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映画バカ青春記 第98章 バイトでゲーセン通い

 『子供パビリオン』や『キッズストリート』に関してはネットで検索してもほとんど情報がない。ソフト化もされていないようだが、せめて簡単な情報だけでもNHKはまとめておいてくれないだろうか。
 第1話は『危機一髪!!美少女博士』というタイトルだ。どういうわけだか『美少女戦士』と記載されているサイトがいくつか見受けられた。まぁ一文字しか違わないと言えば違わないが・・・博士と戦士じゃ大違いだ。

 簡単にストーリーを要約すると、主人公は5人組の子供。女の子2人に男の子3人。なんか戦隊物の人数と比率だ。
 彼らが暮らす街、名古屋にアメリカから美少女博士がやってくる。アメリカ人のその少女は10歳でMIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業した・・・のかどうかはしらないが、まだ小学生高学年の年頃なのに博士号を持つ天才だ。
 その美少女博士が警護のSPの隙を突いて逃げ出し、主人公たちと知り合ってつかの間の休日を楽しむ。
 しかし、彼女の天才的頭脳を狙う悪の組織の魔の手が伸びてくるのであった。

 ぶっちゃけ言ってしまうと『ローマの休日』の子供バージョンだ。年長の男の子との淡い恋心のシーンもあるし。
 この美少女博士はオーディションで選ばれたお父さんがアメリカ人、お母さんが日本人(だったかな)のハーフの女の子。演劇経験はほとんど無しの素人さんだった。可愛らしい子ではあったが、度の強い眼鏡をかけていて、美少女?ではあった。さすがにラストシーンの決めぜりふ「Someday,Somewhere,we will meet again」をしゃべるシーンの発音が上手い。当たり前と言えば当たり前だが。

 主人公の子供たちが博士の天才ぶりを知るシーンはゲームセンターだった。
 難易度の高いゲームを、初プレイの博士が簡単にクリアしてエンディングまで行ってしまう。
 このシーンの撮影にはゲームをクリアできる人間が必要だ。
 そこでオレに命令が下った。
「そのゲームをクリヤしろ」
 なんかクライブ・カッスラー作品のタイトルのようだ。
 その回のディレクターと一緒にロケ地となるゲームセンターに行った。
 オレはR-TYPEや雷電などシューティングは多少やり込んだので、できればその手のゲームを選んで欲しかったのだが、ディレクターが「これが良いだろ」と示したのは兵士が武器を使って面クリしていく横スクロールのアクションゲームだった。
「アクションゲームはあまりやったことないんですけど」
「とやかく言わずこいつをクリアできるように特訓をしろ。ゲーム代と時給は出すから」
「はぁ・・・」
 こうしてオレは職場公認で仕事としてゲームセンターに行き、ゲーム代はNHK持ち、しかも時給1000円という、ゲーム好きならば嬉しくて仕方ない状況に身を置くことになった。
 だが、友達と週に1、2回ゲーセンに行って2、3プレイするだけのオレには、「クリヤしなければならない」というのはかなりの重圧だった。
 それまでにゲーセンでクリアしたゲームはR-TYPEぐらい。シューティングと横スクロールアクションではまるで勝手が違う。
 ゲームのタイトルは忘れてしまったが、近未来が舞台でプレイヤーは主人公の兵士を操り、様々な武器や乗り物を駆使して敵を倒していく。確かSNKのタイトルだったと思う。
 毎日仕事帰りにゲーセンに通った。積んだコインがどんどん減っていく。
 それでも、毎日毎日金をつぎ込めば、敵が出現するパターンやタイミングも身についてきて、飛び交う銃弾をドット単位で避けるテクニックを習得した。

 そしてついにゲーセンでのロケ。
 博士がゲームをスタートするところまでやって、そこからはオレが引き継ぐ。
 子供たちやスタッフが見守るなか、多少緊張していたが意外と本番は強いのでバリバリザッザッと兵士を操っていく。2度ほどコンティニューをしながらプレイを進め、ついには巨大ラスボスのと対決。こいつを
「一撃でクリアー!」
 こうしてゲームはエンディングを迎え、スタッフクレジットが流れ始めた。

 ふっ
 そんなオレの耳に子供が「あの人何者ですか」とスタッフに尋ねる声が聞こえる。
 ゲーム名人でも連れてきたのかと思ったのかも知れないが、その正体は単なるSD(サブディレクター)だ。

 後日、編集段階のビデオを見せてもらったら、ラスボスとの戦いやエンディングは使われてなかった。使われていたのは、途中の四方八方から弾が飛んでくるのをすり抜けながら進むところ。
 確かに派手だしテクニックが必要そうに見えるシーンなのだが、じゃあクリアするまで特訓したオレの立場は?
 しかし、NHKでバイトを始めていろんな仕事をやったが、ゲーセンでゲームをやるというこの仕事が一番妙だった。

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