『シャーロック・ホームズの素敵な挑戦』 (1976) THE SEVEN PERCENT SOLUTION 113分 アメリカ
監督:ハーバート・ロス 製作:スタンリー・オトゥール 原作:ニコラス・メイヤー 脚本:ニコラス・メイヤー 撮影:オズワルド・モリス 音楽:ジョン・アディソン
出演:ニコル・ウィリアムソン、アラン・アーキン、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ローレンス・オリヴィエ、ロバート・デュヴァル
-オレはいつでも燃えている その36-
シャーロック・ホームズが主人公であるが、サー・コナン・ドイルの原作の映画化ではない。シャーロック・ホームズが実在したとして、その人物像の真実に迫った異色作である。脚本は『タイム・アフター・タイム』(1979)などのニコラス・メイヤー。なるほど奴ならばと思わせる手腕だ。
シャーロック・ホームズは確かに世紀の名探偵。しかし、少年時代に彼の家庭教師を務めたモリアーティー教授を世紀の悪漢と思い込んで尾行をしたりとつけ狙っている。
単なる小心者のモリアーティーは思い悩んでワトソン医師に相談に訪れる。ワトソンはホームズのコカイン中毒も心配していて、そこでモリアーティーと組んでホームズを罠にかけてオーストリアはウィーンにおびき寄せる。
ウィーンでホームズたちを待っていたのは、全く新しい学問「精神分析学」を研究中のジークムント・フロイトだった。彼が生み出した新しい技術、精神分析でホームズの過去のトラウマが解き明かされる。この虚構と実際が混じり合う脚本の素晴らしさ。
ホームズが心に傷を負った過去があり、さらに統合失調症の疑いもある。加えてコカイン中毒。ある意味人間のクズだが(怒られるかなぁ)、そんなホームズだからこそ常人を超えた推理能力を発揮することも出来たのだ。やはり、名探偵とはどこかまともな人間じゃないってことだろうか。
そして立ち直ったホームズと、そこに襲いかかる新たなる悪の企み。疾走する蒸気機関車が段々と燃料の石炭が無くなっていき、一か八かで客車を解体して燃料をして燃やすというのは過去の映画でも使われた手法だが、この作品は特に美しい。
シャーロック・ホームズの映画は、この『シャーロック・ホームズの素敵な挑戦』か、実はワトソンこそが名探偵であって、ホームズはワトソンが雇った単なる探偵役の三文役者という『迷探偵シャーロック・ホームズ/最後の冒険』(1988)が秀逸だ。『迷探偵シャーロック・ホームズ』はマジで良いよ。