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映画バカ青春記 第99章 シークレット・サービスは山本小鉄

 『子どもパビリオン・キッズストリート』第一話に登場する美少女博士には身辺警護のSPが数人付いている。
 そのSPのボス役が決まるまでにちょっとゴタゴタした。
 最初に候補に挙がったのはサンダー杉山。ハゲ頭がトレードマークのプロレスラーだ。
 だが、出演料交渉でかなり高額を吹っかけてきたらしく、予算不足で×。
 続いて、体格の良さから元ビジー・フォーのウガンダの名前が挙がったが、「この人は音楽関係だろ。放送前に薬で逮捕されたりすると困るからな」という理由で×。
 ウガンダ氏の名誉のために言っておくと、ディレクターの発言はまったく意味のない偏見による物で、ウガンダ氏が薬物をやっているとかそういう確証も何もない単なる放言。最近ではウガンダ氏はNHK教育に出演したこともあるようで、何ら問題のない方である。

 ここで、ディレクターとしても特に期待して聞いたわけではないだろうが、オレとU場さんに「誰か良さそうな人がいないかね」と話を振ってきた。
 サンダー杉山の流れからなんとなく「山本小鉄はどうですかね。プロレスのレフリーや解説をやってるスキンヘッドの人なんですが。元プロレスラーなんで体格も良いし迫力ありますよ」
 本当に思いつきだけで言ったのだが、ディレクターが「ふむむ」と何やら考え込んでしまった。
「よし、その山本小鉄に関する資料を明日までに揃えておけ」
 そう命令された俺とU場さんであった。
 ただ、このエピソードは記憶があやふやなのでU場さんが言い出したのを勘違いしている可能性もある。とりあえずオレたち二人のうち、どちらかなのは確か。

 資料と言われても今のようにネットで情報収集が出来るわけでもなく、NHKの資料室にもあまり詳しい文献はない。マイクロフィルム化された新聞はあるが、一般新聞なのでプロレスの記事はほとんどないのだ。
 ところが、U場さんの弟がプロレスファンで、プロレス雑誌をずっと買っていることが判明。何冊か見繕って持ってきてもらうこととなった。
 山本小鉄さんの写真が載ったプロレス雑誌数冊と、オレが調べてきた山本さんの身長体重などの基礎データをディレクターに提出。
 そしてあれよあれよと話が進んで、SPのボス役は山本小鉄さんが演ずることになった。

 ロケバスでの移動中に近くに座る機会があって、ちょっとばかりお話をさせていただいた。身長は170cmのオレとほとんど変わらないが、丸太のようにがっしりとしていて、さすが元プロレスラー。実に強そうで迫力がある。
「出演依頼が来るのはほとんどが悪役で、今回みたいに正義の味方ってのは珍しいからね。それだから引き受けたんだ」
 確かに美少女博士を守るSPだから正義の味方とも言える。終盤には悪人との対決もあるし。
 話の折に奥さんのことが出てきたが、あの厳つい顔がとろけるように変わる。どうもすごい愛妻家の様子である。
 他にも、オレのような下っ端スタッフにも言葉が丁寧だし、ちゃんと対応してくれる。実に素晴らしい人であった。芸能人専門の人だと、SD(AD)など人間扱いしない人もいる。オレはヒエラルキーの最底辺の存在なのだ。

 この回には、年長の女の子の姉役としてキューティー鈴木も出演しており、ちょっとしたアクションシーンもある。
 山本小鉄さんとキューティー鈴木共演ということで、プロレス雑誌の記事にもなったと聞く。

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