『ザ・ウォッチャー』(2000) THE WATCHER 96分 アメリカ
監督:ジョー・チャーバニック 製作:クリス・エバーツ、エリオット・ルウィット、ジェフ・ライス 制作総指揮:パトリック・D・チョイ、ナイル・ニアミ、ポール・ポンピアン 脚本:デヴィッド・エリオット、クレイ・エアーズ 撮影:マイケル・チャップマン
出演:ジェームズ・スペイダー、キアヌ・リーヴス、マリサ・トメイ、ロバート・チッチーニ、クリス・エリス。スコット・A・マーティン、ジェニー・マクシェーン、ジョー・モナコ、アーニー・ハドソン
連続猟奇殺人鬼を腕利きFBI捜査官が追うというストーリーと、キアヌ・リーヴスが主演という情報しか持っていなかったので、「おいおい、キアヌ・リーヴスがFBI捜査官かよ。しかも腕利き、腕利きだとーっ!」と観始めたが、FBI捜査官はキアヌ・リーヴスではなくジェームズ・スペイダーだと分かり一安心。過去の連続殺人で心に瑕を負い、現在ではFBIを退職して精神分析医に掛かっている神経が参った男にジェームズ・スペイダーはぴったり。あの目の下のたるみが役柄にあっている。
と思っていたら、連続猟奇殺人鬼がキアヌ・リーヴスだった。頭が切れ、冷酷で緻密な計画の元に殺人を繰り返す。
見えんわ、んなもん。
田舎の兄ちゃんといった雰囲気で、これが怖ろしい連続殺人鬼と言われても、ふーんって感じ。妙に太めというかむくんだ感じのキアヌ・リーヴスからは凄みが感じられない。犯罪者としては駐車してある車を盗むのがせいぜいお似合いだろう。
しかも手口が大胆というか、ひたすら適当で大雑把。
犯人は殺人実行の24時間前に被害者の写真を送りつけてくる。だが、猟奇殺人物でよくあるような、すでに被害者を監禁していて、その居所を24時間以内に捜せと行っているのではない。被害者は普通に仕事などの日常生活を送っているのだ。
警察はテレビや新聞での報道や、街頭での警官によるビラ配りなどで被害者と指定された若い女性を捜す。乏しい情報の中、ようやく女性の住処を突き止めて急行するが、キアヌ・リーヴスが入れ違いで被害者を殺したばかり。
なんか、ものすごく運任せの行き当たりばったりな殺人計画だ。もう30分早く警察が被害者の居場所を突き止めていたらどうするつもりなんだろうか。何も考えてないんだろうな。
キアヌ・リーヴスは『ギフト』(2000)での粗暴な田舎男は似合っていたので、どうもこの人は切れ者とか凄腕という役は似合わないんじゃないだろうか。
連続殺人の手口も「何じゃそりゃ?」だったが、何よりもキャスティング段階でこの映画は失敗しているように思う。
いっそのこと、殺人犯の姿は終盤まで手や足だけしか映らず、ラストに全身が登場したらキアヌ・リーヴスだったという方が衝撃があったかもしれん。
無意味な大爆発のシーンも、作品のカラーからは浮いている。
サスペンス映画ファンには受けないだろうし、キアヌ・リーヴスファンにもあの太り具合はまずいだろう。満足できるとしたらジェームズ・スペイダーファンぐらいか?