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映画バカ青春記 第38章 年度最後の行事

 年度最後の行事というと卒業式と修学式だが、それらはどちらも学校主体だ。
 生徒主体の、学年最後の行事というと、「卒業生を送る会」となる。
 「卒業生を送る会」じゃなくて、もうちょっと難しい名前がついていた気がするが思い出せない。ちょっと人に聞いたりしてみるので、判明したらまた訂正する。

 「卒業生を送る会」は、文字通り、卒業していく3年生の諸先輩を賑やかに送り出す行事だ。
 吹奏楽部による演奏などがあり、中でもメインとなるのは有志となる演劇だった。
 演劇部は部員数が10人足らずと少なめで、しかも全員女生徒。
 柊祭などでの演劇発表はあまりセットなど大道具で凝ったことは出来ない。
 しかし、「送る会」でははっきりとは覚えていないが、かなりの人数が参加する。
 出演だけではなく、大道具選任もいてかなり本格的な芝居となる。
 オレが2年生の時は『不思議の国のアリス』をやることとなった。
 何故「卒業生を送る会」で『不思議の国のアリス』だったのかは謎だ。自分が送られる立場も含めて3回体験しているはずだが、1、3年の時の劇がなんだったのかが思い出せない。自分が絡んでいないと、ほんとからっきしの記憶だ。

 アリスやチェシャ猫など、演技力を必要とするキャストは演劇部員が担当した。
 そしてそれ以外のキャストはオレを含めた一般生徒が演ずることとなる。
 そこで柊会館という建物に集められ、希望する役に対してオーディションが行われた。
 半田市のアル・パチーノ、いや、愛知県の笠智衆とも呼ばれた、というか勝手に言っているオレにオーディションとはなんたることかと憤慨しつつも、大人しく受けた。
 希望する役柄は気違い帽子やだったが、何故か眠りネズミとなった。まぁ、授業中によく居眠りしていたからぴったりな役柄である。
 しかし、眠りネズミ=ヤマネ役はその名の通り寝てばかり。衣装は『我が輩はカモである』の中盤でグルーチョ・マルクスが着ていたのとそっくり。上下つなぎでスカート上になっている服と、先のとがった布の帽子。
 登場するのはお茶会のシーンで、ずーっとテーブルに突っ伏したまま、突然起き上がると昔話を始めて、オチの前に眠ってしまう。それだけ。
 アドリブも何も遊びようがない。そこら辺を懸念して、無難なところにキャスティングされたのかもしれないが・・・

 ともあれ、3年生は受験の追い込みに励み、オレたち在校生は芝居の稽古と大道具・小道具作りに励んだ。
 人数が多く、男でもあるので、演劇部のみの芝居よりも規模を大きくできる。
 率先して動く演劇部員は凛々しくて、女ながら格好良かった。
 でもって、芝居の通し稽古のほとんどを、オレは寝た真似で過ごすのであった。

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