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2006年12月 アーカイブ

2006年12月01日

『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』 テッテ、テケッテテ ポン!

sml_59690006_1.jpg『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』(1993) SUPER MARIO BROS. 105分  アメリカ

監督:ロッキー・モートン、アナベル・ヤンケル 製作:ジェイク・ロバーツ、ローランド・ジョフィ 脚本:エド・ソロモン、パーカー・ベネット、テリー・ランテ 撮影:ディーン・セムラー 編集:マーク・ゴールドブラット 音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:ボブ・ホスキンス、ジョン・レグイザモ、デニス・ホッパー、サマンサ・マシス、フィッシャー・スティーヴンス、リチャード・エドソン、フィオナ・ショウ

 任天堂が生み出した世界的ゲームキャラクター「マリオ」が映画になった!
 たしか新宿は歌舞伎町の映画館で観た記憶がある。
 ボブ・ホスキンスが口ヒゲに赤のツナギを着て、そのまんまマリオのポスターを見ててっきりバカ映画だろうと思ったら、世界観からしっかり作られた本格的作品だったので驚いた。
 後になって監督が『マックスヘッドルーム』の人だと知って納得した。クッパ(デニス・ホッパー)が支配する地下世界のダークな雰囲気が、『マックスヘッドルーム』の未来世界とどこか似ている。

 邦題は『スーパーマリオ』だが原題は『SUPER MARIO BROS.』となっている通り、ちゃんと弟のルイージもいる。兄弟で配管工をやっているという設定で、マリオの赤、ルイージの緑のツナギは作業用の制服だ。二人にあの服装をさせるためにあれこれ設定を考えたに違いない。
 それとも、ゲーム自体が配管工という設定か?ゲーム『スーパーマリオブラザーズ』には地下に通じる土管とか下水のような空間があるしな。
 ヒロインの名前はピーチ姫からデイジーに変更。マリオではなくルイージの恋人という設定だったかな?予告編でルイージが「デイジー!」と叫んでいた気がする。
 そして悪の怪物クッパ大王を演ずるのは我らがデニス・ホッパー。この人も仕事を選ばない人だ。生き残った恐竜が進化して地底に帝国を作っていて、その親玉がクッパ大王。普段は人間形態だが終盤には恐竜に変身。威勢良く大暴れだ。
 クッパ大王やその手下たちを、武器で武装してやたらとジャンプできるシューズを履いたマリオとルイージがばったばったとなぎ倒す。ここら辺はちゃんとゲームを再現してくれている。
 あまり役には立っていないが小型恐竜のヨッシーも登場する。ちょっと造形がリアルすぎ。

 個人的推奨年齢は割と高め。小学校高学年ぐらいでないと退屈するかも知れない。
 この文章を書くために10数年ぶりに観直そうと思ったが、レンタル屋にはビデオしかなかった。どうやらDVDにはなっていないようだ。このところビデオデッキの調子が悪くて、具体的にはテープの下側を巻き込んでヨレヨレにしてしまうことがある。自分のテープならともかく、借りてきたテープを痛めてしまってはいけないのであきらめた。
 今さらビデオデッキを買ってもなぁ・・・と思案中。

2006年12月02日

『ストリートファイター』(1994) ストIIコスプレ大会inタイランド

B0009J8EG4.jpg『ストリートファイター』(1994) STREET FIGHTER 102分 アメリカ

監督:スティーヴン・E・デ・スーザ 製作:エドワード・R・プレスマン 脚本:スティーヴン・E・デ・スーザ 撮影:ウィリアム・A・フレイカー 音楽:グレーム・レヴェル
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ラウル・ジュリア、ミンナ・ウェン、ウェス・ステューディ、バイロン・マン、ダミアン・チャパ、ロシャン・セス、カイリー・ミノーグ、澤田謙也、ロバート・マモーネ、ジェイ・タヴァレ、グレッグ・レインウォーター、アンドリュー・ブリニアースキー、ピーター・トゥイアソソポ、ミゲル・ヌネズ・Jr、サイモン・キャロウ、グランド・L・ブッシュ

 前回紹介の『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』はバカ映画かと思って観に行ったら意外にしっかりした本格的な映画だった。そして『ストリートファイター』はジャン=クロード・ヴァン・ダム主演と言うことでド派手な格闘アクション映画かと思って観に行ったらバカ映画だった。

 監督と脚本は『ダイハード』の脚本家スティーヴン・E・デ・スーザ。さすがに頭を使いしっかりと書き込まれた脚本だ。ただし、その力のうち92.48%はいかにキャラクターたちにゲームでの服装をさせるかに使われている。そういえば『バトルランナー』の脚本家でもあるのか・・・
 原作はカプコンの格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズ。登場するキャラクターからすると『ストリートファイターII』の系統だろう。ゲーム中では白や赤の胴衣はまだしも、チャイナ服や相撲取り、腰に巻いた下着だけのインド人などが登場する。映画では最初はみんな普通の服装だ。それをどうやってコスプレ衣装にもっていくかが見所である。

 一番極端な例であるダルシムについて説明しよう。ダルシムとは先ほど紹介した腰巻きと首輪・腕輪だけを身につけたインド人で、ゲームではヨーガの修験者ということになっている。
 映画では修験者ではなく科学者だ。ダルシム博士である。当然裸同然のスタイルではなく、白い服を着ている。バイソン将軍に捕らえられて研究を強要されており、首かせ・手かせを鎖で繋がれている。演じているのはベン・キングスレーにちょっと似ていなくもないインド系の俳優で、ちゃんと髪の毛もある。
 それが終盤の騒動に巻き込まれて火災に遭い、服は焼け髪も燃えてスキンヘッドとなってしまう。首かせ・手かせは金属製なので燃えずに残っており、ほーらちゃんとゲームと同じ格好に。スティーヴン・E・デ・スーザの見事な手腕である。
 アメリカ映画と言うことで主人公はヴァン・ダム演ずるガイルに変更。ゲーム中の得意技サマーソルトキックもちゃんと使う。バク転しながら蹴るというこの技は、思えばヴァン・ダムのスクリーンデビュー作である『シンデレラボーイ』で悪役をやったときに、主人公の少年ジェイソンに決め技として食らわされた物だ。それをヴァン・ダムが主人公として使う日が来ようとは。ファンにとっては感慨深いものがある。
 春麗がちょっとオバサンになっていて可愛くない。代わりにキャミーが可愛いからいいか。ロシア人レスラーのザンギエフもバカで可愛い(?)。ダイナマイトを積んだトラックが自陣地に突っ込んでくるのをモニターで見ていて「チャンネルを変えろー」と叫んで、まわりの連中に「バカ?」って目で見られている。さらにはバイソンのイカれた演説に本気で感動していて、自分たちが正義の側でガイルたち連合軍が悪だと思い込んでいる。だがラストでは勘違いに気づいて主人公たちを助ける味のあるキャラだ。

 リュウの波動拳(両手をかめはめ波風に使う単なる突き)やケンの昇竜拳(極端なアッパー)などトホホ感があってある意味うれしい。
 敵の親玉バイソン(日本のゲームではベガという名だが、女性的な名前(琴座のベガね)と言うことでアメリカではバイソンに変更されている)が、『アダムズ・ファミリー』や『ルーキー』のラウル・ジュリアということで、ラストのヴァン・ダムとの死闘はアクション的には期待できない。そもそも、本格的な格闘アクションができる出演者があまりいない。アクション映画と言うよりもコメディ映画色の強いバカ映画だ。

『ストリートファイター』が実写で映画に登場したと言うことでは実はジャッキー・チェンの『シティハンター』(1993)の方が先。豪華客船の中にあるゲーム機が暴走して、なぜかジャッキーたちがゲームキャラに変身してしまい、戦うシーンがある。
 ジャッキーが変身するのは女性キャラの春麗。豪快にスピニンバードキック(上下逆さまになって足を開脚し、竹とんぼの様に回転しながら飛び回るキック)を放つ。ゲームの技を見事に映像化しているが、ジャッキー女装かよ。
 企画段階では『ストリートファイター』にはジャッキーも出演し、ヴァン・ダムと二枚看板になる予定だったそうだ。ひょっとしたらジャッキーの出演が不可能となった時点でアクション映画からバカ映画に変更されたのかも知れない。

 バイソンが操るコンソールがジョイスティックに6つボタンの『ストリートファイター』仕様となっているのはギャグなんだろうが、ガイルがバイソンの頭を鐘に叩き付けると「ゴーン、ゴーン」となるのは「ギャグ」なんだか「本気」なんだかちょっと微妙だ。バイソン軍の兵士は特撮ヒーロー物の悪役みたいだしなぁ。この微妙感がこの作品の魅力でもある。まぁ魅力かどうかも微妙だが。
『ストリートファイターII』は学生時代にダッシュの頃から遊んでいた。ちなみにダルシム使い。当時「塩釜口ダルシム」と言えば有名だった。オレの中では。世間では知らん。
 就職して会社の寮に入り、同期のヤツの部屋に遊びに行ったら『ストリートファイターII』の基盤があり、そいつをテレビに繋げてプレイしていた。結構高い金を出して買ったんだそうだ。
「そこまでしなくても、スーパーファミコン版があるじゃん」と言ったら、「そっちじゃ技の出るタイミングが微妙に違うんだ」と反論された。

 ラストカットは主人公側のキャラが全員揃って決めポーズでストップモーションに。
 苦労しただけあって、みんなゲームと同じ服装になっている。うむうむ。

 ちなみにハリウッドで再映画化の企画が進行中だそうだ。そちらでは春麗が主役になるとか。今度は香港辺りからちゃんとアクションのできる女優を起用してもらいたいものだ。エドモンド本田は曙でどう?

2006年12月03日

『ときめきメモリアル』実写劇場版 青春とはこっぱずかしいもんだ。

B00005NJPN.jpg『ときめきメモリアル』(1997) 91分 日本

監督:菅原浩志 プロデューサー:臼井裕詞、関口大輔、手塚治、河瀬光 企画:重村一、久板順一朗 脚本:岡田恵和 撮影:高間賢治 美術:和田洋
出演:岡田義徳、榎本加奈子、中山エミリ、矢田亜希子、山口紗弥加、池内博之、吹石一恵、井澤健、袴田吉彦、大石恵、岡まゆみ、小柳友貴美

 コナミの青春シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』の映画化作品。
 といっても、ゲームの方はやってないのでオリジナルへの忠実度は知らない。どうやらあまり関係ないようではある。
 いわゆるギャルゲーに分類して良いのかな?ギャルゲーをやらない訳じゃないが、あの絵は受け付けなかった。ちなみに『トゥルー・ラブ・ストーリー』シリーズはやった。いやまあそれは関係ないが。

 学校の人気者美少女4人とお近づきになろうと、主人公の少年が夏休みの期間中同じ海の家でバイトをするというお話。
『ときめきメモリアル』というこっぱずかしいタイトルに相応しく、こっぱずかしい内容だ。
 まぁ、青春ってのはこっぱずかしいもんだ。多くの人は、今となっては顔から火が出るような思い出の一つや二つはあるだろう。オレにだって、「あんなことはもう出来ません。言えません」ってことはいくつかあった。恋愛関係は特にな。
 だが、そこで恥ずかしいとかひねくれだとかを捨てて、本気でその恥ずかしいことをやれるってのが青春時代だ。

 てっきりビデオオリジナル作品かと思ったら、東映系でちゃんと劇場公開された劇映画だった。さすがに劇場では観ておらず、ずいぶん前にビデオ屋で見かけて何となく借りてきた。
 オレは途中で「勘弁してくれ~」だったが、当時の同居人は面白そうに見ていた。普段借りてくるアクションやホラーは不評だったが、「たまには良い作品も借りてくるじゃないの」と言われたような記憶がある。
 女の子たちは当時のアイドルらしいが、中山エミリがどっかで名前を見たぐらいであとの娘たちは知らない。日本の芸能界の知識はほんとからっきしだよ、三級品。

 ゲームのラストに登場するという伝説の樹での告白?はあった。「?」が付いている理由は1対1じゃないからだ。ゲームでもそうらしいが、いよいよ卒業という間際になって告白しても、交際する期間がないんじゃないかなぁと個人的には思ったりもする。

2006年12月04日

『DOOM ドゥーム』 寿司屋で大将に、サーチ and デストロ一丁(です“とろいっちょう”) なんつったりして。どぅーむすいません(林家三平)

B000FCUY68.jpg『DOOM ドゥーム』(2005) DOOM 104分 アメリカ/チェコ

監督:アンジェイ・バートコウィアク 製作:ジョン・ウェルズ、ロレンツォ・ディボナヴェンチュラ 製作総指揮:ジョン・D・スコフィールド 原案:デヴィッド・キャラハム 脚本:デヴィッド・キャラハム、ウェズリー・ストリック 撮影:トニー・ピアース=ロバーツ プロダクションデザイン:スティーヴン・スコット 編集:デレク・G・ブレッシン 音楽:クリント・マンセル
出演:カール・アーバン、ザ・ロック、ロザムンド・パイク、ラズ・アドティ、デオビア・オパレイ、ベン・ダニエルズ、デクスター・フレッチャー、リチャード・ブレイク、アル・ウィーヴァー、ヤオ・チン

 1993年に発表されたPCゲーム『DOOM』シリーズの実写映画化。FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)と呼ばれる一人称視点シューティングゲームだ。主人公の視点で通路などを進んでいき、銃などで敵を倒していく。NINTENDO64の『007 ゴールデンアイ』なんかがそうだ。って、古いな。
 アメリカでは大人気のジャンルだそうだ。オレも『バトルフィールド・ベトナム』というPCゲームに一時ハマっていたが、マウスとキーボードを駆使する操作方法には苦労した。FPSは難易度も高めの作品が多い気がする。なんでもアメリカ人のコアなゲーマーはスキルを含めていろいろすごいらしいからな。
 webで予告編を観たときは、ゲーム通りに一人称で未来的な建物の中を突き進んでいるシーンがあって、まさか戦闘シーンは全部これじゃないだろうなとある意味期待していたのだが、裏切られてほっとした。

 DOOMとは破滅とか悪い運命とかいった意味。
『ファンタスティック・フォー』の悪役の名が「Mr.ドゥーム」だったし、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の原題は『INDIANA JONES AND THE TEMPLE OF DOOM』だったな。
 いやいや余計なことばかり書いて、どぅーむすいません、なんつったりして。あたしがこうやったら笑ってくださいよ。体だけは大事にしてください、ほんと大変なんすから。

 林家三平は遥か過去になった近未来。地球上から火星へのワープホールが発見され、そして人類は火星ですでに滅びた文明の遺跡を発見。ワープホールは火星人類が過去に作った物らしい。そして基地を作り研究者などが駐留して遺跡の研究を進めていた。
 ある日、基地から救難信号が発信され、主人公たち海兵隊の小隊はワープホールで救助に向かう。そして基地内を探索している内にモンスターに遭遇し、戦うことになるが、そのモンスターの正体とは・・・

 小隊を率いる軍曹を演じているのがザ・ロック。「忠実たれ」のタトゥーが入った背中からの登場で、どこかで見た絵面だなと思ったら、『ケープフィアー』のロバート・デ・ニーロの登場シーンが確か同じような感じだったはず。終盤になって、軍人としての任務に忠実なあまり邪悪な面が表に出てくるが、なるほどそれをどことなく予感させる。ヒーローではなく最終的には敵になる。『ハムナプトラ2』での特別出演以来の悪役だ。
 サーチandデストロイの指令通り、時にはモンスターと戦いながら基地内を探索していき、次第に謎が解けていく。あえて言うならば『エイリアン2』+『バイオハザード』といった感じ。ゲームの主人公も海兵隊員で、火星基地からの脱出のために戦うと言った内容だとか。ゲームの方はやってないが、設定は比較的忠実なようだ。

 ラスト近く、オリジナルゲームファンお待たせの一人称による戦闘シーンが開始される。
 これが延々とあって、実に5分ほどの長さ。銃に爆薬、ついにはチェーンソーまで振り回す。オレはレンタルDVDで観たが、これが劇場の大スクリーンだったら3D酔いするぞ。
 エンドクレジットの表示も無意味にFPS仕様で、笑ってしまった。
 ラストの肉弾格闘アクションがなかなか燃える出来だ。相手を横にして肩に担ぎ、グルグル振り回してから放り投げる、技の名前は分からないがそんなプロレス技も登場する。

2006年12月06日

『バイオハザード』 惨劇、殺人ウイルス地下研究所!

B0002L4COM.jpg『バイオハザード』(2001) RESIDENT EVIL 101分 ドイツ/イギリス/アメリカ

監督:ポール・W・S・アンダーソン 製作:ポール・W・S・アンダーソン、ジェレミー・ボルト、ベルント・アイヒンガー、サミュエル・ハディダ 製作総指揮:ヴィクター・ハディダ、ダニエル・クレツキー、ロバート・クルツァー、岡本吉起 脚本:ポール・W・S・アンダーソン 撮影:デヴィッド・ジョンソン 音楽:マリリン・マンソン、マルコ・ベルトラミ
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ミシェル・ロドリゲス、エリック・メビウス、ジェームズ・ピュアフォイ、マーティン・クルーズ、コリン・サーモン

『フィフス・エレメント』(1997)のミラ・ジョヴォヴィッチがまた脱いだ。美人なのに脱ぎっぷりの良いこと、胸は小さめだが体の線のキレイなこと。うれしいなぁ。・・・ってオヤジかオレは。

 カプコンの家庭用ゲーム『バイオハザード』シリーズの映画化。原作のゲームは『バイオハザード1』をアレンジした物。
 『バイオハザード』は三人称シューティングゲームTPSだ。ドッカンバッカン撃ちまくるというよりも、謎を解きながら先へと進んでいくアドベンチャーゲーム的側面が強い。1作目だけはプレイしたが、あれこれ難しいし、セーブポイントが少なく制限があるので苦労した。

