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映画バカ青春記 第51章 史上最速の新入部員

 名城大学の入学式は愛知県体育館で行われた。
 新入生の何割かはスーツ姿で出席していた。
 それを見てオレは「アホか、こいつら」と思った物だ。
 入学式出席のためにスーツを買って、その後それをどうするつもりなのだろう。
 学生の日常生活で着る機会はまずないだろうし、タンスの肥やしになるだけだ。
 もちろんオレは普段着。さすがにダラッとした格好ではなかったが、別段着飾るようなことはしなかった。

 退屈な入学式終了後、(入学式や卒業式というのはなんでああも退屈なのだろうか。ひょっとしたら退屈にしなければならないという文部省の影のお達しがあるのかもしれない)、一部の学部は手続きのために学校へ行くことになっていたが、経済学部はそのまま解散で手続きは後日ということになっていた。
 しかし、オレは学校へ向かった。
 今日からオレは名城大学の学生。ならば、その初日にやらなければならないことがある。
 もちろん、シネマ研究会への入部だ。

 名城大学の映画研究会はシネマ研究会という名前だ。
 なぜ映画ではなくシネマなのかは不明だが、過去に部内での対立、映画研究会とシネマ研究会に分裂、その後より力を持ったシネマ研究会が残り映画研究会は廃部になったという噂を聞いたことがあるが、真実かは定かではない。
 部室が集まったなかなか立派な建物に入っていくと、正面入り口から2階分階段を上る。階段の踊り場には「民青粉砕」などの落書きが書かれていた。その時は「なんじゃこりゃ?民青って何?」でそのまま通り過ぎた。
 妙に薄暗い廊下を進み、「シネマ研究会」という妙に立派な木の看板がかかったドアの前に立った。
 そして軽く深呼吸をして、ドアをノックした。
 しばらくして、どうぞ~と返事があった。
 ドアを開けて部室に入った。
 中には3人の男性がいた。
 パイプ椅子を三つ並べて横になっていたヒゲの濃い人物がチャックさん。
 テーブルを前に座っていたのがU2氏。
 そして3人目がUMEさん。
 チャックさんは興味なさげに横になったまま。珍しく緊張しているオレにU2氏が声をかけてくれた。
「えーと、なんか用?」
「はっ、はいっ。入部しに来ました」
「へっ?」

 入学式が学外で行われ、ほとんどの生徒はその日学校に来ない。
 だがらその日、新入部員希望者が来るとはまったく考えていなかったそうだ。
 これまでのシネ研(シネマ研究会)の歴史でもそんなのはなかった。
 そしてオレは、シネ研史上最も早く入部した(んじゃないかな)という男となった。
 この入部によってオレの人生は大きく変わっていくことになるのだが、それはまた後の話。

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