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『ダイ・ハード』 そう簡単にはくたばらない

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『ダイ・ハード』 (1988) DIE HARD 131分 アメリカ 1989/02鑑賞

監督:ジョン・マクティアナン 製作:ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルヴァー 製作総指揮:チャールズ・ゴードン 原作:ロデリック・ソープ 脚本:ジェブ・スチュアート、スティーヴン・E・デ・スーザ 撮影:ヤン・デ・ボン 特撮:リチャード・エドランド 音楽:マイケル・ケイメン
出演:ブルース・ウィリス、アラン・リックマン、ボニー・ベデリア、アレクサンダー・ゴドノフ、レジナルド・ヴェルジョンソン、ポール・グリーソン、ウィリアム・アザートン、ハート・ボックナー、ジェームズ繁田、アル・レオン

-オレはいつでも燃えている その1-
「オレだってたまには泣く」シリーズが終わったので、今回からは「オレはいつでも燃えている」シリーズをやることにした。
 アメリカの観客は映画の最中で大声で笑ったり歓声を上げたりするのが一般的らしい。もっとも、社会的階層の存在が私たちが思う以上にあり、映画館のランクや建っている地区によって差があるのかもしれないが、ともかくにぎやかではあるそうだ。
 大人しいと言われる日本の観客だが、場内全体から拍手が飛ぶこともある。小劇場でマニア向け作品をやる場合はさほど珍しくもないが、大劇場で娯楽大作をやっている場合はまれだ。そんなまれな1本がこの『ダイ・ハード』である。

『ダイ・ハード』というと派手なアクションに目が行ってしまうが、オレはそれ以上に伏線が張り巡らされているきっちりと書き込まれた脚本が素晴らしいと感じる。
 大型ジェット機でロサンゼルスにジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)が降り立ったシーンでの隣の席に座った男とのちょっとした会話の中に、マクレーンの職業や拳銃を持っていること、そして劇中で裸足になってビルの中を駆けずり回ることになる理由まで盛り込まれている。
 そして訪問相手の名前をタッチパネルで指定するシーンでは妻のホリーが職場で旧姓を用いていることが判明するが、「旧姓を使っている」=「ジョンとは姓が違い、名簿を見ただけでは家族だと分からない」というのが大きなポイントとなり、その後の展開で実に有効利用されている。
 ホリーがジョンと口げんかをして、自分のオフィスにある家族4人の集合写真が飾られた写真立てをパタンと倒すことすら重要な伏線なのだ。
 あからさまな物もあれば、後になって伏線だったと分かる巧妙な物もあり、伏線好きなオレにはとても嬉しい。

 脇役も魅力的で、パトカーで見回りに来たばかりに巻き込まれる黒人警官パウエルはジョンと無線で話す窓口になり、その会話の中で互いに理解を深める。二人とも相手の顔を知らないのにビルを出たところで始めて対面して「ああ、こいつだ」と口をきかずともすぐに気付く。その後にある見せ場の格好いいこと。そこでも拍手が上がったのを憶えている。
 ジョンを乗せてきたリムジンの黒人運転手も良い。ビルがテロリストに占拠されて大騒ぎになっているのに、地下駐車場に停めたリムジンの中で途中まで全然気付かずに女に電話してたりする。こちらもラストに見せ場あり。
 ウィリアム・アザートン演ずるソーンバーグというTVレポーターは、徹底して傲慢で嫌なヤツ。徹底しすぎたせいでキャラクターが戯画化されて薄っぺらくなっているのが残念。ラストに見せ場?あり。
 製作された1988年というとバブル経済まっさかり。日本企業がアメリカの企業や建物を買収してはひんしゅくを買っていた頃。日本企業のナカトミがターゲットになったのはそういう背景もあるのだろうが、社長のタカギはテロリストに屈することなく最後まで誇りを貫く人物として描かれている。
「社員のことがどうでもいいから、私だけは助けてくれ」と土下座してテロリストに懇願させることも出来ただろうから、割と好意的な描かれ方ではないだろうか。とにかくロス市警の本部長やFBIよりもよほど好感が持てる。
 テロリスト側にはボスのハンス(アラン・リックマン)や、ステアーAUGをメインウエポンとするアレクサンダー・ゴドノフと共に、我らが長髪ハゲヒゲ東洋人アル・レオンが出演しているのが嬉しい。SWAT突入を待ち受けるシーンでは、売店コーナーに潜んでいてこっそり辺りをうかがいながらチョコバーを盗み食いする見せ場がある。

 ナカトミビルの金庫がついに開くシーンではベートーベンの第九こと「ベートーベン第九交響曲」のフレーズが流れる。
 知人は「なるほど、年末だから第九か」と納得していたが、年末に第九の公演をやるってのは日本の習慣じゃなかったか?確か、日本では一番客が入る第九のコンサートを年末にやって、その興行収入で餅を買って年越しが出来るとか。小松左京監修の雑学本で昔読んだ知識なんだが。

 銃器の描写も『プレデター』のジョン・マクティアナンらしく凝っている。扱い方や、誰がどんな銃を使っているかも設定がちゃんとしている。撃ち合いのシーンではないが、換気ダクトに潜んだジョンを探すために、アレクサンダー・ゴドノフがステアーの銃口でダクトを1ブロックずつベコンベコンと押し上げていくシーンが秀逸だ。
『ダイ・ハード2』はリアリティの無視っぷりや設定の無茶さがレニー・ハーリンらしくてむしろナイス。

 撮影担当はフランス人のヤン・デ・ボン。その腕を買われて後に監督に昇格し、『スピード』などを撮ったが、一部の作品を除くとそのまま名撮影監督のままでいた方が良かった気がする。

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コメント (2)

ネスカフェ:

最近見返しますが、内容の充実ぶりには本当にすごいですね。確か、キネ旬の読者投票
第一位で、テレビでの初回放送の視聴率が
29%とという高視聴率もうなづけます。

東森時音:

ネスカフェさんへ

なにげにクリスマスムービーだったりしますからそろそろ『ダイ・ハード』シーズンですね。
最初はどハデさに燃えましたが、二度三度と観るうちに脚本の練り込みにも目が行くようになりました。繰り替えしみても面白い傑作だと思います。
企画が立ち上がっては消える『ダイ・ハード4』ですが、ブルース・ウィルスの髪が残っているうちに実現してもらいたいものです。

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