
『ナイルの宝石』(1985) THE JEWEL OF THE NILE 106分 アメリカ
監督:ルイス・ティーグ 製作:マイケル・ダグラス、ジョエル・ダグラス 脚本:マーク・ローゼンタール、ローレンス・コナー 撮影:ヤン・デ・ボン 音楽:ジャック・ニッチェ
出演:キャスリーン・ターナー、マイケル・ダグラス、ダニー・デヴィート、スピロス・フォーカス、アブナー・アイゼンバーグ、ポール・デヴィッド・マギッド、ハワード・ジェイ・パターソン
前作『ロマンシング・ストーン』はニューヨークの街中にヨットが現れるという劇的なエンディングで終わった。
それから時は過ぎ、ヨットで世界一周をしている最中の女性作家ジョーン(キャスリーン・ターナー)とその恋人のジャック(マイケル・ダグラス)の仲は停滞気味である。
前作は南アメリカで宝石を巡っての大冒険で知り合い恋に落ちた二人だが、「異常な状況下で結ばれた二人は長続きしない」というやつであろうか。
そういえば、撮影監督が『スピード』のヤン・デ・ボンだ。いやまぁどうでもいいことだが。
ついに破局を迎える二人だが、ジェーンはある男の伝記を書くため、ジャックは「ナイルの宝石」をその男から奪い返そうとするアラブ人に脅迫されて、別々にナイルに向かうことになる。
ナイルの宝石はどこにあるのか、そもそもナイルの宝石とは何なのか。その謎だけで物語は最後までひた走る。
走ると言えば戦闘機F-16も走る。昔にどこかで読んだだけなので確実かはわからないが、何でもこのF-16は軍隊から実機を借りることが出来なかったので、撮影用に実物大の模型を作ったは良いが、空を飛ばすことが出来ない。そら、飛ばんわ。
SFXで飛ばすことも検討されたが、飛ばないならばいっそのこと飛ばないまま地面を疾走させるだけにしよう、ということでナイル近辺の砂漠をF-16が走り回りアフターバーナーまで吹かすことになったのだとか。
操縦席のマイケル・ダグラスが「スペース・インベーダーよりも簡単だ」といっているのが時代を感じさせる。せめて「ギャラクシアン」って言えよ。・・・あんまり変わらないか。「ギャラガ」?
女性向けロマンス小説を得意とするが、本人の生活はまるでロマンスとはほど遠い女性作家が、南アメリカである事件に巻き込まれ、そこで出会った粗暴な山師マイケル・ダグラスと出会い、ケンカを繰り広げながら最終的には結ばれるという、基本的には古典的ロマンス物だった前作『ロマンシング・ストーン』。
今回もメインはロマンスだが、倦怠期から始まるというのが目新しい。
ラストは当然ハッピーエンドだが、これだってあと5年、10年、15年後はどうなっているのだか怪しい物だ。
その17年後の姿を描いたのが、ジョーン&ジャックシリーズではないが、キャスリーン・ターナー、マイケル・ダグラス、そしてダニー・デヴィートとほぼ同一キャストで作られた『ローズ家の戦争』(1989)であろうか。
マイケル・ダグラスは主演だけでなく、制作者としても映画に関わっている。
個人的にはあまり好きな役者ではないが、偉大なる俳優カーク・ダグラスを父親に持っていることを考えると、その重圧やコンプレックスはかなりのものだったに違いない。
実際、異母兄弟のエリック・ダグラスはB級映画に何本か出演しただけで、世をすねるような形で消えてしまい、最終的には若死にしてしまった。
有名な俳優を親に持つ二代目俳優の多くがあまりぱっとせず、売れたとしてもそのご堕落していくことが多いことを考えると、マイケル・ダグラスは私生活で多少の問題はあるようだが、映画人としては成功している比較的数少ないケースだろう。