さて中学編もそろそろ終わりだなと読み返してみて、何かを書き忘れているのに気がついた。
何だったかな~と頭を捻ってようやくと思い出した。そうだ、海外旅行に行ったんだ。
それもハワイや香港などではない。アフリカだ。人生で初めての海外旅行がいきなりアフリカ。我ながらかなり無茶。それ故に今になってみると現実感が乏しくリアリティがない。そのせいで記憶からすっぽりと抜けていたのだろう。
詳しい日程は忘れたが、時期は1983年の3月。確か14日間の旅行だった。中学2年から3年になる時の春休みだった。
「アフリカが好きで好きでどうしても行きたい。あふりか象が好きっ!」だったわけではない。
父方の祖母が祖父が亡くなって月日も過ぎ、身の回りも落ち着いてきたので一度海外旅行に行ってみたいとアフリカ行きを決めたのだ。祖母にとっても初めての海外旅行というのに、いきなりアフリカを選んだのだから驚きだ。
父を始めとした子供たちは反対したのだが、祖母はどうしても行くと聞かなかった。そこで、孫の中で男の子では一番年長のオレが(孫の中ではオレの姉が一番上になる)、「念のためにお前も一緒に行ってこい」ということになったのだ。
パスポートを取るところから始まって、旅行の間近になるとマラリアなどの予防接種を受けた。これは念のためではなく、ケニアなどに行く場合は義務だった。
アフリカ行きにわくわくしながらも、無事に済むんだろうなと少々不安でもあった。
上に旅行先についての経路図を掲載してあるが、成田を出発した飛行機は、直接アフリカ行きの便はないのでまずはアラスカ経由でイギリスに到着。大英博物館などを見物した後に、休憩無しで再び飛行機に乗り一路ケニアへ。ケニアの国立公園でサファリを楽しんだ後、南アフリカ共和国へ。どうやら有名という話の寝台列車に乗り、アフリカ大陸最南端の喜望峰へ行った後、ジンバブエに行きビクトリア滝を見物。再び南アフリカへ戻るとそこから飛行機で日本に帰る。飛行機からは降りないが、インドと香港に飛行機は着陸。そしてようやくと日本に戻ってくる。
アメリカ-イギリス-ケニア-南アフリカ-ジンバブエ-インド-香港、アメリカとインド、香港は飛行機が着陸しただけだが、7カ国の旅となる。
東回りの飛行機なので地球をぐるっと一周する。『80日間世界一周』ではタイトル通り80日かけてだったが、こちらは14日間。もうお腹いっぱいな旅だ。
正直、あまり覚えていないのでざっと流していく。
飛行機がアラスカのアンカレッジ空港に到着。そこで一旦飛行機から降りて小休憩。有名なうどん屋があったんでもちろん食べる。ロビーにシロクマの剥製があった記憶がある。
次いで、イギリスに到着。大英博物館に行くが見学時間は1時間ほど。入り口付近をちょっと回るだけで終了。
イギリスの空港で飛行機を待つ間に、ロビーにあったビデオゲームで遊ぶ。確か、ナムコのギャラガだった記憶があるが間違いかも知れない。中学時代のオレは学校帰りに友人と地元のデパートユニーの屋上でスガキヤのラーメンを食べてはゲームコーナーのビデオゲームで遊ぶことが多かった。東洋人の子供がビデオゲームをプレイするのが珍しかったのだろう、現地の子供たちが見物に集まってきた。ハイスコアは軽くクリヤし、さらに点をかせいだ。見物客の間から驚きの声が上がった。
彼らはナムコが日本の企業であることも知らなかったかもしれない。ゲーム先進国日本の少年をなめんじゃねぇぜ。
そしてケニアに到着。オレが初めて踏んだアフリカの地はアスファルトだった。まあ空港だから当たり前だが。
さぞや暑いだろうと思っていたケニアだが、意外と快適だった。暑いことは暑いが空気がカラッと乾燥しているのだ。
そして車で国立公園へ。ホテルのロッジを目指す。ホテルに着く前には日が暮れていた。突然車が止まったので何事かと驚いた。まさか故障したんじゃないだろうな。このまま救援が来るまでじっと待つのか?ライオンが襲ってきたらどうするんだ。と思って窓の外を見たら、そこにライオンがいた。
車が故障したわけではなかった。ライオンを見つけた運転手が気を利かせて停めてくれたのだ。ライオンまでの距離は数メートル。10メートルはなかっただろう。
まさに「ほんとにほんとにライオンだ~」な光景だが、ここはサファリパークではない。いや、真の意味でのサファリパークか。どうも混乱してしまったが、心の準備もないのにいきなりライオンに登場されてはそれも無理がない。
百獣の王ライオンといえばサファリの目玉だろうに、前座はトムソンガゼールやヌーに任せろよ。
しかし、翌日になって正式にサファリに出かけると、ライオンは案外目にした。どうもあまり珍しくないそうだ。
なんと言っても珍しいのはサイだそうで、これは広大な国立公園の中にもごく少数しか生息しておらず、観光客を乗せて毎日サファリに行っている運転手でも稀にしか出くわさないとのこと。
持っていった二眼レフのカメラで写真を撮りまくった。その中でも一番気に入っているのが上に掲載したアフリカ象の写真だ。
ズームなど望遠機能がないカメラで撮ったのにこの迫力。右下に写っているのが車の一部なのでその距離も分かってもらえるだろう。本当に目の前だ。しかも、どうやらご機嫌斜めな様子。
車は6人乗りだったかの大きめのバンだが、こいつにぶつかってこられたらひとたまりもないだろうな、と思ったのを覚えている。
この経験のおかげでスピルバーグの『ジェラシック・パーク』はずいぶんと怖かった。こちらはアフリカ象どころかティラノザウルス。しかもこちらもご機嫌斜めだ。
覚えている範囲だと見た動物は、ライオン、アフリカ象、キリン、シマウマ、トムソンガーゼル、ヌー、ホテルの庭の木にいたサルなどなどである。
だが、一番記憶に残っているのは真っ平らな平原と地平線だ。その地平線に夕日が沈んでいく様は綺麗だったし、畏怖すら感じた。