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映画バカ青春記 第86章 東森時音貸します

 オレの所属は制作部のドラマ班。名前の通りTVドラマを作る職場だ。
 名古屋のNHKでは『中学生日記』も作っているが、あれは教育班の仕事なので隣の部署となる。あくまでもドラマではなく教育番組なのだ、実は。

 撮影と撮影の合間で、暇とまでは行かないがちょっと手持ちぶさただったオレに、良い経験だしちょっと他部門の仕事を手伝ってこい。との命令が下った。
 まずはBSの公開ロケだった。場所は名古屋市内の大型量販店。そこに椅子が並べられて、主に子供が座った。
 出演者はアナウンサーとゲストの二人。ゲストは江口洋介。
 なんで江口洋介やねんと思ったが、当時放映されていた大河ドラマ『春日局』(1989)に若き将軍役か何かで出演していたのだ。オレにはちょっと前の『湘南爆走族』が思い出されて、目を合わせることが出来なかった。吹き出すよ。
 BSの本番組前にあるミニコーナーらしく、江口洋介へのインタビューや、これから始まる『アルフ』という子供向け番組へと話が続く。
 司会者のお姉さんがガキにマイクを向ける。

「君の家ではBSが映るかな」
「うん、映るよ」
「好きな番組とかある?」
「『アルフ』が好き」
「うわぁ、すごい偶然ですね」

 おお、なんという偶然。これから始まるのがその『アルフ』ではないか。
 ・・・偶然ちゃうちゃう。あらかじめ『家にBSを引いてる子』、『アルフを見てる子』を探して、最前席に座らせてたよ。というか、オレがやったよ。
 まぁ、実際に『アルフ』が好きな子だからやらせではないんだけどね。

 『アルフ』が始まったら、みんなで見る、わけではなくとっとと撤収。
 ドラマのロケとは違って、これまた勉強だった。

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