『007 ダイ・アナザー・デイ』(2002) DIE ANOTHER DAY 133分 アメリカ/イギリス
監督:リー・タマホリ 製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン 原作:イアン・フレミング 脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、撮影:デヴィッド・タッターサル 音楽:デヴィッド・アーノルド テーマ曲:モンティ・ノーマン 主題歌:マドンナ
出演:ピアース・ブロスナン、ハリー・ベリー、トビー・スティーヴンス、ロザムンド・パイク、リック・ユーン、ジュディ・デンチ、ジョン・クリーズ、マイケル・マドセン、ウィル・ユン・リー、ケネス・ツァン、エミリオ・エチェバリア、コリン・サーモン、サマンサ・ボンド、マドンナ
007シリーズもついに21世紀に突入したシリーズ第20作目。
オープニングタイトルの「ガン・バレル」でボンドが放った銃弾がバレルに飛び込む。お前は『マトリックス』か。
海からサーフィンで北朝鮮に潜入するボンドたち。ちなみにこの作品はフィクションで、実在する人物・地名とは一切関係ありません。
サーフボードの中から取りだした誘導装置でヘリの進路を変更し、自分たちがいる地点に着陸させる。ヘリを強奪、乗っていた白人に成りすましたボンドと部下が乗り込み、そのまま本来の到着地点へ向かう。着いたのは非武装地帯にあるムーン大佐の基地だった。
ヘリを降りたところで知らぬうちに写真を撮られ、解析にかけられる。アタッシュケースに入っていたのはアフリカから密輸出されたダイヤだった。ムーンはオックスフォードとハーバードで学んだ。「西洋の偽善」について学んだそうだが、高価なスポーツカーをコレクションしている自己矛盾を抱えた男だ。
ダイヤと交換するのは武器。非武装地帯の地雷原の中に隠してある。そこをホバークラフトで行き来する。
ムーンの部下ザオが写真による検索でボンドの正体を見抜く。というかこれまで作品では見抜かれなかったのが不思議だ。
『ゴールデンアイ』の頃と比べるとブロスナンも渋くなった。あるいは老けた。顔に細かいしわが目立つ。
捕まりそうになったところをダイヤの入ったアタッシュケースに仕掛けておいた爆弾を爆発させ、隙を作ってホバークラフトを奪い逃走。
ムーン大佐や部下もホバークラフト軍団で追いかけてくるが、単にカーチェイスの変種で、ホバークラフトならではのアイディアはないのが残念。
追跡劇の末、滝から落ちるムーン大佐。ボンドはムーンの父ムーン将軍に捕まり、拷問を受ける。
その拷問のままオープニングへ。主題歌はマドンナ。なかなか面白い曲だ。
14ヶ月後 牢獄から連れ出されたボンドはムーン将軍の前に引き出される
「お前は国に裏切られたのに何故口を割らん。西側での息子の協力者は誰だ。」だがボンドは答えない。
そして外へ連れて行かれる。銃殺かと思っているボンドだったが、ザオとの捕虜交換で解放される。
西側に戻ったボンドは麻酔薬を打たれ、医療施設に監禁されれあれこれと検査された。体内に残留した薬物を調べると、サソリの毒が検出された。サソリに刺させては解毒剤を打って回復させ、また刺させると、過酷な拷問を繰り返したようだ。
Mとの面談。「あなたの代償は高すぎた。中韓首脳会談の会場に爆弾を仕掛け3名の中国人諜報員を殺害したザオとの引き替えだったから。でも、北朝鮮に潜入していたアメリカの諜報員が一週間前に殺された。密告の情報はボンドがいた収容所からだった。アメリカはボンドが拷問に耐えきれず話したのだとうと推測。そこで人質交換でボンドを解放した」
ボンドは、ザオを取り戻すために自分を利用し、情報を漏らして人質交換に持ち込んだろうと主張。
だがMはボンドを再教育施設に送り、00ナンバーも取り消すと告げる。
