94章の書き方だとスムーズに完成まで行き着いたように思えるが、実際はそう簡単にはいかなかった。
現像からあがってきたラッシュフィルムを観て、「あーダメだダメだ、才能ない、下手だ下手」と頭を抱え込み、編集に取りかからずにそのまましまい込んでしまった。
そしてそこへ年度末試験の襲来。
3度目の年度末試験ともなると慣れてきて簡単簡単・・・というワケにはいかない。
単位が取りやすい講義から受講していったので、そろそろ手応えのある試験が増えてきたのだ。
しかも、バイトバイトで講義への出席率はおろか、学校への登校日数も少ない。
ツテとコネを利用して、可能な限りノートのコピーと予想問題集を集めた。細かく勉強している時間はない、短期決戦である。
普通にやっていれば2年生で終わっている外国語だが、オレはまだ英語を2単位、ドイツ語を1単位残していた。これが一番の強敵だ。
ドイツ語のテストは辞書持ち込み可だった。そこで、辞書に例文を小さな文字で余白に書き込んで試験に挑んだ。チラチラと辞書を除いていたら、担当講師がオレの辞書をバタンと閉じ持って行ってしまった。カンニングがばれたのだ。しょうがないので自力で挑んだ。
大学の試験はカンニングが発覚すると全科目の単位が不可となる。辞書を取り上げるだけで済ませてくれたのは、温情ある行為だったのだ。あー、やばかった。
自力で挑んだドイツ語はなんとか可を取った。英語は2単位のうち取れたのは1単位で、4年に1単位残した。
まぁボチボチの成績だった。これなら4年で必要単位を取得するのは大して難しくないだろう。
そして春休みが過ぎ、1990年度が始まった。
次回作をどうしようかな、まずは2、3ヶ月ほったらかしと未完成で終わった『茶の間の生活』のフィルムをもう一度観直して、どこがダメだったか反省点を洗い出すところから始めよう。
そして部室でラッシュフィルムを上映してみると、あれ?面白いぞ、これ。
勘違いかなと思ってもう一度観直すと、やはり面白い。
大雑把に1本のフィルムに編集してみる。やっぱ面白い。
これはお蔵入りはもったいないと、本気で編集作業に取りかかった。
2作目ということもあって段取りは分かっている。相変わらずバイトが忙しいが、その合間を縫って作業を進める。
編集は相変わらず楽しい。これぞ映画作りだ。
そして音入れをして完成。一度は見捨てようと思った作品とは思えない面白さ(自画自賛)