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『戦国自衛隊1549』 精製する石油はどっから持ってきたんだ?

B000BVMD2Q.jpg『戦国自衛隊1549』(2005) 119分 日本

監督:手塚昌明 製作:黒井和男 プロデューサー:鍋島壽夫、土川勉、貝原正行 原作:福井晴敏 原案:半村良 脚本:竹内清人、松浦靖 撮影:藤石修 美術:清水剛 編集:普嶋信一 音楽プロデューサー:岸健二郎 VFXプロデューサー:大屋哲男 音響効果:柴崎憲治 特技監督:尾上克郎
出演:江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史、北村一輝、綾瀬はるか、生瀬勝久、嶋大輔、的場浩司、宅麻伸、伊武雅刀

 そもそも福井晴敏原作作品を観始めたのは、スカパーで『戦国自衛隊1549』をやっていたからだ。
 つまらないんだろうな~と思ってみたが、これが意外に笑えた。
 もうハチャメチャのシッチャカメッチャカ。何ですかこれは?といった具合に楽しめたのだ。というか、心が勝手に回避行動をとって、真面目に見ることを拒否したのだ。

 磁気バリヤーの実験中に戦国時代に飛ばされた陸上自衛隊。装甲車や戦車、そしてアパッチ攻撃ヘリまで一緒だ。
 そして、2年後。太陽の活動が1回目の事故と同じような状況になったため、こちらも重装備の救援隊が過去、1549年の日本に行く。
 ところが、救出を待っていたはずの自衛隊員が戦国時代を生き抜く、いや勝ち抜くために現代兵器の圧倒的威力で戦国地図を塗り替えていた。そして、その隊長は織田信長となっていたのである。

 なんでやね~ん!

 磁気バリヤー用の燃料電池だかが、核兵器並みの爆発力を持っているというのも意味が分からん。そんなもん危なくて使えんわ。

 戦国時代と言えば中部から関西が主な舞台と戦場である。長篠の戦い(愛知)も桶狭間の戦い(愛知)も本能寺の変(京都)も、戦国時代を終わらせた関ヶ原の戦い(岐阜)も、どれもこれも愛知以西で行われている。
 それなのに、織田信長になりすました自衛官(鹿賀丈史)は富士の裾野近くに城を建てて何をしようと言うんだろうか。
 どうやらこのタイムスリップでは時間を移動するだけで、場所は同じままの様子。ということは、タイムスリップの場所は陸上自衛隊の訓練地内だからおそらくは御殿場だろう。戦国合戦映画のロケ地として有名な御殿場だが、戦国地図から大きく離れた外だ。
 どうやら燃料電池を地下に撃ち込んで富士山を噴火させ、それによって関東を壊滅させるつもりらしい。そして現代の東京はなくなり、誇りを失った日本人が消え去ってより素晴らしい日本が誕生する。相変わらずよく分からない理屈だ。
 でもね、戦国時代の関東なんて人もあまり住んでないド田舎。壊滅させてもあまり意味がないだろうに。京都を目指せよ、本物の織田信長と同じにさ。

 ある人物が豊臣秀吉だと分かるシーンなどはなかなか面白くて、ちょっとゾクゾクした。好きだな、こいうの。
 戦いのシーンが、戦国時代の武士対自衛隊ではなく、自衛隊対自衛隊になっているので、自衛隊を戦国時代に送り込むというコンセプト自体が無駄になっている。
 人の死が記号化されているので、オリジナル版よりも娯楽向きではあろう。
 それにしても、何で防弾着で命が助かった人物は、服をはだけて防弾着を観客に見せて、「あー助かった」というのであろうか。どの映画でもそう。

 主人公の江口洋介が懐かしい。生きてたのか。それなりの大作の主役に今さら江口洋介を使う意味が分からない。
 鈴木京香の女性自衛官も似合ってない。ハリウッド映画ならば、戦国時代の知識や文化風俗に詳しいを持った女性学者を同行させるところだろう。

 福井晴敏原作作品では一番評価が低いようだが、ここまでハチャメチャだと逆に笑える。ここまでひどいともう笑うしかない。
 もうね、何も考えてないよ、この映画。
 かなりクズ映画に近いが、ぎりぎりなところでバカ映画になっている。
 楽しめたといっても、及第点には達していない。スカパーで観たから金額的にはかなり安かったが、これが劇場で観ていたら怒っていただろう。
 それにしても、主人公も敵役も、やたら自己主張というか説教を大声でわめき立てるのにはうんざり。

 三作作ってどれも及第点には達していなかったので、福井晴敏作品の映像化はこれで終わりそうだ。
 良いことである。この人の小説はつまらんので嫌いだ。

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