
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001) THE ROYAL TENENBAUMS 110分 アメリカ
監督:ウェス・アンダーソン 製作:ウェス・アンダーソン、バリー・メンデル、スコット・ルーディン 製作総指揮:ラッド・シモンズ、オーウェン・ウィルソン 脚本:ウェス・アンダーソン、オーウェン・ウィルソン 撮影:ロバート・D・イェーマン 音楽:マーク・マザースボウ、エリック・サティ
出演:ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティラー、グウィネス・パルトロー、ルーク・ウィルソン、オーウェン・ウィルソン、ダニー・グローヴァー、ビル・マーレイ
宣伝のあおり文句やネット上の感想などから、「いかにもなひねくれて鼻につく作品かなぁ」と敬遠して観なかった『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』だが、しまった面白い。もっと早く観ておけばよかった。まぁ、観ずじまいよりはいいか。
図書館で借り出される本という形を取ってのタイトルの出し方で、これはお話、おとぎ話までは行かないが、リアルさを追求したものではなく寓話だということが分かる。
オレとしてはオフビート系のコメディだと解釈した。
あまり深い意味とか隠された答えとか隠喩や暗喩の類を捜し出そうとしない方が良い。多分無いから。
テニスや戯曲、投資などの才能を持つ3人の子供たち。一見幸せに見えるその一家だったが、誠実さに欠ける父(ジーン・ハックマン)によってバラバラになってしまった。
そして時は過ぎ、子供たちは大人になった。才能は過去の栄光となり、冴えない不遇な生活を送っている。
家を追い出されて、長年ホテル暮らしを続けていた父が、ついに一文無しになりホテルから追い出されたところから話は本格的に始まる。
居所を求めた父は、胃ガンだと嘘をついてバラバラになった家族を集め、再び家で一緒に暮らそうとする。
と、ここまで書くとなにやらヒューマン・コメディの様だが、登場人物が妙なヤツばかり。そもそもジーン・ハックマンとアンジェリカ・ヒューストンの夫婦というのが濃い。濃すぎる。
父親は過去の自分を反省し家族に償おうというのではない。
金も住処もなくなり、居場所を求め、寂しさを埋めるために家族を集めようとする。
それもこれも自分のため。嘘をつくのも自分のため。
最初っから最後まで自分勝手を貫き通し、それに振り回されている間に心が整理されそれぞれに落ち着いていく家族たち。
結果としてハッピーエンドを迎えるが、父は家族を幸せにしたかったのではなくて、自分が幸せになりたかっただけ。その自分勝手さがいい。
ジーン・ハックマンがやると、これがまたふてぶてしいんだ。
これまで低予算映画を2本撮っただけの30過ぎの新人に、これだけのキャストを預けてしまう製作陣も偉い。
しかも監督だけではなく脚本もウェス・アンダーソンのワンマン映画。失敗作になる可能性は大いにある。
それほど予算はかけずに作っているようなので興行的にも成功したのだろう。その後はより金のかかっていそうな『ライフ・アクアティック』(2005)を撮っている。
こちらも面白い。