
『右側に気をつけろ』(1987) SOIGNE TA DROITE 81分 フランス 1989年鑑賞
監督:ジャン=リュック・ゴダール 脚本:ジャン=リュック・ゴダール 撮影:カロリーヌ・シャンプティエ 音楽:リタ・ミツコ
出演:ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・ペリエ、ジャック・ヴィルレ、ジェーン・バーキン
-いつだって能天気 その5-
主人公“白痴”(ゴダール)は、とある罪によって田舎に隠遁している。そこへ、「今すぐ映画を作って持ってこい。そうしたらお前の罪は許してやる」との通達が来る。急いで映画を作り上げた白痴は、銀色のフィルム缶をてにパリを目指すのだった。
映画を作るシーンは省略され、いきなり旅立ちのシーン。まずは車に乗ろうとするのだが、白痴なだけにドアを開けて乗るというごく普通のことが出来ない。そのまま歩いていって車にぶち当たったり、座席の高さに合わせてしゃがんで進むのはいいがそのまま頭をぶつけたり。ついには全開した窓に頭から飛び込むことでなんとか乗り込む。
そこから始まる白痴やアリさんなど珍妙なキャラクターが繰り広げる珍道中。セリフの洪水など例によって難解なシーンもあるが、そこら辺を無理して理解しようと思わなければ、実体は良質なドタバタスラップスティック映画である。つまりまぁオレとしては「真面目に観るな」と言いたい。
タイトルの『右側に気をつけろ』はルネ・クレマン監督・ジャック・タチ主演の『左側に気をつけろ』のオマージュだが、右側=右翼でもあるそうだ。確かにゴダールは過激思想の持ち主だし、この作品は表現や言動、その他の自由についての映画でもある。
ゆっくり浸れる美しい映像と、ゴダールがドルビーステレオに始めて挑んだだけあってクリアーで押しつけがましくないのに耳に残るサウンド。ゴダール入門編に向いてると思うんだが、レンタルDVDにはなっていないんだよな。残念。