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映画バカ青春記 第82章 倒れる

 ロケの日程は10日ほどだったろうか。スタッフキャストともに同じ宿に泊まり込み、常在戦場で気の抜けない毎日だった。
 この忙しさが楽しかった。毎日、新しい事態に出くわしては一つ一つ憶えていく。短時間の間に自分の経験値が上がっていくのが肌で理解できた。
 そしてロケも後半に入った頃、朝起きるとグルグルと視界が回転していた。思わず布団に座り込む。熱が出ていた。39度を超える高熱。視界はグルグルと回転し続けた。
 オレを置いてロケ隊は出発していった。しばらく部屋で休み、ある程度落ち着いてきたのでタクシーで近くの医者まで行った。保険証を持ってきて正解だった。
 医者は「ちょっと脱水症状が出てるね」といいながら注射をし、熱が下がるまでは大人しくしているようにと指示を出した。

 しかし、SDの仕事は大人しくしていることではない。もう少しすると昼食の時間だ。弁当の受け取りと配る仕事が待っている。しかも、今日は試合のシーンの撮影で、参加する人数も多く、仕事も多い。
 タクシーを宿ではなくロケ先のグランドに行ってもらう。注射が効いたのか、目をつぶっても世界はグルグル回らなかった。

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