『星の王子さま』 サン=テグジュペリ 岩波書店
小説編のために引っ張り出した資料本を本棚に戻している最中に、並んでいる本の中で明らかに浮いている一冊があった。それがこの『星の王子さま』だ。よりによってコリン・ウィルソンと並べとくことはないだろうに。あっ、そういう配置にしたのはオレか。
別に深い意味があるわけではなく、この本はハードカバーなのでサイズが同じ本同士で揃えただけ。
2,3年前のことですら大まかにしか憶えていないオレにとって、『星の王子さま』を始めて読んだ小学校3年生かひょっとしたら2年生の時分の出来事など、ティラノサウルスが大地を闊歩していた白亜紀とさして違いがない。
だが、話の語り手である「ぼく」と「王子さま」の別れが近づいたシーンでその別れを予感して泣いてしまったことはかろうじて憶えている。さすがに今読み返してみても泣けなかったが大昔のオレは泣いた。そんな時代もあったのだ。
最近では版権が終了したとかで他の出版社から新訳版も出ているがそちらは読んでいない。岩波書店の内藤濯翻訳版では1ページ目からいきなり「ウワバミ」という単語が出てきて、これに「大きなヘビ」とも何とも注釈がないために意味が分からなくて面食らってしまった。「ウワバミ?・・・校舎の中で履くヤツか。それはウワバキだな」と当時思ったのを憶えている。うむむ、基本的にオレってヤツは進歩してないな。
山猫か何かを飲み込もうとしているウワバミの挿絵があるのだが、ヘビというよりも謎の怪奇生命体にしか見えない。新訳版での表記はどうなっているのだろうか。内藤訳版で満足しているので今さら他の翻訳で読む気はないがそれだけはいずれ確認しておきたい。
子供の頃、母親が家の一室を利用して家庭文庫を開いていた。近所の子供を対象とした小型の私設図書館だと思ってもらえばさほど間違いはないだろう。
そのおかげで、小学校に入る前から読む本がまわりに溢れかえっていた。『星の王子さま』もその中の一冊。小学校高学年ぐらいの子供に人気があって、何度もページが開かれたため痛んできたのを図書用テープで補修してあった。
今手元にあるのは大学時代になんとなく買ったもの。何で買う気になったのは2,3年前のことですら大まかにしか憶えていないオレにとって、もはや思い出そうとしても思い出せやしない。