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『I STAND HERE FOR YOU-大槻ケンヂ』 オレだってたまには泣く、その8

『I STAND HERE FOR YOU』 大槻ケンヂ MCA VICTOR

『ONLY YOU』に続く大槻ケンヂの2枚目のソロアルバム。
 最初は『モンブランケーキ』や『猫のリンナ』などどちらかというと筋肉少女帯っぽい曲が続く(『猫のリンナ』は歌詞だけ大槻ケンヂで曲は洋楽だそうだが)。前作『ONLY YOU』はカヴァーアルバムだったためかこれまでとは少し違う大槻ケンヂだった。「今回もせっかくのソロアルバムだというのにちょっと残念だな」などと考えてしまった。
 しかし、そのときすでにオレは大槻ケンヂの仕掛けた罠にはまっていたのである。

 懐かしの『また会えたらいいね』のセルフカヴァーである『それでも、また会えたらいいね』、死んで灰になっても塵になっても、いや素粒子のクォークになってもまたいつか恋人と巡り会うといった『青春の蹉跌のテーマPART3』。(『青春の蹉跌』というタイトルにうぇっとなったが、やはり同タイトルのATG映画から取ったらしい。あの映画は大っ嫌いなんだが、まあそれはそれだ)
 大学を卒業するか何かで街を去っていく若者が、たばこ屋のおばあちゃんやおそば屋のおじさんに「お世話になりました」と明るくそしてどこか寂しく別れを歌う『お世話になりました』が9曲目。これは井上順が歌っていた曲のカヴァーだそうで、オレは原曲を知らない。街の人々やそこであった出来事を思い出にしていく寂しさ、将来への明るい希望と一抹の不安。それらがオレ自身の体験と重なってしまい感情が揺さぶられていく。

 そして10曲目の『天使たちのシーン』が始まる。
 この曲は小沢健二のカヴァーで原曲は小沢健二のアルバム『犬は吠えるがキャラバンは進む』に収録されている。学生時代にフリッパーズ・ギターが多少流行っていたが、音楽にはさほど興味がなかったオレはまともに聴いたことがなかった。フリッパーズ・ギターが解散してソロになった小沢健二が出した『犬は吠えるがキャラバンは進む』を買ったのはそのアルバムタイトルと「このアルバムを『犬キャラ』と略すのだけは止めてくれ。略すなら『犬』にしろ」という小沢健二の発言が気に入ったからだった。
 オレとしてはわりと何度も繰り返し聴いたアルバムで、中でも『天使たちのシーン』はお気に入りだった。1997年の10月に「赤い風船」というエヴァンゲリオンの二次短編小説を書いているが、その中でシンジとアスカが駅のホームで風に流されていく風船を見つめるシーンがあるぐらいだ。ただ、オレ自身が車で走っているときに空を飛んでいく1個の風船を見た時にアイディアを思いついたので『天使たちのシーン』のパクリではない。オマージュ・・・オマージュとも違うな。そうそうインスパイアだインスパイア。タイヤが4つついてエンジンで走るヤツな。それはホンダの自動車インスパイアだろ。って脱線しすぎだ。しかも脱線なのに自動車とはこれいかに。

 小沢健二の『天使たちのシーン』もすごく良いのだが歌声がキレイすぎてそのままスルスルッとオレの中を通り過ぎてしまう。
 大槻ケンヂの『天使たちのシーン』は、誤解を恐れずに言えばちょっと下手な上に耳障りの悪い大槻ケンヂが歌うことによって、聴いているオレの心のあちこちに引っかかったりぶつかったりする。でもって、その分だけ余計と心が揺さぶられるのだ。寂しそうなしかし誰しも孤独ではないよと訴えかけてくる大槻ケンヂの歌声に静かに泣いた。

 『青春の蹉跌のテーマPART4』を挟んでラスト12曲目の『あのさぁ』へ。
 この曲は恋する大バカ野郎の歌で、大バカだけでも大したことなのにさらに恋してるとなるとひょっとしたら不可能はないぞという名曲。
『I STAND HERE FOR YOU』も構成が上手くて、この曲がこの順番で流れてくるからだんだんと感情が揺さぶられてその揺れが大きくなっていくというはある。

 以上で『オレだったたまには泣く 音楽編』は終了。
 音楽は熱心に聴いていないので泣いた記憶があるのは昨日分も含めた2作品だけ。
 QUEENの『RADIO GA GA』は英語がまともに分かれば泣いているかも知れないが、翻訳歌詞カードを見ながら聴いてるのではちょっと無理。王様に直訳ロックで歌ってもらえばいいのか?いや、QUEENは女王様が担当か。王様も女王様も今はどうしているんだろうな。

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