もう映画は撮らないなどと言っていたオレだが、卒業が近くなってくるとこれで終わりというのは少々寂しくなってきて、最後の一本を撮ることに決めた。
前作『なるようになる』は現場でストーリーから演出まで即興で作った映画だが、今度はしっかりと脚本を書く。出演者はシネマ研究会の連中で演技は素人。だから初期段階でキャスティングを決めておいて、彼らのイメージに合わせてキャラクターを作っていく。
コメディ映画が大好きなオレとしては、一度撮っておきたいシーンがあった。それはバナナの皮で滑って転ぶという古典的なギャグだ。バナナの皮と、ついてなくたって気の持ちようで楽になるというのをテーマにストーリーを作っていく。
思えば『なるようになる』は自分を見失いそれを探し求めるというテーマであったし、今回は気の持ちようさである。その頃のオレの心理状態が見て取れたりもする。
それでもあくまでもこれはコメディ映画。いくつもギャグを考えては出来の悪い物は捨てていく。
ほどなくして脚本は完成した。フィルムに必要な小道具も揃った。
あらかじめ出演を依頼しておいた部員たちに日程を伝え、ついに撮影開始。