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『ビルとテッドの地獄旅行』 地獄を駆けるロックバカ二人

『ビルとテッドの地獄旅行』(1991) BILL & TED'S BOGUS JOURNEY 1991/10/8鑑賞

監督:ピーター・ヒューイット 製作:スコット・クルーフ 製作総指揮:テッド・フィールド/ロバート・W・コート/バリー・スパイキングス/リック・フィンケルスタイン/スティーヴン・ドイッチ 脚本:クリス・マシスン/エド・ソロモン 撮影:オリヴァー・ウッド 音楽:デヴィッド・ニューマン
出演:アレックス・ウィンター/キアヌ・リーヴス/ウィリアム・サドラー/ジョス・アックランド/パム・グリア/ジョージ・カーリン/エイミー・ストック=ポイントン

映画で泣くなんてアホだ。
『真ん中が叫んでホイ(仮名)』などいわゆる“感動作”を見て、ハンカチで涙を拭きながら赤い目で劇場から出てくる人は「ああ“感動”した。思わず泣いちゃった」などと言うが、実のところ「“感動”したから泣いた」のではなく、「泣いたから“感動”した」と錯覚しているだけに過ぎない。最初から“泣く”を目的に見に行っているので、予想通りのストーリーが予想通りに展開され、「はい、ここで泣いてね」と指示されたところでその号令通りに涙腺を開く。作り手の思惑に乗ることが悪いわけではないが、あまりに観客として素直すぎるのもどうかと個人的には思う。
かなりのひねくれ者であるわたしは、「そう簡単にやられるかよ」とファイティングポーズを取って、映画の繰り出してくる技を捌きながら観ているような気がする。そのためいかにもな見え透いたパンチは食らわず、これはある意味不幸なのだがそういった作品を見下している嫌いがある。だが、まれに思わぬ死角から飛び込んできたパンチを食らう。予想していなかっただけに強烈なそのパンチで、普段は固く閉まっている涙腺がふっとゆるみつい泣いてしまう。
『ビルとテッドの地獄旅行』はそんな数少ない作品の一つだ。

前作『ビルとテッドの大冒険』で歴史の論文発表テストをパスするために、電話ボックス型タイムマシンを操ってソクラテスやジンギス・ハンなど過去の偉人たちを集めたビルとテッドの二人組。未来人ルーファスが彼らにタイムマシンを貸したのは、二人のバンドであるワイルド・スタリオンズが将来作り出す音楽によって、その後の世界を変わり平和へと導くことになるからだった。
しかし、どんな時代でもイヤな奴はいるわけで、ラブ&ピースな未来社会が気に入らない悪党デ・ノロモスがそもそもの張本人であるビルとテッド抹殺のため二人そっくりのアンドロイドを過去(わたしたちにとっての現在)に送り込む。アンドロイドをタイムマシンでやって来た別の時間の自分たちだと信じ込んだビルとテッドは、崖の上に誘き出されそこから突き落とされてしまう。ピーンチッ!さぁ、どう切り抜けるのか?ヒュー、ドスン!・・・んっ?いまドスンっていった?そう、開始早々いきなり主人公たちは死んでしまうのだ。
そしてビルとテッドは死神を打ち負かして仲間にし、地獄や天国を含めた死後の世界をかけずりまわることとなる。

そして、場所はロックコンクールの会場。ワイルド・スタリオンズが人々の前に初お目見えする歴史的瞬間になるはずだった。だが代わりに出場したアンドロイドのビル(偽)とテッド(偽)がコンクールをぶち壊そうとする。そこへ死神と共にビルとテッドが地獄から生還し、天才宇宙人が作った善玉アンドロイドが偽物をやっつける。万事めでたしと思ったところへ、デ・ノロモスがタイムマシンで登場。会場のテレビ中継システムを乗っ取り、通信衛星を通じて自らの声明を世界中に放送し始める。アメリカの一般家庭や雪の降るロシアの街角、中国の中華食堂などのテレビので人々恐怖に震えた。しかし、ビルとテッドがタイムマシンによる時間操作を利用してデノロモスを倒す。そして16ヶ月ほど時間旅行してテクニック不足だったギターの腕前を磨いて(ついでに結婚と子作りをして)会場に戻ってくると、エレキギターをかき鳴らし掻き鳴らすと歌い始める。

God gave rock and roll to you, gave rock and roll to you
Put it in the soul of everyone...

ワイルド・スタリオンズが歌う『GOD GAVE ROCK 'N' ROLL TO YOU II』はデ・ノロモスが乗っ取ったままだったテレビネットワークに流れ、人々はこのロックンロールを聴きリズムに乗り踊り歌い、そしてその瞬間確かに世界中の人の心が一つになったのだ。デ・ノロモスは図らずもワイルド・スタリオンズの音楽を世界中に伝える手助けをしたことになる。
このテレビ中継から一気に世界が素晴らしい物になったわけではないが、そのまま突入したエンディングクレジットのバックにその後のワイルド・スタリオンズの活躍が新聞や雑誌が映し出され、中東ツアーで和平をもたらしたりエアギターでスモッグ公害を無くしたり死神の口パク疑惑が飛び交ったりと、少しずつ少しずつ世界は良くなっていくとこが語られる。そして、ついには火星公演のためワイルド・スタリオンズの乗ったスペースシップが宇宙に飛び出していく。

いやもう、気がついたら泣いていた。『GOD GAVE ROCK 'N' ROLL TO YOU II』はKISSの曲なので、あのデーモン小暮閣下のようなメイク(逆ですが)を思い浮かべると微妙なところがあるが名曲だ。音楽と映像が見事に同調し感動を呼び起こす。
ハチャメチャ大バカ映画の『ビルとテッドの大冒険』(1989)と共に、この二作品はロックンロールバカ映画として長く語り継がれていくべきだろう。

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