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映画バカ青春記 第52章 来たれ!シネ研へ

 学校が本格的に始まると、各部とも新入部員の獲得のために勧誘に走った。
 学内のあちこちには立て看板、通称立て看がいくつも立てられていた。
 我がシネ研の立て看は、何がどういう理由なのかしらないがメインの校舎である1号館の正面玄関右側という絶好の場所に立てられていた。
 しかも、他の部の立て看がせいぜい畳一枚ぐらいの大きさなのに、シネ研のは実に巨大。四畳半はあって実に目立つ。

 何故シネ研が優遇されていたのか。各サークルの中で力を持っていたかは、実は古い過去の出来事ゆえだった。
 それに関してはあまりに古いこと故、オレはほとんど知らないのだが、その年の秋の終わりにある事件で関わってくるのでそこでちょっと書く。

 オレ自身新入部員だが、当然のごとく勧誘にかり出された。
 主な仕事はビラ配り。名城大学は丘の上に立っている。丘の上の学校というとなんか学園ゲームのようで聞こえはいいが、実際に通ってみると疲れるし面倒なだけだ。
 正門からその丘を登ってくる生徒に片っ端からわら半紙に刷った勧誘のビラを配る。
 どの生徒にも片っ端から配ったら、1年生以外にも渡すことになるので非効率じゃないかと思った人は、私大文系を甘く見ている。
 1コマ目の授業に間に合うように出てくるのは新入生ぐらいなものだ。これが二年生となると遅刻して出席する。三年となると出席しない。四年生となると、そもそも朝の1コマ目の授業など選択しない。
 まぁこれは半ば冗談だが(ってことは半分はマジかよ)、2日も作業をやれば新入生かそうでないかは分かるようになる。やはり初々しいというか希望に満ちあふれた顔をしている。
 ビラ配りは、サラ金のティッシュ配りみたいなものでほとんど反応がないが、たまに興味を持ってくれた人がいて、「シネマ研究会ってどんな活動をやってるんですか」と尋ねてくれることもある。
 そうなると、これが困る。
 オレ自身、入部したばかりの新入部員なのだ。部活動の内容などほとんどしったこっちゃない。
「えーと、8ミリフィルムで映画を撮っています。前期と後期で年二回上映会をやります。それから、その月に観た映画の感想や映画評を各自が書いて『ル・シネマ』という機関誌を作ります」
「ふーん」
 で、そのまま行ってしまう。

 映画は好き。結構観るよという人は多いが、大学のサークルに入ってまでという映画好きは案外少ない。
 授業で知り合った人を部室に連れてくるまでは成功したが、二度とこなかったりもした。

 一人目の新入部員(つまりオレだが)が入ってくるのは異様に早かったが、二人目がなかなか入ってこなかった。
 それでも地道なビラ配り、サークル説明会、部室を訪問した新入生への説明などで、ポツポツと入部者が増えていった。

 5月に入る頃には、4年制から男子部員6人、短大から3人。
 合計9人の新入部員が誕生していた。
 シネ研の部員合計数が30人台なので、例年並みの人数とのことだった。
 こうして、オレのシネ研生活が本格的にスタートした。

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