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映画バカ青春記 第61章 再会と『3-4X10月』でトンチンカン

 1987年の9月、オレは半年ぶりに母校である半田高校を訪れていた。
 文化祭である柊祭の一般公開日、校内は賑わっていた。
 所属していた放送部のスペースをのぞくと、あとは特にやることもない。
 なんとなく校内をぶらついていたら、図書館で高校3年生の時にちょっとだけ付き合った彼女と出会った。
 彼女は高校3年生になっていた。進学について悩んでいるとの相談を受け、なんだかんだと答える。
「悩んだって落ちるときは落ちるし、悩まなくたって受かるときは受かる」とか、人によっては不真面目と感じるかも知れないが、オレなりに思っていることを話した。

 それから、月に1度ほど電話をするようになった。
 相手が受験生なので、付き合うとかではなく、とりあえず友達として。
 そして、1988年の3月に彼女の進学が決まると、正式に男女交際を始めることとなった。

 だが、その時のオレは「女の子と遊ぶ」よりも「映画を観たり、映画について考えたり、映画について話したり」する方が面白くってしょうがないという映画バカだった。
 なに言ってんだって感じだが、世の中に恋愛至上主義者がいっぱいいるのだから、たまには映画至上主義者だっている。
 彼女は映画はほとんど観ない、観なくても困らないという人だった。
 そんな二人がなぜ付き合うようになったのか、なぜ長続きをしたのかは、よく分からないが、一つには月に一度会うか会わないかというデート頻度の少なさだろう。
 大学生の男と短大生の女が交際していて、遠距離恋愛でもないのに、月に一度しか会わない。まぁ、ちと変わっている。

 映画に誘ったら、「面白い映画が良い」というので、北野武の『3-4X10月』(1990)に連れて行ったことがある。
 今にして思えば、映画好きでもない彼女を北野武の映画に連れて行くなんて無茶なのだが、“面白い映画”の部分だけに反応したのだ。
 いずれ単独の映画評で書くだろうが、『3-4X10月』には思いっきり期待していた。
 『その男、凶暴につき』では出来の悪い脚本と設定をかなり無視していたが、それでもまだ縛られているところがあったが、今度は武オリジナル脚本だ。名実とも武の映画で、これが真のデビュー作だと思っている。

 観終わった後で、興奮してあれこれ話しているオレに彼女は、「ガダルカナル・タカがスナックに来ていた女性客を殴ったのが許せない。女の人に暴力を振るうなんて最低」と応えた。
 正直、彼女が何を言っているのか理解できなかった。
「いや、それはタカが元暴力団員で、スナックのマスターになっても過去が忘れられず、半端な男になっているのを表すシーンで」うんぬんと、トンチンカンな受け答えをした記憶がある。

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