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映画バカ青春記 第36章 新年は映画館で

 何があったかほとんど思い出せないまま秋は終わり冬になり、そして1985年も終わりが近づいた。
 高校1年の年末から、オレは年越しをオールナイトの映画館で迎えるようになっていた。
 家にいても下らない『紅白歌合戦』を家族で見て、年越し蕎麦を食べるだけ。
 それよりも、映画を観ながら年越しをしたい。そんな理由だ。

 1995年12月31日の深夜に映画館に入った。
 映画館は名古屋駅前の名鉄東宝。映画は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』である。
 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と名鉄東宝という組み合わせは自信があるが、それが年越し映画だったかはちょっとはっきりしない。1985年12月公開の映画を調べて絞り込んだのがこれだ。

 当時の名鉄東宝は1000人以上は収容できる大劇場だった。名古屋駅から歩いてすぐという立地と、大画面が好きでよく通った劇場だ。
 しかし、オレが大学を卒業し、名古屋を離れた後に、シネマコンプレックス文化に圧されて、大劇場を2つに分割して、名鉄東宝1・名鉄東宝2となってしまったそうだ。
 大劇場でなくなった名鉄東宝は、面白みのない映画館となっているようだが、それも時代の流れなのだろう。
 オレの学生時代にはまだ1000人クラスの劇場が名古屋にはいくつかあったが、今ではそれらは全てなくなった。大劇場に大勢を詰め込むよりも、小さめなスクリーンで幾つも小屋を造り、上映作品を増やした方が収益が良いのだろう。理解は出来るが、やはり寂しい。

 高校生ともなると、家族団らんでもないだろう。年越し映画を観に行くことに対して、親は家族は特に何も言わなかった。
 この習慣は、オレが結婚するまで続いたのだから、10年ちょっとは続けた行事だ。
 後に久米田康治のコミック『勝手に改蔵』で、脇役のてっちゃん(鉄道オタク)である坪内地丹が年越しを走っている電車の中で迎える、「二年乗り」というのを恒例行事にしていたが、それを読んで笑ってしまった。同じようなことをやるヤツはいるのだ。
 そういえば、年越しの映画館はそれなりに人が入っていたような記憶がある。「二年映画」を恒例行事とする映画ファンも数がいたのだろう。

 「二年映画」という気分的に盛り上がるシチュエーションで、しかも観たのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だったので燃えに燃えた。同時上映もあったはずだが、まるで思い出せない。

 今では映画館ではなく、DVDで映画を観ながら年越しをしている。
 紅白歌合戦も、ゆく年くる年も、高校以降は一度も見たことがない。
 これからも見ることはないだろう。

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