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映画バカ青春記 第124章 最後の試験

 プライベートフィルム上映会が終わり、『きしむ男』はそれなりに評判が良かったと思うが、なにぶん5年生の撮った映画だ。つまらなかったとしても下級生からは悪い批評はしにくかったに違いない。
 そして大晦日が過ぎ1992年になった。
 ほどなくして後期試験が始まった。
 これが大学祭後の試験になる。なるはずだ。ならないと困る。

 取得すべき単位は一般科目から1つ、そして英語が1つの合計2単位。
 一般科目の方は4つか5つばかり選択しておいたのでどれか一つが可以上を取ればいい。数打ちゃあたる戦法だ。
 問題は英語である。
 講義には真面目に出席した。欠席はほとんどない。講師のおじいちゃん先生、通称二郎ちゃんにも顔と名前を覚えてもらっていた。
 ただ、テキストにロナルド・レーガンが暗殺未遂で撃たれたときの発言で
「I Forgot to Duck.」
 と言ったのを、二郎ちゃんは、レーガンは「わたしはアヒルを忘れた」とジョークを言っているのですが、これは私たち日本人にはピンときませんねと説明したところへ
「いや、先生。そのDuckはアヒルじゃなくてボクシングなんかのダッキング、つまり銃弾を避けるのを忘れてたよというジョークなんじゃないですか」とつっこんで、
「そういう解釈もあるかも知れませんね」
と少々うろたえさせてしまったので、心証が悪いかも知れない。
 もちろんオレは英語が大の苦手なので、これが生まれて初めて英語の教師につっこんだ瞬間である。
 しかしまぁ、死にかかったという事件についてもジョークを言わなければならないとは、アメリカ合衆国大統領というのも難儀な商売だ。というか、さすがロナルド・レーガンと言うべきか。ブッシュ大統領などあまり気の利いたことは言えなさそうだ。

 名城大学の商学部、現在では経済学部に名前が変わっているが、当時の商学部では全学生がゼミを受講することができなかった。
 マンモス校なので学生数が多く、講師の数もゼミ室の数も足りなかったのだ。
 そこで、希望したゼミについて抽選が行われ、オレは落ちた。
 だからオレはゼミの経験がない。そしてゼミがないということは卒業論文もないのだ。よって卒論を書かずに済んだ。楽だが、ちょっと何だかなぁと思わないでもない。

 試験が終わり、ほどなくして結果発表。
 意外なことに受けた試験は全て通った。
 真面目に出席したし、勉強もちゃんとした英語が可止まりだったのが、自分の英語の実力を示していて悲しいが、不可でなくてよかったよかった。
 これで卒業は決定。就職も決まっていて、順風満帆である。
 心の隅で、「それでいいのか?」という声が囁いていたが、気にしない気にしない。

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