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『007 007は二度死ぬ』 笑点の座布団運びの法則

B000IU38K6.jpg『007は二度死ぬ』(1967) YOU ONLY LIVE TWICE 117分 イギリス

監督:ルイス・ギルバート 製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:ロアルド・ダール 撮影:フレディ・ヤング 音楽: ジョン・バリー テーマ曲:レスリー・ブリッカス 主題歌:ナンシー・シナトラ
出演:ショーン・コネリー、若林映子、浜美枝、丹波哲郎、ドナルド・プレザンス、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン、カリン・ドール

 世界的大ヒットを飛ばす007シリーズがついに日本上陸。上陸と言っても映画が上映されたのではない、日本ロケである。117分の作品時間のほとんどが日本を舞台にしたシーンになっている。屋内シーンなんかはロンドンのスタジオで撮影された部分が多いようだが。

 まず最初に言っておくが、日本を舞台にしたり題材にした映画について、やたらと「これは間違っている。こんなの日本ではあり得ない。うんぬんかんぬん」と文句を言う人がいるが、制作者たちは正しい日本の姿を海外に知らしめるために映画を撮っているのではない。日本という東洋の国が持つオリエンタリズムに魅力を感じて題材にするのだ。だから、デフォルメされていて当たり前。それを言い出したら日本が撮った外国が舞台の映画やテレビドラマだってかなりいい加減だぞ。
 娯楽作品なんだから肩の力を抜いて楽しみましょうや。

 映画は宇宙から始まる。衛星軌道を飛行中のアメリカの宇宙船を謎の大型宇宙船が飲み込む。後のシーンではソ連の宇宙船が飲み込まれて同じく消息を絶ち、それぞれに相手の国の陰謀だとなじり合い、このままでは米ソの直接戦争は避けられない。
 謎の宇宙船が着陸したのが日本。だが頭に血が上った米ソ両国はそれを信じず、唯一イギリスだけが日本へと捜査に乗り出す。送り込まれたスパイはもちろんジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)。

 番傘のシルエットと噴火する火山、そして髪を結った女性によるオープニングタイトルバック。主題歌を歌うナンシー・シナトラはフランク・シナトラの娘だ。
 日本に向かう潜水艦の中でMの秘書マネーペニーがボンドにインスタント日本語という日本語のアンチョコを渡すが、日本語はケンブリッジで習ったからとボンドは自信ありげだ。その割に、日本語を話すシーンはほとんどないし、発音も何言ってんだか?だったりする。
 東京の夜景は『アサヒビール』を始めとしたネオンサインの山また山。ひょっとしたら『ブレードランナー』に影響を与えているのかも知れない。
 ボンドが真っ先に訪れるのは蔵前国技館。当時の大相撲横綱本人が登場し、ボンドとちょっとばかりやり取りがある。国技館では大相撲の真っ最中で、席は満席だ。よくそれだけエキストラを集めた物だと思うが、今もしも007シリーズの日本ロケがあってエキストラを募集したら、東京までの交通費や滞在費を出しても東京まで行くな、オレ。
 日本の秘密警察地下基地でタイガー・田中が登場。演ずるのは先日亡くなられた丹波哲郎。堂々とした物腰で、当時人気絶頂だったショーン・コネリーと一対一の芝居でも何ら臆した感じはない。
 今作のボンドカーはトヨタ2000GTだ。といってもボンドはハンドルを握らず運転するのは若林映子である。ナンバープレートが2000のこの2000GTは映画用に特別に作られたオープンカーである。本来はコンパーティブルが用意されていない車種なので、トヨタも力を入れて協力したのだろう。たしか格好良くてにこれは良い宣伝になる。
 敵と思われる大里化学に侵入した後は、タイガー・田中宅で田中と一緒に風呂に入るボンド。『クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』(1999)で丹波哲郎演ずる温泉の精が「ジェームズ・ボンドと風呂に入ったことがあるんだ」とか言ってるが、それはこのシーンのことだ。
 今でこそ日本でも『007』は『ダブルーオーセブン』と発音されるが、当時は『ゼロゼロセブン』と呼ばれていた。それもあってか、タイガー・田中との無線通信ではボンドのことを『ゼロゼロ』と呼んでいる。
 大里化学を追っている内に、舞台は東京から神戸の港へ。そこで人足たちに襲われるが、その中の1人が笑点の座布団運びだった松崎真。現在の座布団運びである山田隆夫は『太陽の帝国』でトラックを運転する旧日本兵として登場していたが、どうやら笑点の座布団運びは世界的規模の大作映画に出演できるという法則があるようだ。

 そしてもちろんQも登場。組み立て式オートジャイロ「リトル・ネリー」を持って来日する。屋内シーンだけかと思ったら、オートジャイロが飛び立つ屋外シーンでもいるのでちゃんと来日して撮影されたようだ。
 阿蘇山火口(映画内の設定では阿蘇山ではなく架空の山)近く、を飛んでいたボンドはヘリコプターの集団に襲撃されるが、これを撃退する。どうやら敵の秘密はこの火山にありそうだと見当を付ける。そして事実、スペクターの秘密基地はその火山の中にあった。基地には猫を膝に抱いたブロフェルドがいた。ここではまた胸までしか映らず、顔は見えない。
 姫路城ではタイガー・田中の部下である忍者たちが訓練中。壁に立てかけた人型の的に手裏剣を投げるシーンでは、的から外れた手裏剣が壁を傷つけかなり怒られたらしい。そりゃそうだ。
 そしてボンドは日本人の漁師に変装し、島へと潜入するが、どこをどう見ても日本人には見えない。これでは逆に怪しいだろ。
 そして偽装結婚をする相手が浜美枝。英語はあまり得意ではなく撮影では苦労したそうだ。
 新婚という設定で家に着いて、食事に生牡蠣を出されるが「体に毒だ」と食べない。別にこのところ流行っているノロウイルスによる食中毒を怖れてのことではなく、牡蠣は精が付くといわれているので、浜美枝と同衾できないなら「無駄に精力が付いてはかえって毒だ」ってこと。宇宙船消失の謎を解きに来たのか、女性といちゃつきに来たのかどっちだまったく。

 スペクターの火口基地に忍び込んだボンドは発見され、No.1ことブロフェルドとついに対面することになる。ようやくと顔が映ったブロフェルドを演ずるのはドナルド・プレザンス。『大脱走』で偽造屋をやっていた人で、良い役者だと思うが大悪党ブロフェルドのイメージとはちょっと違う気もする。
 そしてアメリカの宇宙船がまた強奪される直前にタイガー・田中と忍者軍団が基地を強襲し激しい戦いに。スペクターのオペレーターをやってるのは『ピンク・パンサー』シリーズでクルーゾー警部の召使いケイトー役だった人だよな?

 かくして阿蘇山は大噴火するが、スペクターの野望は打ち砕かれ米ソ戦争の危機は去った。
 だが、世界はまだ平和ではない。

「JAMES BOND WILL BE BACK "ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE "」

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