 アンブレラ社という巨大企業がある。電機製品など数多くの商品を発売しており、9割の家庭で使われているという。そのアンブレラ社には裏の顔があった。最新兵器や遺伝子改造による細菌兵器の製造なのである。
 500人の研究者が働き細菌兵器を開発している地下研究所で事故が発生。閉鎖された研究所に救助に向かった特殊部隊は、その中で人間の姿発見する。しかし、それは生きた死人だった・・・

 特殊部隊の隊員たちと、記憶を失った若い男女、そして刑事だと名乗る男。
 ちょっと人数が多すぎてキャラクターの整理が付いていない。特殊部隊は10名ほどの構成である。救助チームの人数がそんなに少ないはずはないのでそれはまあいい。殺され要員として活躍してもらわなければならないし。だが、あるシーンでまとめて同じ罠で4人殺されてしまうのはあまりよろしくない。サイの目切りレーザーの所だ。隊長だけは生かして残しておけば、後半での使い道もあっただろう。

 ゾンビどもはジョージ・A・ロメロの『ザ・デッド』系のゾンビよりは元気がよいが、『バタリアン』みたいに全力疾走するわけではない。武器を持ったまま歩くなど、ある程度の知能はあるようだ。ウイルス兵器によってゾンビとなり、最後に残ったたった一つの本能である食欲を満たすために襲いかかってくるのだ。
 人間がゾンビになるんだから、犬だってゾンビになる。ということでドーベルマンゾンビも登場。何故かは知らないが犬のゾンビは生前と同じような速度で駆け回る。実験のシーンでは白いウサギにもウイルスを注射していたが、ウサギゾンビは登場しない。しても弱そうだもんな。
 いや・・・いやまてよ。『モンティ・パイソン ホーリー・グレイル』の殺人ウサギみたいに最強の敵キャラかも知れないぞ。
 ゾンビどもを殺しながら研究所からの脱出を目指すのだが、銃での戦いがあまり燃えない。正直いってアクションの描き方が上手くない。この点については『DOOM』の方が上だ。発砲数も少ないが、それよりも工夫が足りない。その分を、ラストのミラ・ジョヴォヴィッチとモンスターの格闘戦である程度持ち直してくれるが、『バイオハザード2』(映画版)でのそれと比べると迫力不足。

 狭い通路などの閉鎖空間が多く、山ほどゾンビが登場したように見えても、実際のゾンビ役者はそれほど数がいないようだ。印象よりも低予算な映画かも知れない。
 次回へ引くぞっという終わり方をして、実際に続編の『バイオハザード2』も制作された。そちらもどうやら3作目もありそうな終わり方をする。

2006年12月07日

『ダンジョン&ドラゴン』 元祖RPGがなっなんと映画化

B0009OATOO.jpg『ダンジョン&ドラゴン』(2000) DUNGEONS & DRAGONS 107分 アメリカ

監督:コートニー・ソロモン 製作:トーマス・M・ハメル、キア・ジャム、コートニー・ソロモン 製作総指揮:ネルソン・レオン、ジョエル・シルヴァー、アラン・ゼマン 脚本:トッパー・リリエン、キャロル・カートライト 撮影:ダグラス・ミルサム SFX:ジョージ・ギブス 音楽:ジャスティン・ケイン・バーネット VFX:ジョアン・コリンズ・カーリー
出演:ジェレミー・アイアンズ、ジャスティン・ホウェリン、マーロン・ウェイアンズ、ゾーラ・バーチ、リチャード・オブライエン、ブルース・ペイン、ゾー・マクラーレン
 古典テーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)である『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の映画化。昔は『ダンジョン&ドラゴンズ』って呼んでなかったか?映画のタイトルでは「s」が全部消えた。まぁいつものことだが、ダンジョン(迷宮)にしろ山のような数のドラゴンにしろ複数だろうに。

 TRPGとはパソコンやゲーム機を使わずに、テーブルの上を舞台にしてダンジョンマスター(いわゆるゲームマスター)が世界とストーリーを作って司会進行役を行う。そこでプレイヤーが人間、エルフ、ドワーフといった種族と戦士、僧侶、魔法使いなどの職業を決めてキャラクターを作り、その役を演じてゲームを進める。役割(ロール)を演ずる(プレイ)からロールプレイング。
 ドラクエやファイナル・ファンタジーだとプレイヤーは1人でパーティー全体を操作するが、TRPGでは自キャラ以外も人間が演じている。アニメにもなった『ロードス島戦記』はもともとパソコンゲーム誌『コンプティーク』の誌上で連載されたTRPGの紹介記事だった。わいわいがやがや楽しんでいる様子が感じられて面白そうだった。そのゲームも『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をベースとしていたらしい。
 最近は『ラグナロク・オンライン』や『FFXI』などMMORPGとしてインターネット上で展開されるRPGが人気だ。これだと使うのはパソコンやゲーム機だが、その世界には他人が操作するキャラクターが多数いて、コミュニケーションゲームでもあるようだ。興味はあるのだが、どうにも敷居が高い感じであまりやったことはない。

 映画は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのスケールを小さくして、ストーリーをお気楽にして、予算を減らしましたって感じ。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の世界観には『指輪物語』が大いなる影響を与えているとのことなので、似ているのは当たり前だろう。
 主人公のリドリーは若き盗賊。黒人の相棒と組んで、ちんけな盗みを繰り返している。そんな彼らがある日、魔法大学へと盗みに入る。そこで一枚の地図を盗み出したことから大冒険に巻き込まれることになる。
 盗賊に魔法使い(メイジ)に戦士。種族は人間にドワーフにエルフまで。もちろんドラゴンも空を飛ぶが、こいつらは鼻の穴のでかい豚顔で醜いだけであまり格好良くない。オレがこれまで見た中で、一番デザインが良かったのは『ドラゴンスレイヤー』(1981)のドラゴンだ。あれは凶悪そうで良かった。
 主人公の盗賊は冒険の中で自らが持つ秘められた力と運命に気づくことになる。勇者を捜していたら自分が勇者だった。ドラクエにもあったなぁ、そういうの。
 仲間に加わる女性エルフは黒人が演じている。ダっ、ダークエルフ?!

 ジェレミー・アイアンズが悪の宰相を演じているが、髪を二八分けにしていてあまり邪悪そうには見えない。なんか、真面目でかちっとした人って感じ。背も低そうに見えるんだよな。

 ラストの主人公と敵の行動隊長とによる剣での戦いは、『スターウォーズ 帝国の逆襲』のラストのよう。黒ずくめの格好をした悪の宰相と戦い初めてからは、ジェレミー・アイアンズがリドリーに向かって「私がお前に父だ」と言い出すんじゃないかとハラハラした。
 それをいうと、ドラゴンとドラゴンの空中戦もスターウォーズのドッグファイトにそっくりだけどな。

 比較的予算はかかっていないだろうが、CGIなどのSFXはなかなかがんばっているし、世界観もしっかり作られている。だが、演出がそれを活かすだけの力を持っていない。もったいなし。

2006年12月08日

『殺人ゲームへの招待』 エンディングは一つじゃない

B000E1KMCQ.jpg『殺人ゲームへの招待』(1985) CLUE 88分 アメリカ

監督:ジョナサン・リン 製作:デブラ・ヒル 製作総指揮:ジョン・ピーターズ、ピーター・グーバー、ジョージ・フォルシー・Jr、ジョン・ランディス 原案:ジョン・ランディス、ジョナサン・リン 脚本:ジョナサン・リン 撮影:ヴィクター・J・ケンパー 音楽:ジョン・モリス
出演:レスリー・アン・ウォーレン、ティム・カリー、アイリーン・ブレナン、マデリーン・カーン、クリストファー・ロイド、マイケル・マッキーン、コリーン・キャンプ、マーティン・マル、リー・ヴィング

 原作の『Clue:クルー』は、ゲームはゲームでもビデオゲームではなく、『人生ゲーム』や『モノポリー』と同じくボードゲームの一つ。そんな物まで実写映画化されているから驚きだ。
 ある邸宅で人が殺され、招待客の中に犯人がいる。殺人者、場所、狂気の3枚のカードが封筒に入っており、プレイヤーは探偵となってゲームを進め、その3枚のカードの内容を推理して正解すれば勝ちというゲームだ。
『ビルとテッドの地獄旅行』では主人公二人が死神と対決することになるが、その手段が潜水艦ゲームやツイスターなどのファミリーゲーム。その中の一つにこの『クルー』があった。日本では知名度が低いが、アメリカでは有名なのだろう。そもそもそうでなきゃ映画化されないか。

 映画のストーリーは基本的にゲームに則っている。
 ある雨の夜、豪邸に招待された6人の客人。それぞれマスタード大佐やミスターグリーン、ミセスホワイトなどと仮名を名乗らされる。どうやらそれぞれある弱みがあって、それを掴んだ男から脅迫されているようなのだ。
 そして突然明かりが消え、数秒間の暗がりが去った後には、床の上にその脅迫者の死体が転がっているのだった。一体犯人は誰なのか?