瞑想で心臓を止め、医者が蘇生措置に来たところを利用して脱走するボンド。そこは船の上で、香港港の中だった。中国スパイの協力を得て、ザオが潜むキューバへと向かう。
葉巻屋の看板を上げたキューバのスパイを訪れてザオの情報を得る。
ザオはオス・オルガノス島にいる。そこには遺伝子治療専門のアルバレス病院がある。高額な治療報酬で寿命を伸ばす治療などを行っているようだ。
島への船便が出る桟橋のあるホテルで、ボンドはジンクスという名の黒人女性に会う。奇妙に惹かれ合う二人だった。
ボンドは病院に向かう船にジンクスも乗っていることを見つける。
院長がジンクスにDNA組み替え治療の概略を説明している。患者の骨髄を殺してDNAを白紙に戻す。続いてドナーの健康なDNAを注入する。ドナーはホームレスや行方不明者などだから事件にはならず安心だ。それだけ話すと院長はジンクスによって射殺される。
コンピュータをチェックしていたジンクスは、白人に遺伝子整形するザオのファイルを見つける。
ボンドは治療中のザオを発見。黒幕が誰かを聞き出そうとするが乱闘になる。何度もザオに向けて発砲するが擦りもしない。やはりボンドは射撃が下手だ。
ザオが残していった物は数個のダイヤモンド。成分によると通称が禁じられたセラレオナ産だが、刻印ではアイスランドのグレーブス社の製品となっている。アイスランドで採掘されたダイヤがアフリカの禁輸品と同じ物。グレーブス社はどこか匂う。
女王陛下からグレーブスにナイトの称号が贈られることになり、式典のためにグレーブスがロンドンに現れる。
グレーブスは有能だが記者会見の場にパラシュート降下で現れるなど派手なパフォーマンスが好きで、他人を下に見た感じの男である。
グレーブスを追ってフェンシングの練習場に現れたボンドはベリティ(マドンナ)に会う。
クラブ一の達人はグレーブスの広報担当として働いているミランダ。シドニーで銀メダルを取った女性だ。ボンドはベリティにグレーブスに紹介してもらう。
賭試合専門のグレーブスは一本1000ポンドで賭を申し込む。はじめは普通のフェンシングをやっていた二人だが、途中から頭に血が上って真剣で勝負を始め、建物の中はしっちゃかめっちゃか。グレーブスに勝ったボンドは、アイスランドでのイカルスの発表会に招待される。
今は使われていないロンドン地下鉄の駅にMI6の秘密アジトがあった。
そこでボンドはMとグレーブスについて情報交換をし、現場復帰を許される。
自分のデスクでワルサーP99を掃除しているボンド。なにやら怪しげな雰囲気を感じる。廊下に射殺された職員が転がり、マニーペニーも殺されている。現れる敵を次々に撃ち殺していく。Mが人質になり盾にされているが、ボンドはMを撃ち、ひるんだ敵を冷静に射殺する。実はバーチャルリアリティでの訓練。訓練だとボンドの弾はよく当たるようだ。
倉庫には昔使った秘密兵器の数々が保管されている。ワニ型ボート、ジェットパックなどなど、懐かしいね。
Qが新型の車だといって現れた台車にはなにも乗っていない。ついにイカれたかと思いいきや、『プレデター』のエイリアンや『攻殻機動隊』のような光学迷彩を実現させたアストン・マーチンなのだ。その他にはイジェクトシートにロケットランチャー、自動追尾式マシンガン。
そしてMのデスクの前に座ったのはミランダ。彼女はMI6のエージェントだったのだ。暗号課上がりでグレーブスに近づいて3ヶ月になるが収穫はなく、彼は白だと主張する。
アイスランドにある氷の宮殿は巨大なオープンセット。そこにはジンクスの姿もあった。
主催者のグレーブスの元にザオが現れる。グレーブスはDNA整形で白人になったムーン大佐だったのだ。
発表会のセレモニーでグレーブスはイカルスについて宇宙に打ち上げた大型衛星で、パラボラ状の巨大な鏡を広げる。そして光を反射して地球を照らしものだと説明する。イカルスの光りで暗闇のアイルランドの会場が昼間のように明るくなる。
