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『エネミー・オブ・アメリカ』 盗聴・盗撮・尾行

B0009Q0JZ6.jpg『エネミー・オブ・アメリカ』(1998) ENEMY OF THE STATE 132分 アメリカ

監督:トニー・スコット 製作:ジェリー・ブラッカイマー 脚本:デヴィッド・マルコーニ 撮影:ダン・ミンデル 音楽:トレヴァー・ラビン、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:ウィル・スミス、ジーン・ハックマン、ジョン・ヴォイト、リサ・ボネ、レジーナ・キング、バリー・ペッパー、ガブリエル・バーン、ジェイソン・リー、スチュアート・ウィルソン。ローレン・ディーン、イアン・ハート、ジェイク・ビューシイ、トム・サイズモア、スコット・カーン、ジャック・ブラック、ジェイミー・ケネディ、ジャッシャ・ワシントン、フィリップ・ベイカー・ホール

 各家庭に電話が引かれ、個人が携帯電話を持ち歩くようになった現代。もしも政府がそれら情報技術を利用して個人を監視し追跡したらどうなるか。予想を超える怖ろしさが描かれた作品だ。

 主人公のウィル・スミスは弁護士。妻にクリスマスプレゼントを買おうと立ち寄ったランジェリーショップで偶然出会った古い知人から知らないうちに携帯ゲーム機であるNECのPCエンジンGTをバッグに入れられる。知人はその直後に車に轢かれて死亡。動揺を隠せないウィル・スミスだが、それはほんの始まりに過ぎなかった。
 ゲーム機に差し込まれたPCカードには国家安全保障局(NSA)による要人殺害の現場ビデオが記録されており、ウィル・スミスがそのデータを持っていることに気づいたNSAは彼から職や財産を奪い、孤立させて脅迫する作戦を取ってくる。
 アメリカ合衆国を敵に回した男は翻弄されるが、NSAの情報局員だった元エージェントと出会い、彼の力を借りて反撃に出る。

 トニー・スコットの手腕が冴える作品で、132分と長目だが冒頭からラストまでだれることなく観ることが出来る。
 NSAは電話や携帯電話の回線を片っ端から盗聴し、部屋の中に仕掛けたビデオカメラや、コンビニなどの店にある監視カメラの映像も入手し、遥か上空からはスパイ衛星で撮影する。クレジットカードは停止され、銀行口座も凍結される。誇張された部分ももちろんあるのだろうが、政府という強大な相手を敵に回す怖ろしさがひしひしと伝わってくる。
 じっくりと考えるよりもひたすら疾走し続ける系統の作品で、マフィアが経営するレストランでの銃の突きつけ合いで緊張度は最大に達する。同じトニー・スコット監督(脚本はクエンティン・タランティーノ)の『トゥルー・ロマンス』のラストも同じような構図であった。

 オレの生活だって、電話と携帯電話、それから電子メールを傍受されると交友関係から趣味、思想などのかなりの部分がばれてしまう。あんたなんか盗聴してどうするのと思うだろうが、その相手を選ばないのがハイテク技術の怖さだ。いや、すでに監視されているのかもしれない。
「そこに隠れているのは分かってるぞ。出てこい」と叫んだら、押し入れから人が・・・

 ジーン・ハックマンにジョン・ヴォイト、ガブリエル・バーンなど曲者俳優が脇を固めてリアリティを高めている。ウィル・スミスのテンションも抑えめ。

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コメント (2)

オンリー・ザ・ロンリー:

新作をほとんど知らない私にはこの作品、驚愕の一言。劇場公開もちろんあったんでしょうね。ウイル・スミスも知らなかった。うーん、浦島太郎。「トゥルー・ロマンス」ってもしかしてピッドがチンピラ役で出た?。同じ監督・脚本なんだ。納得。

東森時音:

オンリー・ザ・ロンリーさん

社会派的な面と娯楽映画が上手く溶け合っていてトニー・スコットの手腕を感じさせます。
ロンドンの自爆テロ事件ではバスの中や地下鉄内や道路などに設置された隠しカメラの映像が公開されていて、こんなにあちこちにあるのかと驚きましたが、私たちが知らないだけで日本も東京などはそれに近い状況になっているのではないでしょうか。携帯電話もGPS搭載が義務化されたそうで、持って歩いている限り、その人がどこにいるか権力側が調べようと思えばあっという間に丸裸。車で移動すればNシステムでナンバーを読み取られていつどこを走っていたのかこれまた丸裸。「悪いことをしなければ関係ないじゃん」という人もいますが、本当はかなり怖ろしい事態ではないかと。携帯電話のメールはサーバー側で1ヶ月ほどの間は保存されているそうですね。事件に備えてなどの理由はあるそうですが、電子データですから内容の検索も簡単で、例えば今なら「チベット」を含むメールをリストアップしてその人の思想をチェックすることも簡単。
ジーン・ハックマンは『カンバセーション…盗聴…』(1973)の主人公のその後を思わせます。あれも怖い映画でした。
『トゥルー・ロマンス』にはブラッド・ピットがちょっとだけ出てました。書き方がまずくて両作品ともクエンティン・タランティーノ脚本と読めてしまいましたので修正しておきました。脚本はそれぞれ別の人です。

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