 作品のカラーとしては、同じく豪邸に客人が招待され、そこで殺人事件が起きる『名探偵登場』(1976)に似ている。もっとも出来はあちらの方がかなり上だ。
 この作品が他の推理物映画と違うのは、最後まで観て犯人が判明してもそれが正解とは限らないことだ。もう一度観てみると、今度は別の人物が犯人と言うことになっているかも知れない。
 えっ?そんなことがあるはずないって?だったらもう一度観てみよう。ほら、前2回とまた犯人が変わった。
 そう、この映画には合計3つのエンディングがあるのだ。ラストになってやたら駆け足で謎解きが始まるのだが、その最後の5分のフィルムが3つのリールに分かれていて、どのリールを上映するかでエンディングが異なる。マルチエンディングの映画なのだ。
 実に画期的、実験的試みである。ただし、日本で公開されたときは一つのエンディング固定で上映された。DVDでラストに収録されている「真のエンディング」がそれである。それじゃ意味ねーじゃんと、当時映画館で強く思った物だ。
 まぁ、それほど出来の良い作品ではないので、エンディングコンプリートのために映画館に通い詰めはしなかっただろうが。

 オレの知っている限りではボードゲームの映画化はこの『殺人ゲームへの招待』だけだ。『モノポリー』辺りは『投資家バブルお父さんのガッポリウハウハ人生orズッポリ泥沼人生』なんてタイトルで映画化できないだろうか。面白いかどうかは別だが。

 後におもちゃ屋で見つけて、どんなゲームか興味があったので購入。大学のサークルに持っていって部室で何度か遊んだ。そんなには面白くなかったように思う。
 ゲームとしては『モノポリー』や雑学クイズゲームの『トリビア』(『スパイ・ライク・アス』のラストでやってたヤツね)、『UNO』なんかの方が人気があって盛り上がった。って、どんな大学生だよ、オレらは。・・・まぁどのゲームも持ち込んだのはオレだが。

2006年12月09日

『GAME KING 高橋名人VS毛利名人激突!大決戦』 スイカクラッシャー高橋名人

『GAME KING 高橋名人VS毛利名人激突!大決戦』(1986) 29分 日本

監督:神澤信一 製作:山本又一郎 プロデューサー:鈴木清 企画:工藤裕司、大里幸夫 構成:岩井田利治、渡辺浩弐 撮影:阪本善尚 美術:松原裕志 音楽:高橋洋一
出演:高橋利幸、毛利公信、志賀正治

 しばらく続いたゲームが原作である作品特集も今回で終わり。
『モータルコンバット』など取り上げなかった作品もいくつかある。『ポケットモンスター』や『デジモンアドベンチャー』などアニメも含めるとさらに数は増える。そちらは多少は観ているがちょっと守備範囲の外だ。

『GAME KING 高橋名人VS毛利名人激突!大決戦』は松竹系で公開されたアニメ『スーパーマリオブラザーズ』の同時上映だった短編映画。厳密にはゲームの映画化ではなく、当時人気のあった高橋・毛利両ゲーム名人がシューティングゲームで対決する様を描いた、ドキュメンタリー風映画である。
 1秒間16連射で有名だったハドソンの高橋名人に主なスポットが当たっており、修行のシーンまである。なんと、親指の連射でスイカを真っ二つだ。すげぇ!でもゲームにどう役に立つのかちと不明だ。

 後半は息詰まるゲーム対決。連射もすごいが、敵の攻撃をすり抜ける自機の操作もすごい。どんな反射神経だ。
 今後ともヴィデオゲームの歴史は続くだろうが、ゲーム対戦の様子を描いた作品はもう登場しないだろう。
 もしも作るとしたらシューティングゲームではなく『ヴァーチャファイター』などの格闘アクションゲームになるのではないだろうか。そこらのゲームセンターでも「あっありえないっ!」技を繰り出すプレイヤーがいるが、全国のトップレベルともなるとさぞやすごいことだろう。オレは観に行かんが。

 当時、いかにファミコンが社会現象として大きな存在だったかがうかがえる作品だ。
 そうか、高橋名人は高橋利幸というフルネームだったのか。オレはてっきり名人が下の名だと思っていた(嘘付け)。毛利名人は毛利公信と戦国武将のような名前で強そうだ。

2006年12月10日

『エネミー・オブ・アメリカ』 盗聴・盗撮・尾行

B0009Q0JZ6.jpg『エネミー・オブ・アメリカ』(1998) ENEMY OF THE STATE 132分 アメリカ

監督:トニー・スコット 製作:ジェリー・ブラッカイマー 脚本:デヴィッド・マルコーニ 撮影:ダン・ミンデル 音楽:トレヴァー・ラビン、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:ウィル・スミス、ジーン・ハックマン、ジョン・ヴォイト、リサ・ボネ、レジーナ・キング、バリー・ペッパー、ガブリエル・バーン、ジェイソン・リー、スチュアート・ウィルソン。ローレン・ディーン、イアン・ハート、ジェイク・ビューシイ、トム・サイズモア、スコット・カーン、ジャック・ブラック、ジェイミー・ケネディ、ジャッシャ・ワシントン、フィリップ・ベイカー・ホール

 各家庭に電話が引かれ、個人が携帯電話を持ち歩くようになった現代。もしも政府がそれら情報技術を利用して個人を監視し追跡したらどうなるか。予想を超える怖ろしさが描かれた作品だ。

 主人公のウィル・スミスは弁護士。妻にクリスマスプレゼントを買おうと立ち寄ったランジェリーショップで偶然出会った古い知人から知らないうちに携帯ゲーム機であるNECのPCエンジンGTをバッグに入れられる。知人はその直後に車に轢かれて死亡。動揺を隠せないウィル・スミスだが、それはほんの始まりに過ぎなかった。
 ゲーム機に差し込まれたPCカードには国家安全保障局(NSA)による要人殺害の現場ビデオが記録されており、ウィル・スミスがそのデータを持っていることに気づいたNSAは彼から職や財産を奪い、孤立させて脅迫する作戦を取ってくる。
 アメリカ合衆国を敵に回した男は翻弄されるが、NSAの情報局員だった元エージェントと出会い、彼の力を借りて反撃に出る。

 トニー・スコットの手腕が冴える作品で、132分と長目だが冒頭からラストまでだれることなく観ることが出来る。
 NSAは電話や携帯電話の回線を片っ端から盗聴し、部屋の中に仕掛けたビデオカメラや、コンビニなどの店にある監視カメラの映像も入手し、遥か上空からはスパイ衛星で撮影する。クレジットカードは停止され、銀行口座も凍結される。誇張された部分ももちろんあるのだろうが、政府という強大な相手を敵に回す怖ろしさがひしひしと伝わってくる。
 じっくりと考えるよりもひたすら疾走し続ける系統の作品で、マフィアが経営するレストランでの銃の突きつけ合いで緊張度は最大に達する。同じトニー・スコット監督(脚本はクエンティン・タランティーノ)の『トゥルー・ロマンス』のラストも同じような構図であった。

 オレの生活だって、電話と携帯電話、それから電子メールを傍受されると交友関係から趣味、思想などのかなりの部分がばれてしまう。あんたなんか盗聴してどうするのと思うだろうが、その相手を選ばないのがハイテク技術の怖さだ。いや、すでに監視されているのかもしれない。
「そこに隠れているのは分かってるぞ。出てこい」と叫んだら、押し入れから人が・・・

 ジーン・ハックマンにジョン・ヴォイト、ガブリエル・バーンなど曲者俳優が脇を固めてリアリティを高めている。ウィル・スミスのテンションも抑えめ。

2006年12月11日

『007 ドクター・ノオ』 ジェームズ・ボンド登場す

B000IU38J2.jpg『007 ドクター・ノオ』(1962) DR. NO 105分 イギリス

監督:テレンス・ヤング 製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:リチャード・メイボーム、バークレイ・マーサー、ジョアンナ・ハーウッド、テレンス・ヤング 撮影:テッド・ムーア 音楽:モンティ・ノーマン、ジョン・バリー
出演:ショーン・コネリー、ウルスラ・アンドレス、ジョセフ・ワイズマン、バーナード・リー、ピーター・バートン、ロイス・マクスウェル、ジャック・ロード、アンソニー・ドーソン

 007シリーズの記念すべき映画化第一作目。
 もう44年も前の作品なんだね。そりゃショーン・コネリーも禿げるわけだ。オレが生まれる前の作品である。
 後に予算をかけた大作化していくシリーズだが、『ドクター・ノオ』は比較的低予算で作られているようだ。派手なアクションもあまりないし、大規模なセットが全編を通して登場するわけでもない。「竜(ドラゴン)」と呼ばれる怪物の正体は火炎放射器を搭載した装甲車。装甲車と言っても本格的なヤツではなく、普通の車にガワを貼り付けただけでちゃちな感じだが、明るいシーンでは使わず暗い闇の場面にしか登場しないのでそのちゃちさがばれない。その辺りはさすがテレンス・ヤングは上手い。