イカルスのコントロール装置を持ったグレーブスの部下を追って、宮殿の裏側を外からのぞき込むボンド。見張りに発見され逃げだし、途中でミランダが彼を助け、自らもMI6であることを話す。
研究所のドームに進入したジンクスはそこでザオを発見、だがグレーブスに捕らえられ、台に縛り付けられてレーザーで細切れにされそうになる。
ボンドは水中からドームに侵入。危機一髪のところでジンクスを助ける。
ジンクスの正体はNSA国家安全保障局だった。そしてジンクスの話からボンドはグレーブスの正体がムーン大佐だったことに気づく。
ボンドは乗り込んでいってグレーブスと対面し武器を突きつける。続いてミランダが現れてグレーブスに銃を突きつける。
だがグレーブスは余裕の表情で「ところで、だれが北朝鮮でお前を裏切ったか分かっているか。意外と身近にいるかもしれんぞ」と笑う。
怪しむ間もなく銃をボンドに向けるミランダ。ボンドはミランダを撃とうとするが、ミランダが昨夜銃に細工をしていたため弾が出なかった。
ガラスで出来た床を高振動式破壊装置が付いた指輪で砕いたボンドは、表にあったロケットカーで逃亡する。イカルスからの熱光線で殺されたかに見えたボンドだが、ロケットカーの部品とブレーキ用のパラシュートでパラサーフィンを作ってかろうじて脱出。ジンクスを救助するため宮殿に戻る。
警備の人間に見つかり、アストン・マーチンに乗ったボンドは、バルカン砲などで武装したザオのジャガーXKRと氷上をカーチェイスを繰り広げ、ついには宮殿内に突入する。
氷の宮殿の一室に閉じこめられていたジンクスは氷が溶ける水に飲み込まれて溺死してしまう。だが水温が極端に低かったためボンドが蘇生に成功。
二人は韓国非武装地帯にある米軍司令部へ到着する。
北朝鮮側の非武装地帯に8万の兵が集合している。さらに100万の予備軍がいる。ムーン将軍はクーデターにより囚われの身となった。
北朝鮮軍はイカルスで地雷原の地雷を破壊して、安全になったところを進行してくるのだ。だが、イカルスはアメリカが対衛星兵器で破壊するとファルコが言う。
グレーブスは北の飛行場にいる。北にはいることは出来ないが、ボンドとジンクスは強引に進入作戦を実行する。
対衛星ミサイルがイカルスに迫るがイカルスの熱光線で破壊されてしまう。
もはや頼りは二人のみ。
グレーブス一味はジェット機で飛び立ち、その飛行機に密航する二人。
ムーン将軍の前にいたのはイカルスコントロール装置をウェブラブルに改良して身にまとった白人グレーブスだった。ムーン将軍は自分の息子だとは認めない。
そこでグレーブスは父に教わった兵法を語る。「戦に優れたる者は勝利の後にもさらなる戦に挑む」孫子の兵法だ。
イカルスを始動させ、次々に非武装地帯が火の海に飲み込まれる。地雷原がなくなれば、あとは兵士を韓国に送り込んで半島を統一し、さらに日本など他国も侵略してさらなる力を手に入れようというのだ。
穏健派のムーン将軍は過激なグレーブスを受け入れず、結局グレーブスは父を殺す。
そこにボンドが登場するが、誤射で期待の壁面に穴が開き、外に吸い出されていく手下や北朝鮮の将軍たち。
機内ではジンクス対ミランダの刀による戦いと、ボンド対ジンクスの格闘戦が繰り広げられ、ミランダは心臓をナイフで刺され、グレーブスはジェットエンジンに巻き込まれて死ぬ。二人はハーバードで同じフェンシング部に所属しており、その縁がこの事件の発端だったとも言えるのだろう。
制御不能になって墜落していくジェット機から、二人は貨物室に積まれていたヘリで自由落下のまま脱出する。
なかなかエンジンがかからない。刻一刻と近づいてくる地面。再度エンジンをかけようとするが無反応。このままピザのように真っ平らになって死ぬのか?もちろんギリギリでエンジンが始動し、無事大空を飛ぶ。100%そうなるとわかっちゃいるけどハラハラしてしまうのは何故だろう。
