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『レオン』 その男は殺し屋。他に生き方を知らない。

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『レオン』 (1994) LEON 111分 フランス/アメリカ 1995/03鑑賞

監督:リュック・ベッソン 製作:パトリス・ルドゥー 製作総指揮:クロード・ベッソン 脚本:リュック・ベッソン 撮影:ティエリー・アルボガスト 編集:シルヴィ・ランドラ 音楽:エリック・セラ
出演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ダニー・アイエロ、ゲイリー・オールドマン、サミー・ナセリ

-オレはいつでも燃えている その16-
 安アパートに住む一家がマフィアに皆殺しになり、たまたま難を逃れた子供が隣人の世話になり、その隣人は本人の意志には関係なく事件に巻き込まれていく。
 そんな冒頭でジョン・カサヴェテスの傑作ハードボイルド『グロリア』(1980)の記憶が呼び覚まされたのだが、話が進むにつれ基本アイディアは『グロリア』だが、それをリック・ベッソンなりに咀嚼・発展させた物だというのに気付いた。ちなみに『グロリア』は1999年にリメイクされているが、1999年版は断じてみる必要のない駄作レベルマックスで、1980年版は「お前ら、ぜってー観とけ」レベルマックス。
 『グロリア』ではヤクザの娼婦でくたびれたグロリアが、マフィアの会計士の息子を助けたことから争いに巻き込まれて、女性ハードボイルドを繰り広げる。グロリアと少年との関係は疑似母息子関係で、敵陣に乗り込んでいくグロリアの姿などが実に格好いい。
『レオン』ではホテルのチェックインなどでは父娘を装っているが、レオン対マチルダの純愛恋愛関係へと話が進んでいく。母息子関係と恋愛関係ではかなり話が違うが、レオンが過去に女性に関して大きな心の傷を追っており、それで純愛を成立させている。でもまぁ、世間一般の視点で言えばロリコンだけどな。
 仕事と観葉植物にしか興味を持っていなかったレオンが、次第にマチルダに心を許していく様子が素晴らしい。そのきっかけがレオンによるジョン・ウェインの真似というのは、やはりリック・ベッソンはただ者ではないというか、かなりの映画野郎だ。
 現在流通している作品のほとんどが完全版で、劇場公開版では削除されていたシーンが復活していて、意味が通じなかったシーンの説明がつくようになっているが、劇場公開版からカットされたシーンもあり、必ずしも完全版>劇場公開版ではない。可能ならば両方観てみるのも面白うだろう。
 個人的好みとしては、レオンにはちゃっかり生き残ってマチルダと幸せになって欲しかったのだが。安易に主人公の死で終わらせるのはあまり好きではない。でも、“リング・トリック”とか伏線は活かしてあるし、きっちり悪党も吹き飛ぶので悪いわけではないが。
 殺し屋の元締めのダニー・アイエロがまた良い。レオンを身内をして大切に扱いながらも、ちゃっかり上がりをかすめ取っている狡猾さがダニー・アイエロにはぴったり。
 ラストだって、簡単にレオンを売ったわけではなく、拷問されてついに話してしまったのだ。これが、拷問されても最後まで答えずについに殺されてしまった、では駄目なのだ。

 あちこちで語られていることではあるが、ジャン・レノの殺し屋は『ニキータ』終盤に出てくる“掃除屋”が元ネタ。「なんでもない、誤報だ。バンバン」が良かったよな。
 出演者にサミー・セナリがいるが、終盤のSWATの一人でフェイスガードで顔をは映っていない。
「リック・ベッソン作品に出られるってのに、顔が映らないなんてあんまりです」とごねていたのをリック・ベッソンの耳に入って、『TAXi』の主役に抜擢されたのだとか。どこまで本当かは分からないが、人生ぼやいた者勝ちかも。

 死んだかなと思わせて、実はちゃっかり生きていてラストに顔を見せるグロリア。
 愛に殉じてマチルダを救い、弟の敵を討つために爆死するレオン。
 映画のスタイルが違うからそこまでなのだろうが、ここに一つの男女の考え方の差が見える。
 母息子として2人でこれからの人生を送るグロリア。
 派手に死んで本人は満足だろうがマチルダはレオンが残した観葉植物を支えに孤独に生きる。
 エンドクレジット後のストーリーを考えると、レオンは死んで満足だったかも知れないが、残された物を考えると生き延びて欲しかった。それじゃ盛り上がらないだろっていうなら『グロリア』を観ろ。もちろんシャローン・ストーン版(1999)ではなく、ジーナ・ローランズ版(1980)な。

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