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『飛べ!フェニックス』 絶望の砂漠から甦れ

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『飛べ!フェニックス』 (1965) THE FLIGHT OF THE PHOENIX 145分 アメリカ

監督:ロバート・アルドリッチ 製作:ロバート・アルドリッチ 原作:エルストン・トレヴァー 脚本:ルーカス・ヘラー 撮影:ジョセフ・バイロック 音楽:フランク・デ・ヴォール
出演:ジェームズ・スチュワート、リチャード・アッテンボロー、ハーディ・クリューガー、アーネスト・ボーグナイン、ピーター・フィンチ、ジョージ・ケネディ、ウィリアム・アルドリッチ

-オレはいつでも燃えている その14-
 燃える映画となるとロバート・アルドリッチ作品を語らずにはおけないだろう。とはいえ、一言にロバート・アルドリッチ作品といっても数がある。そこで考えた結果、まずは『キッスで殺せ』(1955)、『飛べ!フェニックス』(1965)、『特攻大作戦』(1967)、『北国の帝王』(1973)、『ロンゲスト・ヤード』(1974)、『カリフォルニア・ドールズ』(1981)の6本に絞った。・・・って全然絞れてねー。
 どれにしようか迷ってしまい先へ進まないので、とりあえず6本とも観てみた。120分以上の作品が多いので一日がかり。金曜日の夜と土曜の日中がつぶれてしまった。で、結論としてはどの映画も燃えた。うわー、これまた絞れてねー。
 そこで消去法で行くことにした。『キッスで殺せ』は探偵物特集かハードボイルド特集で、『特攻大作戦』は戦争映画特集をやるときのために取っておこう。やるかどうかは分からんが。『カリフォルニア・ドールズ』は女性映画特集のため、『ロンゲスト・ヤード』は最近リメイクされたそうなので、その作品がレンタルで出たら新旧観比べで書いてみよう。『北国の帝王』は凶悪な車掌特集のため、ってそんな映画他にあるか?まあ、リー・マービン特集のために取っておこう。というわけで今回は『飛べ!フェニックス』と取り上げることにする。
『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(2005)などと一緒に、砂漠から脱出映画特集という線もあるが、そこまで言っていたらいつまでたっても始まらない。

『飛べ!フェニックス』も2004年に『フライト・オブ・フェニックス』というタイトルで再映画化されているが(原作小説があるので『飛べ!フェニックス』のリメイクではなく、再映画化と呼ぶべきだろう)、まだ観てない。予告編を見た限りではつまらなそうだ。スカイパーフェクTVのスターチャンネルあたりで放映されたら観る程度かな。金を払ってレンタルする気はない。そもそも、1965年版には雑誌のグラビア以外に女性がまったく出演していないところが良いのに、2004年版ではキャストに女性が含まれてる時点で駄目だろ、そりゃ。

 まずはキャストが豪華。主演の機長はジェームズ・スチュワート(『フィラデルフィア物語』でアカデミー主演男優賞を受賞)。今作での臑に傷を持つパイロットから『ロープ』の学者まで幅広い役柄を見事に演ずる名優だ。西部劇では『リバティ・バランスを射った男』で東部から来た都会人をやり、『ウィンチェスター銃'73』では一転して父親の仇を追い続けるガンマンをやっている。
 同じアルドリッチ作品の『北国の帝王』で残虐非道冷酷無比な鬼車掌“俺の列車にただ乗りする浮浪者には、自慢の金槌をくらわせるぜ”シャックを演じていたアーネスト・ボーグナインが、今作では精神衰弱によるノイローゼか統合失調症で油田の現場を一時解雇された精神を病んだ男の役だ。アーネスト・ボーグナインも『マーティー』でアカデミー賞を受賞している。しかも主演男優賞。
 飛行助手を演ずるのがリチャード・アッテンボロー。『大脱走』や『そして誰もいなっくなった』などでいい味を出している。最近では『ジュラシック・パーク1、2』に顔を出していた。脇役としてそれなりの役者だったが、後に映画監督にも進出。こちらについては個人的に意味を感じていない。アカデミー賞は受賞しているが、俳優賞ではなく『ガンジー』での監督賞。
 他の映画に出ている時は濃い俳優なのだが、今回は回りが濃すぎてほとんど目立たない単なる脇役になっているのがジョージ・ケネディ。飛行機の上でなにやら作業をしていたところぐらいしか記憶にない。でも、ジョージ・ケネディも『暴力脱獄』でアカデミー助演男優賞を受賞している。
 とまあ、アカデミー賞俳優が何人も揃った錚々たる顔ぶれなのだが、オッサン俳優ファンの人以外には、「だから?」で終わってしまうのが悔しいところだ。チクショー、興奮物のキャスティングなんだぞ。ロバート・アルドリッチの息子ウィリアム・アルドリッチまで出演しているんだぞ。機内で『プレイボーイ』を読んでいて、飛行機の不時着事故であっさり死ぬ、出演シーンも少ないし見せ場もない。親父の映画においてこの扱いだから、俳優として大成するはずもなく、ほどなくして役者業は廃業。ただし映画界には残ってプロデューサーになった。ロバート・アルドリッチの映画もいくつか制作しているし、『フライト・オブ・フェニックス』の制作もウィリアム・アルドリッチ。2004年版はどうにも座りの悪い邦題で、せめて『フライト・オブ・ザ・フェニックス』にならなかったのだろうか。

 墜落した飛行機を元にして小型飛行機を作るとストーリー説明がされていることが多いが、それは映画もかなり終盤に近づいてから。むしろ重要なのは、砂漠のど真ん中に墜落した飛行機の乗員乗客が、救助も見込めず徒歩で脱出できるはずもない絶望的な状況下で、それぞれの思惑や裏切り、憎しみなどが静かに繰り広げられる点だろう。上官に嘘をつき徒歩での砂漠横断から逃れる兵士や、ラクダに乗ったアラブ人の集団が通りがかりこれで助かったと思いきや悪夢に転ずるところなどが良い。
 もちろん、ドイツ人設計士が壊れた飛行機の部品を使って小型機を作ろうと言いだし、このまま涸れて朽ち果てるよりかは失敗しても気が紛れるかと皆が作業に取りかかる終盤も実に面白い。
 エンジンを点火するスターターとして銃弾を使うのだが、この銃弾が数発しかなく、それで点火に失敗したら全てが終わる。もちろん、点火に失敗することなどないだろうというのは分かっているのだが、それでも手に汗握る。したり顔で「ハリウッド映画だから、どうせ成功するんだろ」とか言うのは止めろ。そういうヤツに限って、いざ実際に失敗すると「理不尽だ。爽快感がない」などと言うに決まってるのだ。

 『飛べ!フェニックス』はオレが絶対の自信を持ってお勧めする燃える映画だ。ただ、間違えて日本映画の『マイフェニックス』(1989)を借りてこないように。こちらは悪夢で、映画館まで観に行ってしまった自分を呪いたくなる駄作だ。

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コメント (2)

うわぁ『飛べ!フェニックス』だ!と思わず書き込みをしに来ました(^^) 
以前こっそりハーディー・クリューガー祭りをした時にこの映画も見たのですが、めちゃくちゃ(それこそ手に汗握るほど)燃えました!!ジェームズ・スチュワートも渋いし、他のキャストもおっさんだらけで、おっさん好きな私としてはそれだけでウハウハ(笑)。でもそれだけでなく、男だけの心理ドラマに緊張感があって、見終わった後もかなり興奮していたことを思い出します。その後すぐに『フライト・オブ・フェニックス』としてリメイク?されたことを知りましたが、私もやっぱり「なんでキャストに女性がいるんだー!!この映画には女性は出ちゃいけない!」と、ひとりブツブツと文句を言っていました。 色々な意味で私を燃えさせる映画です(笑)

東森時音:

梅吉さんへ

登場人物は男ばかりだわ、平均年齢は高いわとオッサン映画の一つの理想ですね。
2004年版に女性が出ているらしいのにはやはりダメですよね。オッサン映画うんぬんだけではなく、男ばかりだからこそ飛行機が墜落してからフェニックス号を作り始めるまでの、どうしようもない絶望ややるせなさが成立しているわけで、その中に女性がいたら女性の奪い合いとか女性を優先して気遣うなどストーリーに方向性が生じてしまうと思うんですよね。
どこにも行き場がないし水もない、ただ死を待つ時間だけはある。中盤のベクトルのなさが『飛べ!フェニックス』の見所の一つだと思うんですが。

出演者のアカデミー受賞歴に絞ってしまったのでハーディー・クリューガーについては書いていませんが、DVDのパッケージを見れば分かるとおり、あえて言うならば主演はジェームズ・スチュアートとハーディー・クリューガーの2人。切れ者なのかイカれたヤツなのか、最後まで観客に判断をつかせない演技が見事でした。

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