーン・カンディ 特殊メイク:ロブ・ボッティン 音楽:ジョン・カーペンター
出演:エイドリアン・バーボー、ジェイミー・リー・カーティス、ジャネット・リー、ハル・ホルブルック、トム・アトキンス、ジョン・ハウスマン、ジェームズ・カニング、チャールズ・サイファーズ、ナンシー・キーズ、タイ・ミッチェル、ダーウィン・ジョストン

 先日、2005年作のリメイク版について書いた。レンタル屋でオリジナル版を見つけたのでこちらも観直してみることにした。ガキの頃にテレビで放映しているのを観て以来だから下手すると20年以上振り。

 ある老人が子供たちに古い海難事故について話している。
 それは霧の深い晩のことだ。海の上で立ち往生していた帆船が海岸で焚かれた火を見つけた。どうやらたき火のようだ。それを目印に進んだ船は暗礁に乗り上げ、船の底には大穴が空いて沈んでしまった。助かった者は一人もいなかった。100年前の出来事だそうだ。

 港町が設立100年祭を祝っている最中、海から風に逆らって進む不気味な霧が押し寄せてくる。
 まずは海に出航していた漁船シー・グラス号が襲われ3人が死亡する。だが、悲劇はそこで終わらず、ついに霧は陸地へと上がる。
 窓を閉め、ドアに鍵をかけてもその隙間から忍び込んでくる霧。実体を持たず、いくらでも形を変え逃げても逃げても追ってくる。その霧の中に潜む殺人者の正体は100年の恨みを持った復讐者だ。
 一人、また一人と亡霊は住民を殺していく。奴らの目的は何なのか。

 2005年版について書いたときに、ある伝染病の存在を推測した。そしてこのオリジナル版ではセリフなどでよりはっきりと表現されていた。
 100年前の港町の人びとは、帆船の乗員が患っていた皮膚への変異を特徴とする伝染病を怖れた。そこで彼らを騙して土地を売るという契約を交わして財宝だけ奪い、事故に見せかけて彼らを船ごと海に沈めたのだ。
 霧の中から現れる亡霊が全身に包帯を巻いているのは、その皮膚病のためである。ついでにいうと、簡単なメイクで亡霊を作り出すことが出来るので予算的にもメリットがある。

 この作品では霧が街を覆うが、この霧であらゆる物が隠されてしまうので町中を巻き込んだパニックが最小限の描写ですむ。これまた金がかからない。
 霧の中から影のような亡霊が現れ、人びとを霧の中に引き込んでから殺す。目を覆いたくなるようなシーンは他の物と同じく霧に隠されて見えない。
 『ハロウィン』(1978)で得意とした血や暴力など直接的な残虐描写を排除しており、カーペンターにとっては新たなる試みだったのだろう。
 ラストは霧に追われて教会に逃げ込むのだが、てっきり町中の人間で溢れ返すのだと思ったら、集まるのは数人。
 出演者は少ないが、カーペンターとはすでに『ハロウィン』で一緒に仕事をしているジェイミー・リー・カーティスに、彼女の実母である『サイコ』で有名なジャネット・リー。神父役にはハル・ホルブルックとツボを押さえた配役だ。
 灯台をラジオ局として使っている女性DJが、下からじわじわと上ってくる霧に追い詰められてついには灯台の屋根に登って行くシーンがお気に入り。

 低予算で雰囲気のあるゴシックホラーを作り上げてしまうのだから、やはりジョン・カーペンターは才気溢れる三流監督だ。この場合の三流は褒め言葉。良い監督は一流か三流だ。ダメなのは二流。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/4647

コメント (2)

宇都城久:

 いつも楽しく拝見しています。
 『ザ・フォッグ』は昭和54年だか55年の初公開時(当時は大学生)に見ました。『ハロウィン』以来 J・カーペーンターの大ファンで、『遊星からの物体X』『スターマン』『パラダイム』『ゼイリブ』等 ほとんどの作品を見てきましたが、最近は目立った活躍がないので残念です。
 『ザ・フォッグ』のリメイク版は未見ですが、『要塞警察』がリメイクされたり、『物体X』にリメイク(リ・リメイク?)の動きがあるなど、才能のある作家なのだろうなと思います。
 ところで、私が『ザ・フォッグ』が好きな理由のひとつがA・バーボーの胸の谷間にあって…

東森時音:

宇都城久さん

若手監督だ若手監督だと思っていたカーペンターもそろそろ60歳。気がつけば古株なんですね。
『遊星からの物体X』の再映画化はかなり固まったようですが、制作だけではなくぜひとも監督もやってもらいたいところです。

>ところで、私が『ザ・フォッグ』が好きな理由のひとつがA・バーボーの胸の谷間にあって…

カーペンター作品に登場する女性ってグラマラスなタイプが多い気がします。監督の趣味なんでしょうか。

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません