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『BATTLEフィールド Code.4楽園のあちら側』 オレだってたまには泣く、その6

『BATTLEフィールド Code.4楽園のあちら側』 『BATTLEフィールド』収録 島本和彦 ビッグコミックス

『BATTLEフィールド』は島本和彦の戦記短編集。第二次大戦のヨーロッパ戦線が舞台で陸軍物がほとんどだ。
 短編が9話収録されていてどれも力作揃い。『Code.2愛しのティディーベア』もぐっとくるが、4話目の『Code.4楽園のあちら側』でオレは泣いた。

 ノルマンディー上陸作戦から1ヶ月後、ドイツ軍の反撃により撤退中の連合軍兵士が主人公。背後には冷酷なレジスタンス狩りで名を馳せた「白い狼」と呼ばれるドイツ軍将校の部隊が迫っている。
 連合軍兵士たちは廃墟と化した街に逃げ込む。人っ子1人いないと思われた街に破壊されないままの公園があり、バラ園で作られた迷路の中央には遊具が置かれた小さな遊園地があった。そして、そこには老人たちだけがいつか帰ってくる家族を待ちながら平和に暮らしていた。
 食事などを振る舞われた連合軍兵士たちは、撤退中にもかかわらず壊れた遊具を修理する。メリーゴーラウンドだけは修理できなかったが、とても喜んだ老人たちは「永遠の友人、偉大なるアメリカ兵万歳!」の立て札を立てる。
 そして再び撤退を始める連合軍兵士は老人たちにも一緒に来るようにすすめる。このまま街にとどまっては、すぐそこに迫っている「白い狼」が攻め入ってきて皆殺しにされるのは間違いない。
 しかし、老人たちは実は子供や孫たちなどの家族はすでに戦争で死んで、生き残っているのは自分たちだけだと告げ、街に残ることになる。
 都合してもらったトラックで街から遠ざかりながら、兵士たちは幻の街『リップ=バン=ウィンクルの村』の伝説を思い出す。

 さらに1ヶ月後、勢いを取り戻した連合軍はドイツ軍を圧倒しながら再び前進を始める。
 白い狼によって徹底的に破壊された街。だが、その白い狼もレジスタンスの仕掛けた爆弾ですでに命を落としている。街へと戻った兵士たちは悲惨な光景を予想しながら遊園地へと向かうが、そこで奇跡を目にする。

「永遠の友人・・・我らのメリーゴーラウンドを修理した・・・・・・偉大・・・なるドイツ人へ・・・か。」

 冷酷にレジスタンスを処刑していった白い狼にも人間の心があった。いや、戦争によって彼は「白い狼」になってしまったので、もしも戦争がなければ1人の人間、一市民として生涯を全うしたことだろう。
 ドイツ軍人だから、あるいは日本軍人だから悪なのではない。戦争が悪なのだ、戦争が人を邪悪にするのだ。などと感じさせる作品だった。
 ただ立ち尽くすだけの主人公たちにオレは涙した。
 島本和彦は男を描かせたら、「漢と書いてオトコと読む」とか「本気と書いてマジと読む」といったオレに言わせればインチキなオトコではなく真の男を書かせたらまさしく一流である。

 今回で「オレだってたまには泣く」コミック編は終了。次回から音楽編に入る。

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