« 『グラン・マスクの男』 覆面レスラーの正体は神父さん | メイン | 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱』 黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)、必殺の無影脚! »

『シックス・ストリング・サムライ』 荒野のカンフー侍

B00005HSEE.jpg
『シックス・ストリング・サムライ』 (1998) SIX-STRING SAMURAI 91分 アメリカ

監督:ランス・マンギア 製作:リアンナ・クリール 共同製作:ジェフリー・ファルコン、ランス・マンギア 製作総指揮:マイケル・バーンズ 脚本:ジェフリー・ファルコン、ランス・マンギア 撮影:クリスチャン・ベルニエ 音楽:ブライアン・タイラー
出演:ジェフリー・ファルコン、ジャスティン・マッガイア、キム・デ・アンジェロ

-オレはいつでも燃えている その32-
 レンタルビデオ屋でパッケージを見かけたときには、そのタイトルも含めて「何じゃこりゃ?」と速攻で借りた。なんか、妙に惹かれる匂いを感じたのだ。
 で、観終わったオレは夜空に向かって、「何じゃこりゃぁぁぁ~うれしいぞ~」と喜びの叫びをあげたのであった。

 タイトルの『シックス・ストリング・サムライ』とは主人公バディのこと。サムライとは刀を持っているからだろう。シックス・ストリングは6本の弦のことで、同じくバディが持つエレキギターを意味する。つまりギターを持った侍、『ギター侍』ということになるが、ああなんかそんな人いたなぁ。テレビはほとんど見ないので、2回ぐらいしか動いてしゃべっているところを見なかった。ほんの1年かそこらの話なのにすでに過去。1年後ぐらいにアル・パチーノの『クルージング』を取り上げたとして、ほら「ハードゲイです、フー」とかやってる芸人みたいな感じですよといっても、「何だったけっけ、それ」ということになっているんだろうなぁ。
 ちなみに、バディの刀とギターは仕込み杖ならぬ仕込みギターになっているのだが、ギターネックを引き抜くと刀になっているような凝った作りではなく(まあそれでは弦が邪魔して抜けないだろうが)、ギターの裏側に幅広のテープで刀の鞘をベタベタと貼り付けているだけ。他人にギターを触られることを嫌いすごく大事にしているようなのだが、本当に大事なのだろうか。ギターで敵の頭をぶん殴ったり、少年を逃がすためにギターをソリ代わりに少年を乗せて砂丘を滑らせたりしてるんだがなぁ。

 舞台設定は核戦争後の荒廃したアメリカ。人類は文明を失い荒れ果てた荒野では悪党どもや異常者どもが我が物顔でのさばり、善良でまともな人は細々とかろうじて生き延びていた。
 そんな秩序を失った世界の中で、唯一文明を残しているのが自由都市ロスト・ベガスだけ。そこの支配者であるキング・エルビスが死んだ。そして、次期キングを目指す者たちが各地からロスト・ベガスを目指して集まってくる。その者たちはみんなその手にギターを持っていた。
 主人公のバディもキングになろうとする1人。その旅の途中で、悪党どもに追われている母子を助ける。母親は死に幼い男の子だけが生き残る。バディはその子を置き去りにしようとするが、少年はお気に入りのクマちゃんぬいぐるみを捨ててでもバディについていく。こうして、カンフー侍と少年の奇妙な(本当に奇妙なんだ、これが)珍道中が始まる。

 荒廃した世界観や主人公のタフガイと子供という組み合わせは、『マッドマックス2、3』を思わせるが、実はこれ不条理コメディアクション。とにかく登場する悪党どもの妙なこと妙なこと。ボーリングクラブの風体をしたボーリングギャングや、「うっほほうほほ」としかしゃべれずまるで原始人のような格好で自動車に乗って襲ってくる原始人ギャング。なんか『チキチキマシーン猛レース』にこんなやつらがいたよな。アメリカ侵略に乗り込んできたものの、母国ロシアが崩壊してしまって帰るに帰れず荒野の一角に住み着いたロシア軍までいる。ボーリングギャングが倒されるときにはストライクでピンが倒れるカッコーンという音付き。どんなだ。
 そいつらをバディ(ジェフリー・ファルコン)が刀と格闘技でぶっ倒していく。いや、これが本気で強い。格闘技はどうやらキック・ボクシング系のようだが、技の切れも良く、ハイキックの到達位置も高いし足もすきっと伸びている。なにより動きが速い。骨の奥まで響くような一撃の重さが感じられないが、これなら並み居る敵を倒し続けていくことにも説得力がある。
 ただ、格好がなぁ。黒縁眼鏡にビジネススーツとネクタイ。なんかそこらのビジネスマンだぞ。まあ普通のビジネスマンはギターを持っていないが。どうも、これが次期キング候補の服装らしく、他にも数人登場するキング候補もスーツにネクタイ。どちらかというと学生の就職活動スタイルに似ている。やっぱ、キング採用試験の最後には社長面接とかあるのかなぁ。って、社長って誰だよ。

 悪の象徴“デス”も次期キングを目指し、最大のライバルとなりそうなバディをつけ狙ってくる。ラスト、ついに追いつめられてしまったバディはっ!・・・デスとギターバトルを始めるのであった。ギュイィィンベンベンベン、ってなんでだよ。もういっそのこと『クロスロード』(1986)ばりに電光飛び交うギターバトルで決着をつけて欲しかったが格闘戦になってしまい、ちょっと残念。
 デスのラストは意味不明。往年の名作ミュージカルのオマージュか?

 どうやら人肉食いで生き延びているらしいカンニバリズムな一家の団らんや、荒野に数多くの風力発電用風車が回る中、宇宙服を着て襲ってくる“風車男”たちがなかなか楽しい。風車男の宇宙服は汚れていてヘルメットの中の顔は見えない。そうか、「風車男には首がないんだよ」というしなと妙に納得。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/4377

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません