『山本正之'89 少年の夢は生きている』 山本正之 ワーナー・ミュージック・ジャパン
『燃えよドラゴンズ』や『タイムボカンシリーズ』などで知られるミュージシャン山本正之のアルバム第2弾。
前作『'88』は当時所属していた大学のシネマ研究会の一部のメンバーの間で一瞬歌『まる木船探検隊』などが流行った。ついついオレも買ってはまった。
翌年にリリースされた『山本正之'89 少年の夢は生きている』も当然購入し、クレイジーキャッツを思わせる『宇宙一のスチャラカ男』などを笑いながら聴いた。一瞬歌シリーズの『大きくなったら』なども笑った。
『CHICAGO』や『天の浮舟』などシリアスな曲もあり、山本正之のまた違った一面もかいま見せながらアルバムは進み、そして14曲目のアルバムタイトルにもなっている『少年の夢は生きている』が始まった。
山本正之自身が少年時代に体験したというちょっとしたエピソードがいくつも語られ、そしてその頃の夢、少年の夢は色々あって大人になった自分の中で今でも生きている。そんな内容だ。
初めて聞いたときのオレはまだ20歳ぐらいで、良い曲だなとは思ったがそれ以上の物は感じなかった。
それから10年少々が過ぎてオレも30歳代になってから、なんとなくCDを引っ張り出してきて聴いた。別にその10年間の間まったく聴かなかったわけではないが、せいぜい数年に一度の頻度だったのであまり細かいところまでは覚えていなかった。
笑える曲やシリアスな曲を楽しんでいるうちに『少年の夢は生きている』が流れ始めた。
そして泣いた。
「少年の夢はあれから長い年月が過ぎて大人になっても自分の中で生きているんだ」
といったようなフレーズが泣けてしょうがなかった。(歌詞の引用なしで歌の感想・批評や説明をするってのはしかし難しいな)
年を取るごとに感性は鈍化し純粋さは失われていく。確かにそういう部分もあるだろう。だが、20歳の時には分からなくて30歳代になって分かるようになった物もある。『少年の夢は生きている』はそんな物の一つだ。
ある意味では惰性で生きている毎日。だがそんなオレの中にも『少年の頃の夢』がまだ生きているのだろう。だから泣いたのだ。
『少年の夢は生きている』一曲だけを聴いても泣けない。アルバムの1曲目から聴いていって全15曲の14曲目、しかもその前が短い上になんじゃそりゃの『フラフープ』。その流れで聴くと『少年の夢は生きている』の威力は何倍にもなる。
音楽のことはほとんど分からないオレだが、やはりアルバムの構成というのはただ曲を集めてまとめただけではなく、一つのアルバムで一つの作品になるようにどの曲を何番目に入れるかなど色々考えられて作られているのだろう。などと思ったりする。