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『ハード・ウェイ』 僕はアイドルスターを卒業したいんだよ

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『ハード・ウェイ』 (1991) THE HARD WAY 111分 アメリカ 1991/04鑑賞

監督:ジョン・バダム 製作:ロブ・コーエン、ウィリアム・サックハイム 脚本:ダニエル・パイン、レム・ドブス 撮影:ドン・マカルパイン、ロバート・プライムス 音楽:アーサー・B・ルビンスタイン
出演:マイケル・J・フォックス、ジェームズ・ウッズ、スティーヴン・ラング、アナベラ・シオラ、ジョン・カポダイス、LL・クール・J

-オレはいつでも燃えている その22-
 ハリウッドのアイドルスターとして人気者のニック・ラング(マイケル・J・フォックス)には、お気楽な娯楽大作のオファーばかりが来る。ニック本人は「僕はアイドルじゃない。演技だって上手いんだ。もっと大人の役がやりたい」とごねている。本格的な刑事物に主演したいと、テレビのニュースで見かけたニューヨーク市警の刑事ジョン・モス(ジェームズ・ウッズ)のタフガイぶりを気に入って、手を回して刑事の振りをしてジョンの捜査に同行することになる。
 ジョンはパーティーに乗り込んでは殺人を繰り返す“パーティークラッシャー”を追っている最中だったが、その捜査から下ろされニックのお守りをすることになる。それだけでも気に入らないのに、子持ちの恋人とも上手くいっておらず、イライラして何かにつけ悪態をつき怒鳴り散らす。その度にニックは「そうかこれは良いセリフだ」とメモをして、ジョンのしゃべり方や動きを真似しては喜んでいる。ジョンのストレスはたまる一方だ。
 ジョンは上司の命令に逆らい、独自にパーティークラッシャーの捜査を続ける。ニックはそれを助けるつもりで逆に足を引っ張るだけ。ついに堪忍袋の緒が切れてジョンは、同僚と一芝居組んでニックを追い払おうとする。そしてその裏切りが逆に、お気楽でちょっとワガママな映画スターニックを成長させることになる。

 刑事物には『リーサル・ウェポン』や『48時間』など、タイプの違う者同士が組む相棒物が多い。『ハード・ウェイ』はその一つと言っていいだろう。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズやTVシリーズの『ファミリータイズ』でスターになったマイケル・J・フォックスだが、ティーンエイジャーの役柄が固定されてしまった。そのマイケルが自らをパロディ化して見せたのがこの作品。他には、元子役スターだったがその後は鳴かず飛ばずで、タレント事務所のエージェントになったという設定の『ライフwithマイキー』(1993)などもあり、当時のマイケル・J・フォックスが悩み苦しんでいたのが感じられる。

 アクションもなかなかで、特にラストのタイムズ・スクウェアでの高層アクションが冴えている。ニック・ラングの新作『スモーキング・ガン2』の巨大な立体看板が効果的に使われている。ハラハラするし笑える。
 タイムズ・スクウェアといえば様々なネオンサインで有名だ。この作品では「キリンビール」「パナソニック」「JVC」「コニカ」「ミノルタ」「マクセル」「ミタ」「キヤノン」「オリンパス」などなど本当に数多くの日本企業の看板が映し出される。これは宣伝料とかもらっていたのだろうか?制作された1991年はすでにバブル経済が崩壊していたが、まだまだ余波は残っており、日本企業もまだそれなりに力があったのだろう。
 地下鉄の車内で、チンピラが銃を抜いた途端に、回りにいたユダヤ教のラビ(?)を含めた普通の民間人が銃を抜いてチンピラに向けて構えるところは、ギャグなのだろうが案外リアルな光景かも。それがジョンの登場で一転してシリアスになるのがイカす。
『スモーキング・ガン2』上映中の映画館で銃撃戦がある。様々な装飾が施され緞帳もあるクラシカルな劇場だ。名古屋駅前の地下にあった名古屋松竹座などを思い出す。もう無くなってしまったが、2階席や使われてはいないが桟敷席などもある立派な劇場だった。休憩時間には「おせんにキャラメル」ではなかったものの、アイスモナカ売りが場内を回っていた。なぜだか床がペタペタしていたが、あれはなんだったんだろうか。

 パーティークラッシャーがなぜパーティーを荒らすのか、その点については悪人を退治する自警団気取りの異常者という意外に説明がない。敵役として充分に歯ごたえはあるが、少々物足りない。パーティークラッシャー事件よりも、ニックとジョンのやり取りがメインと言うことなのだろうか。
 この作品のパーティークラッシャーはパーティー会場で銃を乱射するが、世の中にはパーティーで下品な会話を大声でしたり、酔っぱらって人に絡む連中もいるが、こいつらも充分にパーティークラッシャーだ。警察はこいつらも取り締まってくれないだろうか。

 監督のジョン・バダムは青春物、SF物、アクション物、スカイアクション物、コメディ物、サスペンス物など、どんな題材でもそれなりに仕上げる職人監督。大傑作も撮らないだろうが駄作も撮らない。とりあえず映画代と観るのに費やした時間を損したとは感じさせない。こういう監督がいて、ちゃんとした仕事をしているのがハリウッドの強みでもあるだろう。最近は名前を聞かないなと思ったら、劇場用映画ではなくTVムービーの仕事が中心になっているようだ。また映画も撮って欲しい。

 ニック・ラング主演の刑事映画がプレミア公開され、その会場にジョンを始め仲間たちが勢揃い。その劇中映画のエンディングクレジットが、そのまま『ハード・ウェイ』のエンディングクレジットになっている工夫が嬉しい。

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