 ジェームズ・ボンドはカジノでバカラ?をやっているシーンで登場。いきなり煙草を吸っている。世界的な嫌煙傾向にあるので、今となっては問題視される映像だろう。2006年版『カジノロワイヤル』では煙草を吸わないんだっけか?実はまだ観ていないのだ。
 Mとジャマイカで起きた情報部員の失踪事件に関する打ち合わせの後、愛用のベレッタを取り上げられ、代わりにワルサーPPKを支給される。このワルサーティモシー・ダルトンボンドで若干の変更が加えられたPPK/Sになるが、「トゥモロー・ネバー・ダイ』でワルサーP99に交代するまで長きにわたってボンドの身を守ることになる。その割に、今作では活躍しないが。

 Qから支給される各種秘密スパイ道具が007シリーズの魅力の一つであるが、今作で登場するのはこのワルサーPPK/Sと特殊機能無しのボンドカー、そしてガイガーカウンターぐらい。この頃はまだ比較的地味な映画だったのだ。

 オープニング前の一大アクションもまだない。銃口から狙われたスーツ姿のジェームズ・ボンドがパッと横向きざまに拳銃を撃つ「ガン・バレル(銃身)」と呼ばれるタイトルバックはすでに今作から登場している。ただし、そこで流れる音楽は「デーデ、デーデ、デーデデッデ」の007のテーマではなく、ピコピコピコの電子音。そこからオープニングクレジットが始まり007のテーマが流れる。
 そして3人の盲人がシルエットで映し出され、レゲエ風の『3匹の盲目ネズミ』に音楽が変わる。その盲人たちが実際に画面に登場して本編がスタート。なかなか凝ったタイトルバックだ。

 ボンドガールがたまたま悪党が支配する島で貝殻を採取していたり、悪の親玉であるドクター・ノオが怪力を放つ鋼鉄の義手を持っていながらほとんど活躍しないままにあっけなく死んでしまうなど、気になる点はいくつかあるが、テンポ良くラストまで進んでいく。
 ドクター・ノオが最終的悪玉ではなく、さらにその裏にスペクターという悪の秘密結社が存在することも分かり、続編を感じさせる終わり方だ。ただし、エンドクレジットにはまだ「JAMES BOND WILL RETURN」の文字は現れない。

 終盤はドクター・ノオの原子炉で二人は死闘を繰り広げる。(そんなに大げさじゃないが)
 ジェームズ・ボンドは防護服を着ているが、原子炉を暴走させているし、炉の真上で格闘を行う。あれは絶対放射線で被曝してると思うんだが、どんなもんだろうか。
 最後は基地が大爆発してるし、カリブ海が放射能で汚染されたのではないだろうか。今ほど放射線や放射能に関する知識が乏しかったに違いない。

2006年12月12日

『007 ロシアより愛をこめて』 オリエント急行の死闘

B000IU38JC.jpg『007 ロシアより愛をこめて』(1963) FROM RUSSIA WITH LOVE  115分 イギリス

監督:テレンス・ヤング 製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:リチャード・メイボーム、ジョアンナ・ハーウッド 撮影:テッド・ムーア 音楽:ジョン・バリー、テーマ曲:ライオネル・バート、モンティ・ノーマン 主題歌:マット・モンロー
出演:ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ、ロバート・ショウ、ペドロ・アルメンダリス、ロッテ・レーニャ、マルティーヌ・ベズウィック、ヴラデク・シェイバル、ウォルター・ゴテル、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル
 007シリーズ最高傑作との呼び声も高い第2作目。
 世界征服を狙う悪の秘密結社「スペクター」が本格的に姿を現し、ジェームズ・ボンド暗殺に乗り出す。スペクターの首領ブロフェルドは猫を抱いた首から下だけがスクリーンに映し出され顔は不明。キャストクレジットでも「?」となっている。『オースティン・パワーズ』など数々の作品でパロディ化された敵組織のボスのスタイルである。

 スペクターがロシアのイスタンブール領事館から暗号解読機を盗み出す計画を立てる。その計画に007を利用し、ついでに殺害してしまおうという一石二鳥の計画だ。
 殺し屋がジェームズ・ボンドに襲いかかるシーンから映画は始まり、いきなりボンドは殺されてしまう。えっ、マジっすか。
 驚きながらも、そんなはずはないだろと思ったらやはり違った。原作の小説が大人気だというのに、いきなり映画2作目で主人公を殺さないよな。
 Mがジェームズ・ボンドにイスタンブールでの秘密指令を伝えると同時に、Q(デスモンド・リュウェリン)がボンドに特殊なアタッシュケースと組み立て式狙撃銃を渡す。Qはその後シリーズを通してレギュラーになり、同じデスモンド・リュウェリンが『ワールド・イズ・ノット・イナフ』まで演ずることになる。デスモンド・リュウェリンが交通事故で亡くなったため、『モンティ・パイソン』で有名なジョン・クリーズが後を引き継いだ。
 本格的な特殊装備が登場したのは今作からだが、ボンドカーは登場しない。

 映画の看板に主演女優のイラストがあり、その口の部分に窓が開いてそこから逃げだそうとした悪党を狙撃して「口は禍の元」と言ったり、ボードに積んだ燃料ドラム缶を照明弾で爆破して「火のないところに煙は立たず」と言うなど、しょーもないボンドジョークは今作から登場する。ボンドってダジャレ系が好きなようだ。

 オリエント急行の個室でのロバート・ショウとの死闘から、小型ヘリコプターによる追跡、ボートでの逃走劇と終わりそうでなかなか終わらずアクションが続く。
 ついには失敗続きでこのままでは自分がブロフェルドから抹殺されると悟った老女幹部No.3自らが毒薬を塗ったナイフを仕込んだ靴でボンドに挑む。そのキックを防いだボンドは「これで蹴りがついた」とまたダジャレネタ。
 任務に失敗すると首領に殺されるってのはお約束だが、実際にこれをやると人材不足に陥るし、失敗を怖れて思い切った作戦が取れないと思うんだが、労務管理としてスペクターに欠点は多いんじゃないだろうか。

 エンディングには「JAMES BOND WILL RETURN IN "GOLDFINGER"」と書かれている。これまた今作以降のお約束。

2006年12月13日

『007 ゴールドフィンガー』 007シリーズフォーマットの完成

B000IU38JM.jpg『007 ゴールドフィンガー』(1964) GOLDFINGER 109分 イギリス

監督:ガイ・ハミルトン 製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:リチャード・メイボーム、ポール・デーン 撮影:テッド・ムーア 作詞:レスリー・ブリッカス 音楽:ジョン・バリー テーマ曲:レスリー・ブリッカス、モンティ・ノーマン 主題歌:シャーリー・バッシー
出演:ショーン・コネリー、ゲルト・フレーベ、オナー・ブラックマン、シャーリー・イートン、セク・リンダー、タニア・マレット、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン、ハロルド坂田

 オープニングタイトル前の派手なアクション、Qの秘密兵器工房、回転するナンバープレートなど特殊装備満載のボンドカー・アストン・マーチンなど、007映画のフォーマットが完成したシリーズ第3作。
 監督がテレンス・ヤングからガイ・ハミルトンへとバトンタッチされ、よりスケールアップされた娯楽映画になった。

 今回の敵はゴールドフィンガー。スペクターとは関係なく、単独の悪党である。
 マイアミのプールサイドで行う累計で10,000ドル程度のカードギャンブルでもいかさまを使って勝ちに行く守銭奴だ。ゴールドフィンガーというのは実在する姓で、映画音楽で有名なジェリー・ゴールドスミスなど、ゴールド何某という姓はユダヤ系に多いそうだ。
 オープニング、頭にカモフラージュ用のカモの模型を付けウェットスーツを着たボンドが闇に紛れて水から上がってくる。敵のアジトに侵入すると、何故か部屋にドラム缶単位で置いてあったニトロにプラスチック爆薬をタイマー付きでセットする。
 そしてアジトを出たところでウェットスーツを脱ぐと、下には白のタキシードを着ていて、その胸元に一輪の赤いバラを飾る。この瞬間である、ある程度リアリズム志向であった007シリーズが、面白いためなら、観客を楽しませるためなら何でもありに変化したのは。
 前2作でのジェームズ・ボンドは任務のためならば眉一つ動かさずに敵を殺すことのできる殺しの許可証00を持つ殺し屋だったが、今作では一時の情事の相手を殺されて、その復讐を胸に誓う男となっている。
 ちなみにその女性は体中に金粉を塗られ、皮膚呼吸ができなくて窒息死したという殺害方法だが、実際には人間の呼吸の内で皮膚呼吸の割合は1%なので皮膚呼吸ができなくてもそれで死ぬことはないそうだ。とまぁこんなことや「ドン・ペリニオンは3.5度以下に冷やして飲まなければならない」といった雑学・うんちくをボンドが言うようになるのも今作から。

 ヒロインのボンドガールが誰なのかなかなかはっきりしないのでちょっと戸惑う。それらしき女性が2人登場するが、あっという間に殺されてしまう。ようやくボンドガールのプッシー・ガロアが登場するが、ちょっとオバさん。色っぽいけどね。
 悪役としてはゴールドフィンガーがふてぶてしいが、それ以上に手下のよろず屋(オッドジョブ)役のハロルド坂田が印象に残る。執事が着るような正装にシルクハット。この帽子のひさしの縁には鋼鉄製の刃が仕込んであって、石像の首だって切断する強力さだ。ハロルド坂田はアメリカで活躍していた日本人レスラー。下駄履きでリングに上がると、正義の味方役の白人レスラーに塩で目つぶしをしたり(相撲の塩をまくところからヒントを得たのだろうか)、負けそうになると土下座をして、相手が振り向いたところを後ろから襲いかかるなど、悪役レスラー(ヒール)だったそうだ。

 ゴールドフィンガーが企んでいるのは「グランド・スラム計画」。
 アメリカ合衆国政府が保有している150億ドルの金塊がフォート・ノックスという所に保管してある。41,000人のアメリカ陸軍が警備し、仮に襲撃したとしても重量がありかさばる金を全て持ち出すことなど不可能だ。
 だが、ゴールドフィンガーの真の狙いは金を盗み出すことではなかった。フォート・ノックスの地下保管庫内で核爆弾を爆発させ、金を放射能汚染させることで利用不可能にし、自分がすでに保有している金の価値を飛躍的に増大させようというのだ。使うのはコバルト爆弾なのでガンマ線放出量が多く、より放射能汚染が強い。
 当時は米ドルは銀行に持ち込むと同価値の金と交換することができ(1971年に廃止)、つまりは流通貨幣分の金をアメリカが保有しているということで、それがアメリカドルの価値を保証していたのだが、それも不可能になりアメリカ経済の破綻、ひいては世界的な恐慌にも繋がる。
 その計画内容を知ったボンドは果たしてグランド・スラム計画を阻止することができるのか。

 フォート・ノックス内でのボンドとよろず屋の戦いはもはや伝説。
 核爆弾のタイマーも普通ならば爆発1秒前で停止させるところを、あえて何秒か早くすることでハッタリの効いたギャグとなっている。このハッタリの醍醐味が007シリーズである。
 悪役側は何度もボンドを殺す機会があったのに、殺せるときに殺しておかないから・・・。オレが犯罪組織のボスになったらボンドの類は真っ先に殺すな。まぁ、ボンドが敵に回るような大成した悪人にはなれないだろうが。
 さぁ終わったなと思わせたところでまだどっきりがある。このタイミングも絶妙だ。

「JAMES BOND WILL BE BACK IN "THUNDERBALL"」

2006年12月14日

『007 サンダーボール作戦』 世界の敵スペクター

B000IU38JW.jpg『007 サンダーボール作戦』(1965) THUNDERBALL 129分 イギリス

監督:テレンス・ヤング 製作:ケヴィン・マクローリー 製作総指揮:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:リチャード・メイボーム、ジョン・ホプキンス、ジャック・ホイッティンガム 撮影:テッド・ムーア 音楽:ジョン・バリー テーマ曲:モンティ・ノーマン 主題歌:トム・ジョーンズ
出演:ショーン・コネリー、クローディーヌ・オージェ、アドルフォ・チェリ、マルティーヌ・ベズウィック、ルチアナ・パルッツィ、リク・ヴァン・ヌッター、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン

 監督が1、2作目を撮ったテレンス・ヤングに戻ったシリーズ第4作。この作品まで007シリーズは毎年制作されていたのだ。企画・脚本段階から考えると、1年という期間は映画制作にとって決して長くはない。むしろ短すぎる。1作毎に大作化、大予算化されたため、次作からおよそ2年ごとの制作ペースとなって現在に至る。上映時間も前3作が2時間以内だったのに、今作は129分と長くなっている。
 この作品の頃からショーン・コネリーはジェームズ・ボンドに俳優としての役柄が固定されるのを嫌って降板を口にするようになっていたそうだ。その後、ジェームズ・ボンド色を拭い去るまでかなり苦労したことを考えると、彼の考えは正しかったようだ。

 恒例になったオープニング前のアクションでは圧縮空気を使ったバックパック型の飛行装置でボンドが空を飛ぶ。飛び立つ前にはちゃんとヘルメットを被り安全対策もばっちり。同じ原理の装置が1984年のロサンゼルスオリンピック開会式で実際に飛んでいた。そもそもは敵地への潜入など軍事用に開発されたそうだが、飛行距離の短さや騒音から実用には至らなかったそうだ。
 計画段階では良くても、実際に作ってみると役に立たないってのはよくあることだ。

 オープニングタイトルは海中をイメージしていて、『サンダーボール作戦』を象徴した素晴らしい出来だ。トム・ジョーンズの主題歌が暑苦しい。

 敵として国際的犯罪組織スペクターが再び登場。律儀に幹部が全員顔を揃えて会議のシーンから始まる。財務報告までしているのだから、こいつら犯罪組織ではなく普通の会社を興していれば十分成功していたんじゃないかとも思える。
 組織に背いた者はその場で抹殺という鉄の規律。前にも書いたが、人的資産がいくらあっても足りないぞ、これは。ちなみに日本人らしき幹部もいる。『007は二度死ぬ』への伏線だったりしてな。
 今回の敵は左目に黒い眼帯を付けたNo.2ことラーゴ。トップのブロフェルドがNo.1だから、その名の通り組織での順位が2番目の腹心の部下と思われる。
 ラーゴは館のプールに鮫を何匹も飼っていて、任務に失敗した部下はそこに放り込まれて哀れ餌に。氷河期が終わりつつあると言われてもまだまだ就職・転職が厳しい昨今だが、幾ら職がなくてもスペクターには就職したくない。そもそもどうやって人材を集めてるんだか。『フロムA』?それじゃバイトか。

 NATOの爆撃機が演習中に消息を絶つ。機体には2発の原子爆弾が搭載されていた。
 もちろんこれはスペクターの仕業。原爆を返して欲しければ大金と引き替えだとイギリス・アメリカなどを脅迫してくる。
 保養所でカイロプラクティックを受けたり、女といちゃついていたりしているジェームズ・ボンドにも緊急呼集がかかる。MI6本部に駆けつけると会議の真っ最中。00要員の座る椅子が9個並んでいて、ジェームズ・ボンドは7番目の椅子に座る。他の00要員の顔ははっきりと映らないが、やはり001から009までの9人がいるようだ。009は加速装置が付いてたりするんだろうか。
 パナマ諸島に謎の答えがあるとにらんだボンドはかの地に向かう。
 何気に出演回数の多いCIAのフィーリックス・ライター(フェリックス・ライター)と合流して共同で捜査に当たる。
 南国の島に合わせていつもはスーツ姿のQがパイナップル柄の青いアロハシャツとショートパンツで登場。腕時計型のガイガーカウンター(もちろん防水)や小型の空気ボンベなどを支給する。手渡すだけだから部下にでも任せれば良さそうな物だが、本人が出張ってくるとは休暇も兼ねていたのだろうか。
 ボンドの助手である女性がラーゴに誘拐される中盤辺りは少々ダレるが、海底に沈んだ爆撃機をボンドが発見した辺りから面白くなってくる。
 終盤のマイアミ沖での水中戦は敵味方みだれての大激戦。ラーゴは当計画のトップなのに自らウェットスーツにアクアラングで前線に立つ。自分は安全な場所にいて口先ばかりの企業のトップは見習って欲しい物だ。
 ラストでソビエトから連れてこられた科学者がラーゴに協力させられていたのを裏切ってボンドたちを助け、岩島に衝突する船から海に飛び込むまでは一緒にいるのだが、救命ボートの上に姿はなく、飛行機によって救助されるのもボンドとボンド・ガールのドミノだけ。明らかに保身のための行動で同情すべき人物ではないとはいえ、博士はどこ行ったんだ?

2006年12月15日

『007 007は二度死ぬ』 笑点の座布団運びの法則

B000IU38K6.jpg『007は二度死ぬ』(1967) YOU ONLY LIVE TWICE 117分 イギリス

監督:ルイス・ギルバート 製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:ロアルド・ダール 撮影:フレディ・ヤング 音楽: ジョン・バリー テーマ曲:レスリー・ブリッカス 主題歌:ナンシー・シナトラ
出演:ショーン・コネリー、若林映子、浜美枝、丹波哲郎、ドナルド・プレザンス、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン、カリン・ドール

 世界的大ヒットを飛ばす007シリーズがついに日本上陸。上陸と言っても映画が上映されたのではない、日本ロケである。117分の作品時間のほとんどが日本を舞台にしたシーンになっている。屋内シーンなんかはロンドンのスタジオで撮影された部分が多いようだが。

 まず最初に言っておくが、日本を舞台にしたり題材にした映画について、やたらと「これは間違っている。こんなの日本ではあり得ない。うんぬんかんぬん」と文句を言う人がいるが、制作者たちは正しい日本の姿を海外に知らしめるために映画を撮っているのではない。日本という東洋の国が持つオリエンタリズムに魅力を感じて題材にするのだ。だから、デフォルメされていて当たり前。それを言い出したら日本が撮った外国が舞台の映画やテレビドラマだってかなりいい加減だぞ。
 娯楽作品なんだから肩の力を抜いて楽しみましょうや。

 映画は宇宙から始まる。衛星軌道を飛行中のアメリカの宇宙船を謎の大型宇宙船が飲み込む。後のシーンではソ連の宇宙船が飲み込まれて同じく消息を絶ち、それぞれに相手の国の陰謀だとなじり合い、このままでは米ソの直接戦争は避けられない。
 謎の宇宙船が着陸したのが日本。だが頭に血が上った米ソ両国はそれを信じず、唯一イギリスだけが日本へと捜査に乗り出す。送り込まれたスパイはもちろんジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)。

 番傘のシルエットと噴火する火山、そして髪を結った女性によるオープニングタイトルバック。主題歌を歌うナンシー・シナトラはフランク・シナトラの娘だ。
 日本に向かう潜水艦の中でMの秘書マネーペニーがボンドにインスタント日本語という日本語のアンチョコを渡すが、日本語はケンブリッジで習ったからとボンドは自信ありげだ。その割に、日本語を話すシーンはほとんどないし、発音も何言ってんだか?だったりする。
 東京の夜景は『アサヒビール』を始めとしたネオンサインの山また山。ひょっとしたら『ブレードランナー』に影響を与えているのかも知れない。
 ボンドが真っ先に訪れるのは蔵前国技館。当時の大相撲横綱本人が登場し、ボンドとちょっとばかりやり取りがある。国技館では大相撲の真っ最中で、席は満席だ。よくそれだけエキストラを集めた物だと思うが、今もしも007シリーズの日本ロケがあってエキストラを募集したら、東京までの交通費や滞在費を出しても東京まで行くな、オレ。
 日本の秘密警察地下基地でタイガー・田中が登場。演ずるのは先日亡くなられた丹波哲郎。堂々とした物腰で、当時人気絶頂だったショーン・コネリーと一対一の芝居でも何ら臆した感じはない。
 今作のボンドカーはトヨタ2000GTだ。といってもボンドはハンドルを握らず運転するのは若林映子である。ナンバープレートが2000のこの2000GTは映画用に特別に作られたオープンカーである。本来はコンパーティブルが用意されていない車種なので、トヨタも力を入れて協力したのだろう。たしか格好良くてにこれは良い宣伝になる。
 敵と思われる大里化学に侵入した後は、タイガー・田中宅で田中と一緒に風呂に入るボンド。『クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』(1999)で丹波哲郎演ずる温泉の精が「ジェームズ・ボンドと風呂に入ったことがあるんだ」とか言ってるが、それはこのシーンのことだ。
 今でこそ日本でも『007』は『ダブルーオーセブン』と発音されるが、当時は『ゼロゼロセブン』と呼ばれていた。それもあってか、タイガー・田中との無線通信ではボンドのことを『ゼロゼロ』と呼んでいる。
 大里化学を追っている内に、舞台は東京から神戸の港へ。そこで人足たちに襲われるが、その中の1人が笑点の座布団運びだった松崎真。現在の座布団運びである山田隆夫は『太陽の帝国』でトラックを運転する旧日本兵として登場していたが、どうやら笑点の座布団運びは世界的規模の大作映画に出演できるという法則があるようだ。

 そしてもちろんQも登場。組み立て式オートジャイロ「リトル・ネリー」を持って来日する。屋内シーンだけかと思ったら、オートジャイロが飛び立つ屋外シーンでもいるのでちゃんと来日して撮影されたようだ。
 阿蘇山火口(映画内の設定では阿蘇山ではなく架空の山)近く、を飛んでいたボンドはヘリコプターの集団に襲撃されるが、これを撃退する。どうやら敵の秘密はこの火山にありそうだと見当を付ける。そして事実、スペクターの秘密基地はその火山の中にあった。基地には猫を膝に抱いたブロフェルドがいた。ここではまた胸までしか映らず、顔は見えない。
 姫路城ではタイガー・田中の部下である忍者たちが訓練中。壁に立てかけた人型の的に手裏剣を投げるシーンでは、的から外れた手裏剣が壁を傷つけかなり怒られたらしい。そりゃそうだ。
 そしてボンドは日本人の漁師に変装し、島へと潜入するが、どこをどう見ても日本人には見えない。これでは逆に怪しいだろ。
 そして偽装結婚をする相手が浜美枝。英語はあまり得意ではなく撮影では苦労したそうだ。
 新婚という設定で家に着いて、食事に生牡蠣を出されるが「体に毒だ」と食べない。別にこのところ流行っているノロウイルスによる食中毒を怖れてのことではなく、牡蠣は精が付くといわれているので、浜美枝と同衾できないなら「無駄に精力が付いてはかえって毒だ」ってこと。宇宙船消失の謎を解きに来たのか、女性といちゃつきに来たのかどっちだまったく。

 スペクターの火口基地に忍び込んだボンドは発見され、No.1ことブロフェルドとついに対面することになる。ようやくと顔が映ったブロフェルドを演ずるのはドナルド・プレザンス。『大脱走』で偽造屋をやっていた人で、良い役者だと思うが大悪党ブロフェルドのイメージとはちょっと違う気もする。
 そしてアメリカの宇宙船がまた強奪される直前にタイガー・田中と忍者軍団が基地を強襲し激しい戦いに。スペクターのオペレーターをやってるのは『ピンク・パンサー』シリーズでクルーゾー警部の召使いケイトー役だった人だよな?

 かくして阿蘇山は大噴火するが、スペクターの野望は打ち砕かれ米ソ戦争の危機は去った。
 だが、世界はまだ平和ではない。

「JAMES BOND WILL BE BACK "ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE "」

2006年12月16日

『007 女王陛下の007』 スパイの宿命

B000IU38KG.jpg『女王陛下の007』(1969) ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE 142分 イギリス

監督:ピーター・ハント 製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:ウォルフ・マンキウィッツ、リチャード・メイボーム、サイモン・レイヴン 撮影:マイケル・リード、エグリ・ウォックスホルト 音楽:ジョン・バリー 主題歌:ルイ・アームストロング
出演:ジョージ・レーゼンビー、ダイアナ・リグ、テリー・サヴァラス、ガブリエル・フェルゼッティ、ベッシー・ラヴ、ジョアンナ・ラムレイ、カトリーヌ・シェル、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン

 ショーン・コネリーが降板し、二代目ジェームズ・ボンドとしてジョージ・レーゼンビーが起用されたシリーズ第6作。1930年生まれのショーン・コネリーに対してジョージ・レーゼンビーは1939年生まれと10歳近く若返った。その差は格闘など肉体を使ったアクションの切れのとして現れている。ただしレーサーそしてモデル出身のジョージ・レーゼンビーはお世辞にも演技力があるとは言えず、過去の作品と比べて今作はドラマ性が強調されているため見劣りがするのは確か。

 車を運転するボンドは、その後ろ姿、あるいは煙草を咥えた口元のアップ、逆光のシルエットとしてまずは登場する。顔がはっきり映るのは1、2分してからで、主演男優交代の違和感をなるべく取り除こうとしている。
 過去の007シリーズの映像を使ったオープニングでは楽曲だけで歌は無し。ルイ・アームストロングによる主題歌は、ボンドと恋人のトレーシーがいちゃつく中盤のシーンで使われている。
 Qの作った秘密兵器はインクジェットプリンターぐらいの大きさをした携帯コピー機。今では数万で手に入りそうな機械だが、Qにしては珍しく実用的な装備品だ。もっとも、Qから支給されたシーンはないので他の人が作ったのかも知れない。だから実用的なのか?
 第1作の『007 ドクター・ノオ』からして007シリーズは海が舞台の作品が多かった。ジェームズ・ボンドは英国海軍中佐なので海が似合うのは確かだが、今回の舞台となるのはスイスはアルプス山脈。山、それも雪山だ。
 前作『007は二度死ぬ』のラストで取り逃がしたスペクターの首領ブロフェルドを追って、致死性ウイルスを開発している山頂の研究所に紋章学者として潜り込む。
 正体がばれてロープウェイの機械室に監禁されてしまうが、ロープを送り出す窓が開いているのでそこからあっという間に脱出。ブロフェルドももう少し考えろよ。ちなみに今作のブロフェルド役はテリー・サヴァラス。もちろんハゲだ。憎たらしくて前作のドナルド・プレザンスよりも悪役度が高い。
 そしてスキーにて麓の村を目指すが、ブロフェルドの手下に発見されスキーチェイスが始まる。確実なことは言えないが、スキーによるアクションシーンの原形として後々の作品の手本になっていると思われる。敵の1人が除雪車に巻き込まれて血染めの雪となるが、嫌な死に方だ。
 国連はブロフェルドのウィルスによる脅迫を受け入れることに決定し、Mはボンドに何もするなと命令するが、ボンドはそれに逆らってトレーシーの父親がボスを務める犯罪組織の力を借りて研究所をヘリコプターで強襲する。Mの指示に従わないという点でもシリーズ異色作である。他にボンドが暴走するのは『007 消されたライセンス』ぐらいか。

 ラストはボンドとトレーシーが結婚し、ボンドはスパイ稼業を引退することになる。だが、ハネムーンに向かう車をブロフェルドが銃撃し、トレーシーは死んでしまう。
 007シリーズはボンドとヒロインが抱き合って終わるのが多く、今回も形はそうだが悲劇として終わる。
 ジェームズ・ボンドは1人の女性と結婚してごく幸せな自分の生活を送ることは許されず、お国のため、女王陛下のためにスパイとして生き続けなければならない宿命なのだろう。タイトルの『女王陛下の007』はそういった意味だと解釈している。
 スパイは孤独だ。

 ジョージ・レーゼンビーは今作限りでジェームズ・ボンド役を降ろされた。観客から不評だったせいもあるが、かなり傲慢な性格でスタッフに嫌われたのが一番大きかったそうだ。
 その後、B級映画などに多少出演しているようだが、オレが観たのは『ケンタッキー・フライド・ムービー』で「先生」「看護婦」「先生」「看護婦」ってやってるのと、その後のナポレオン・ソロとして作られたTV用映画『ナポレオン・ソロ』に「JB」のナンバープレートが付いた白いアストン・マーチンに乗った英国スパイ役としてのゲスト出演ぐらいだ。イリヤ・クリヤキン(デビット・マッカラム)がナポレオン・ソロ(ロバート・ボーン)に「ひょっとして彼か?(ジェームズ・ボンドか?という意味だろう)」「ああ、彼だ」とか言ってて笑った。

「JAMES BOND WILL RETURN IN "DIAMONDS ARE FOREVER"」

2006年12月17日

『007 ダイヤモンドは永遠に』 ラスヴェガスでのカーチェイス

B000IU38KQ.jpg『007 ダイヤモンドは永遠に』(1971) DIAMONDS ARE FOREVER 120分 イギリス

監督:ガイ・ハミルトン 製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:トム・マンキウィッツ 撮影:テッド・ムーア 特殊効果:アルバート・ホイットロック 音楽:ジョン・バリー テーマ曲:モンティ・ノーマン 主題歌:シャーリー・バッシー
出演:ショーン・コネリー、ジル・セント・ジョン、チャールズ・グレイ、ラナ・ウッド、ブルース・キャボット、ジミー・ディーン、ノーマン・バートン、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン


 主人公の一人称視点で怒り狂い暴れうジェームズ・ボンド。「ブロフェルドはどこだ?」とスペクター関係者を殴り倒す。『女王陛下の007』のラストで花嫁のトレーシーがブロフェルドによって殺されたため、その復讐に乗り出したのだ。
 途中まで顔が映らないのは、ジョージ・レーゼンビーから再びショーン・コネリーにキャスティングが変更になったため、それを埋める演出である。
 ブロフェルドの居所を突き止めたボンドは、スペクターの基地に侵入してブロフェルドと対決する。またもや顔が変わったブロフェルド。今回演ずるのはチャールズ・グレイだ。この人は『007は二度死ぬ』で味方側として登場してあっという間に死んだ役者じゃないか。昨日の友は今日の敵ということか。ちょっと違うか。色素の薄い青い瞳が残虐っぽくてそれほど悪くないのだが、頭の毛は剃って欲しかった。ハゲじゃなきゃブロフェルドじゃないぞ。
 そしてボンドはブロフェルドの殺害に成功する。したかに見えたのだが・・・

 というわけでシリーズ第7作『007 ダイヤモンドは永遠に』が始まる。まるで婚約指輪の宣伝文句のようなタイトルだ。
 南アフリカのダイヤ採掘現場から原石が盗み出されているらしい。そのダイヤは一旦オランダに持ち込まれていることが判明する。
 ブロフェルドは殺したことだし、地味な任務に就けとMから命令されたボンドだが、深く関わっていく内に地味どころか巨大な陰謀が裏に潜んでいたのである。
 今作のボンドガールはティファニーという名前。母親がティファニー店内で産気づいて彼女を出産したためその名が付けられたという。どうでもいいけど臨月なのに宝飾品店で買い物をしているのはちょっとどうかと思うぞ、お母さん。状況いかんでボンドに協力したり、敵側に付いたりと、あまり好感は持てないヒロインだ。
 全編を通して登場する二人組の殺し屋がボンドと対決することになるが、ブ男と前半分がハゲの組み合わせで、ユーモラスではあるがちっとも怖くはない。ギャグあるいは間抜けそうに見えて残虐という意外性を狙ったのか。とりあえず失敗だとは思う。
 自分が殺した悪党に成りすまして、ボンドはダイヤモンドをアメリカに密輸する。アメリカの空港で待っていたのはもちろんCIAのフェリックス・ライター。この人もまた演ずる役者が変わっている。同じ人を使わないのは何でなんだろうか?
 そして舞台はギャンブルの街ラスヴェガスに。ホワイトハウスという名のホテル・カジノがあり、そこの社長ホワイトは最上階のペントハウスに篭もったきり三年も人前に姿を現していない。どうやらこのホワイトが裏で糸を引いているようなのだが、その正体はボンドが殺したはずのブロフェルドだった。殺したのは同じ顔に整形した影武者だったのだ。
 スペクターの研究所から月面車で脱出したボンドだが、三輪バギーに追われあやわ追い詰められそうになるが、機転で無事に切り抜ける。エンドクレジットにホンダの名前があり、どうやらこの三輪バギーはホンダ製品のようだ。
 そして保安官たちの運転する何台ものパトカーとカーチェイスを繰り広げる。アクションの質が『女王陛下の007』のスキーチェイスから格段に向上しており、ここでのカースタントは以前の物と比べてかなり工夫が凝らされている。車の幅よりも狭い路地を片輪走行で通り抜けるシーンが面白い。『ダイヤモンドは永遠に』ではカットを割って撮影されているが、ジャッキー・チェンの『Who am I』だったと思うが、こちらにもほぼ同様のスタントがあってそちらでは1カットになっていた。007のカースタントチームは『スパルタンX』に参加していたりと、ジャッキー・チェンとは縁があるようだ。昔、いすゞのジェミニのCMでワルツを踊るように走る車が話題になったが、あれを担当したのも007のカースタントチームだったはず。
 ブロフェルドによって人質になっていたホワイトを救出するためにボンドは郊外の別荘を訪れる。ここで白人と黒人の二人の女性にボンドはかなりコテンパンに叩きのめされてしまう。他のシーンでもそうだが、コネリーボンドは射撃の腕は良いが、格闘戦は苦手なようだ。
 ボンドが使うQの秘密兵器は指の腹に貼るニセ指紋と携帯ミサイルぐらいだが、Q自身が指輪型のスロットマシーン操作機でカジノで大勝ちしている。シリーズ中もっとも実用的な秘密兵器かも知れない。オレにくれないだろうか、パチスロに行って一儲けするのだが。まぁ捕まりそうだし、そもそもギャンブルは宝くじすらやらないんだけどね。
 ホテルが隠れ家として役に立たなくなったためブロフェルドは車で逃げ出すのだが、なんと女装している。意味がないというか、逆に目立つだろうに。ただ単に女装したかっただけじゃないのか。「だってしょうがないじゃありませんことですわよ。素顔だとばれてしまいますからオホホホ。あらご免あそばせ」とか言いながらファンデーションをパタパタやってるの。うげげ。
 ダイヤモンドを集めていた理由は、人工衛星に積むレーザー兵器に必要だったから。前作は致死性ウイルスで今作は宇宙兵器。スペクターは多角経営だ。

 全体的にだれた感じが否めない。ショーン・コネリーがもうやりたくないというのに無理矢理引きずり出されてボンド役をやっているというのもその一因だろう。
 イギリス、オランダ、ラスヴェガスと舞台が変わっていくが、そのテンポもあまりスムーズではない。ガイ・ハミルトンは好きな監督なのだが、今作はちょっと・・・と首をかしげずにはいられない。

「JAMES BOND WILL RETURN IN "LIVE AND LET DIE"」

2006年12月18日

『007 死ぬのは奴らだ』 因幡の白ウサギことジェームズ・ボンド

B000IU38L0.jpg『007 死ぬのは奴らだ』(1973) LIVE AND LET DIE 121分 イギリス

監督:ガイ・ハミルトン 製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ 原作:イアン・フレミング 脚本:トム・マンキウィッツ 撮影:テッド・ムーア 特撮:デレク・メディングス 音楽:ジョージ・マーティン テーマ曲:モンティ・ノーマン 主題歌:ポール・マッカートニー&ウィングス
出演:ロジャー・ムーア、ヤフェット・コットー、ジェーン・シーモア、クリフトン・ジェームズ、ジェフリー・ホールダー、デヴィッド・ヘディソン、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、マデリン・スミス、ジュリアス・W・ハリス

 ショーン・コネリーから三代目ジェームズ・ボンドとしてロジャー・ムーアに変わったシリーズ第8作。この作品の銃口越しに狙われるボンドというオープニングからソフト帽がなくなる。時代的に帽子を着用している人が少なくなっていたのだと思うが、キャスト変更で若返りの雰囲気を出したかったのかも知れない。でも、1930年生まれのショーン・コネリーに対し