撮影をいつ行ったかははっきりとした記録がない。
1989年の後半か1990年の初頭だと考えられる。
メインキャストの眼鏡、ノッポ、チビは全員1年上の先輩で、撮影時に4年生だった。
全員4年生というのにさほど大きな理由はない。それよりも、それぞれのイメージ優先のキャスティングだった。全員がスクリーンに映し出されただけで人目を引く印象の持ち主だったのだ。
さらに印象を強めるために主人公には眼鏡、チビにはアポロキャップをかぶってもらい、さらには常に瓶に入ったジャムを舐めているという設定にした。ジャムを舐めているというのはゴダール作品のどれかのパクリだ、すまん。
ノッポはその風体だけで充分なので、それ以上は小道具は使わなかった。
冬で日差しが差す時間が短いので、まずは屋外シーンをまとめて撮影した。
ロケ地はオレの下宿先近く。
空き地にBMWとトランザムの事故車がずっと放置されていて、絵として面白いのでこれはいつか使おうと思っていた。導入部として面白いシーンになったと思う。
続いて自販機のシーン。
コカコーラ自販機の鮮やかな赤と、隣に積まれた赤と黄色のビールケース、そしてちらりと映る青い空が気に入ってこのシーンを入れた。
自販機のアップも映るが、大瓶がペットボトルではなくガラス瓶なのが時代を感じさせる。
ルーレットが当たったときのチャイムは自転車のベルを連続で鳴らした音源を早送りして高音にしたもの。
「あの音を録音するまで何本ジュースを買ったんですか」とバカな後輩が聞いてきた。するか、そんなこと。
そして、順番は飛ぶが、ラスト間際の空き地で踊るノッポとチビのシーンを撮って屋外シーンは終了。
キャストが現場慣れしているので短時間で撮影が進んだ。
オレの下宿に入って、ちょっと一息。
茶の間と言っているが、ロケはダイニングキッチンだ。本来のイメージとしては6畳一間の畳敷き木造アパートなのだが、オレの下宿アパートだと年季を感じさせてくれない。まぁ、仕方ない。
代わりに、普段は台所としてだけ使っている部屋で、余分な物とかポスターなどが無く、生活感の無さがちょっと面白い効果になったと思う。