マニーペニーが書類仕事をしているところにボンドが。熱烈なキスをするボンド。20作目にしてついに一線を越えてしまうのかっ!と思ったら訓練用のバーチャルリアリティ装置でマニーペニーが架空のロマンスに耽っていたのだ。でも、マニーペニーは確実にボンドに気があるのだが、決して直接的にはアプローチしない物だったのだが。これも時代の変化か。
その頃、韓国の野原にある庵でボンドとジンクスはランデブーの真っ最中だった。
監督のリー・タマホリは『ザ・ワイルド』(1997)や『スパイダー』(2001)などを取っていた中堅監督で今回の起用は大抜擢と言っていいだろう。アクションシーンの演出は前作のマイケル・アプテッドよりかなり上手く、アクション的にはだれる部分は少なかった。
その反面、人間ドラマの書き方は下手で、父親にコンプレックスを持っていて、祖国のために大きな事をやることで認められたいというグレーブス(ムーン大佐)と、その方向が間違っていることに気づきながらも直してやることが出来ず、結局は息子を拒否してその息子当人の手で殺されてしまうムーン将軍の父息子の葛藤が上手く描かれていなかった。その後、駄作『トリプルX ネクスト・レベル』(2005)を撮ったがこれはつまらなかった。今後もあまり期待できそうではない。
これまでのボンドガールはボンドに守ってもらったり、ボンドを裏切ったり、戦いでボンドのバックアップになったりはしたが、今作のジンクス(ハリー・ベリー)は『トゥモロー・ネバー・ダイ』でのミシェル・ヨーと同じく、ボンドと並んで同じレベルで戦う女性戦士だ。ボンド顔負けというか、分野によってはボンドより有能な部分もあるだろう。
ハリー・ベリーといえば『チョコレート』でアカデミー主演女優賞を受賞したが、その授賞式があったのはこの作品の撮影最中のこと。受賞以降、ハリー・ベリーの知名度は上がり、ギャラもアップしただろうから、この作品は良い時期に契約したものである。オレはこの作品でハリー・ベリーを見て、「あれ?エグゼクティブ・デシジョンのフライトアテンダントじゃないか」と思った程度だった。
もう一人のボンドガールミランダの方は正直さえない。主人公を裏切る悪女としてのボンドガールは前作『ワールド・イズ・ノット・イナフ』でソフィー・マルソーが最高の物を見せてしまったので、どうやっても分が悪い上に、演ずる女優が下手で終盤の悪女振りも様になっていない。
ブロスナンは4作契約と言うことで、今後はどうなるかと思ったが、契約の延長はなくダニエル・クレイグが引き継いで『カジノ・ロワイヤル』が制作された。
歴代ボンドの中で一番走るシーンが多かったように思う。過酷な撮影もあったようで、お疲れ様でした。
太陽光線を集中させて地上に放射するイカルスという衛星兵器は007シリーズらしいうさんくささだが、南北朝鮮問題という実在する問題を全編で扱っている。なんというか、007シリーズにこの手の重いテーマは似合わないのではないだろうか。別にジョン・ル・カレの原作を映画化しようって言うんじゃないんだから。
ここまでの20作は全てDVDになっている。オレが持っているのは以前出ていた特別編なのでブロスナン以外作品は吹き替えなしだが、今出ているアルティメット・コレクションは前作吹き替え入りだチクショー。しかも20作入りのボックスだとたったの¥48,750だコンチクショー。オレはBOX1(¥24,800)、BOX2(¥19800)、BOX3(¥19800)で買ったぞ、さすがに定価ではなく10%引きぐらいだがそれでも金額は大違いだ、テラチクショー。しかも当時は『007 ダイ・アナザー・デイ』は出ていなかったので、単品買いだ、オメガチクショー。

しかも『007アルティメット・コレクション BOX』は収納用アタッシュケース付き。
欲しいなぁ、買わないけどさぁ。ふんっ、どーせ次世代メディアでまた出るんだろ。今はソニーが版権を持ってるからBDか。
「JAMES BOND WILL RETURN」