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『インデペンデンス・デイ』 オレだってたまには泣く、その17

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『インデペンデンス・デイ』(1996) INDEPENDENCE DAY(ID4)145分 アメリカ
監督:ローランド・エメリッヒ 製作:ディーン・デヴリン 製作総指揮:ローランド・エメリッヒ、ウテ・エメリッヒ、ウィリアム・フェイ 脚本:ディーン・デヴリン、ローランド・エメリッヒ 撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ 視覚効果:ヴォルカー・エンジェル、ダグラス・スミス 編集:デヴィッド・ブレナー 音楽:デヴィッド・アーノルド
出演:ジェフ・ゴールドブラム、ウィル・スミス、ビル・プルマン、メアリー・マクドネル、ジャド・ハーシュ、ロバート・ロジア、ランディ・クエイド

『オレだってたまには泣く 映画編』をどの作品でスタートするかはさんざん迷った。オレにとってのホームグラウンドはやはり映画なので、コミックや小説について書くときよりも肩に力が入ろうと言うものだ。いかにもな名作というのも芸がないし、かといって変化球過ぎるのも狙っているようで嫌だ。
 で、考えたあげくが『インデペンデンス・デイ』だ。
 何故?何故に?とは自分でも思うが、映画館で『インデペンデンス・デイ』を観たときに本当に泣いたのは事実。その後も観る度に泣いているのは事実。いつかは書かなければならないのならば、いっそのこと面倒くさいことは最初に片付けてしまう。おそらくはそんな理由だ。

『インデペンデンス・デイ』自体はところどころにバカ映画を感じさせつつもアホ映画にしかなっていない。まあ、不真面目に観ると楽しいが作品としての評価は高くないだろう。
 オレにとって基本的にどうでもいい作品なのだが、DVDまで買ってしまったのはある登場人物が様々なことにケリをつけるシーンのためだ。
 その人物とはベトナム戦争帰りの元空軍パイロットのラッセル・ケイス(ランディ・クエイド)だ。連れ子を持つ女性と結婚したがどうやら死別したらしく、義理の息子と娘、そして実の息子1人の父親である。現在は赤いレプシロ機で農薬散布の仕事などをやっているがアルコール依存症(アル中)を患っているようだ。
 ラッセル・ケイスは「宇宙人に誘拐(アブダクション)された」と主張している。周りの人間やマスコミは頭のおかしくなった男の妄言としか思っていなかったが、ある日地球に飛来した何隻もの巨大な宇宙船が人類に攻撃を仕掛けた。こうして宇宙からの侵略者と人類の絶望的とも思える戦いが始まったのである。

 ラスト近く、人類はある手段で宇宙人が船体に張り巡らせたバリヤーを短時間の間だけ無効にすることに成功し、ミサイルなどの物理攻撃が通用するようになる。円形をした巨大な宇宙船の底部にある破壊光線発射口が開く。ラッセル・ケイスはそこにミサイルを撃ち込もうとするが故障のためミサイルが不発。コックピットに挟んだ子供たちの写真を見たケイスはある決心をし、管制官へ子供たちに愛していたとの伝言を頼む。
 ここまでは「ああ、またかぁ」とオレはシラケきっていた。またぞろ安易な「自己犠牲」の出番ですか。ちょっとは工夫しろよ、とっくの昔に厭きてるっつーの。
 ところが、ケイスがヘルメットからエアマスクをもぎ取ったところから状況は一変する。マスクを外すと同時にケイスにとって子供たちのこともアメリカのことも人類のこともどこかに行ってしまう。ただ存在するのは自分の人生をメチャメチャにした宇宙人と自分だけ。
 宇宙人から借りを返してもらうため(paybackとのセリフがある)、ケイスは宇宙船へと乗り込んでいく。それは「命がけの特攻」などではなく、以前連れ去られた場所へと戻っていくだけ。(「Hello,boys! I'm back!」とのセリフあり)
 命を捨てるとかはもうどっかへ飛んでいってしまって、単に片を付けることしかもう頭にない。このアル中飛行機オヤジの自分勝手さに毎回泣いてしまうのだ。
 賭けても良いが、ケイスの頭の中には最後には自分のことだけで、子供のことも人類のこともないだろう。

 宇宙人はロズウェル事件などで以前から地球に目を付けて偵察隊を送り込んでいたということになっている。しかし、ラッセル・ケイスはその偵察隊にアブダクションされてはいないのかもしれない。
 ベトナム戦争で傷つき、負けた戦争ゆえに故郷に帰っても英雄どころかランボー(1作目)のような扱いを受け、愛し合って結婚した女性も死んでしまった。そんな彼が「俺の人生はこんなんじゃない。本当はもっと素晴らしいはずだ」というジレンマから逃避する手段として、宇宙人に誘拐されたという妄想を頭の中に作り出したのではないだろうか。その逆恨みの矛先にされたのでは宇宙人もたまったものではないだろうが、連中の狙いは人類滅亡・地球搾取だったので別に同情の必要はないだろう。
 本当のところはエメリッヒにでも聞かないと分からないが、映画を観てオレが感じた意見はそれだ。そしてその考えの方がオレとしては燃える。
 とにかく、ラッセル・ケイスの行動は特攻などではないし、ましてや自己犠牲ではないというのが個人的結論だ。

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