オレの所属は制作部のドラマ班。名前の通りTVドラマを作る職場だ。
名古屋のNHKでは『中学生日記』も作っているが、あれは教育班の仕事なので隣の部署となる。あくまでもドラマではなく教育番組なのだ、実は。
撮影と撮影の合間で、暇とまでは行かないがちょっと手持ちぶさただったオレに、良い経験だしちょっと他部門の仕事を手伝ってこい。との命令が下った。
まずはBSの公開ロケだった。場所は名古屋市内の大型量販店。そこに椅子が並べられて、主に子供が座った。
出演者はアナウンサーとゲストの二人。ゲストは江口洋介。
なんで江口洋介やねんと思ったが、当時放映されていた大河ドラマ『春日局』(1989)に若き将軍役か何かで出演していたのだ。オレにはちょっと前の『湘南爆走族』が思い出されて、目を合わせることが出来なかった。吹き出すよ。
BSの本番組前にあるミニコーナーらしく、江口洋介へのインタビューや、これから始まる『アルフ』という子供向け番組へと話が続く。
司会者のお姉さんがガキにマイクを向ける。
「君の家ではBSが映るかな」
「うん、映るよ」
「好きな番組とかある?」
「『アルフ』が好き」
「うわぁ、すごい偶然ですね」
おお、なんという偶然。これから始まるのがその『アルフ』ではないか。
・・・偶然ちゃうちゃう。あらかじめ『家にBSを引いてる子』、『アルフを見てる子』を探して、最前席に座らせてたよ。というか、オレがやったよ。
まぁ、実際に『アルフ』が好きな子だからやらせではないんだけどね。
『アルフ』が始まったら、みんなで見る、わけではなくとっとと撤収。
ドラマのロケとは違って、これまた勉強だった。