『パタリロ! 第38話 FLY ME TO THE MOON』第10巻収録 魔夜峰央 花とゆめCOMICS
8月26日のエントリに書いてあるが、中期出張で自宅を離れていたオレはプライベートなネット関係の作業をするためインターネットマンガ喫茶を利用していた。
そして、ネット以外に何作かコミックを読んで過ごした。数日に分けてパタリロシリーズを一気読みしてしまった。
そして第10巻収録の第38話『FLY ME TO THE MOON』で泣いた。
パーティションで囲まれた個人スペースの狭苦しさにはうんざりしていたが、この時ばかりはその壁がありがたかった。ボロボロ涙を流している姿を人前にさらしたくはない。
「また白泉社かよ」
「また花とゆめコミックスかよ」
「しかもパタリロ!かよ」
という声もあるだろう。
だが、この文章を書くためにサブタイトルや収録巻を調べると、この『FLY ME TO THE MOON』は名作・傑作・感動作として評価が高い。泣いた人も数多いようだ。
マリネラの少年ロビーは宇宙飛行士になる夢を持ってマリネラの植物園で働いている。
そんな彼が他の生き物の傷や病気を治す力を持っていることを発見したパタリロは「マリネラでロケットを作ってお前を宇宙飛行士にしてやるから」と言いくるめてその力で不治の病に冒された人などをを治療しては多額の謝礼を得て金儲けをする。
しかし、ロビーが体調を崩して倒れたため治療作業は中止。だが、治療を待つ長い行列の先頭にいたのがバンコランだった。バンコランの依頼は死にかけている枢機卿を救うこと。この枢機卿は戦いを続ける敵国同士を和平に導き、近いうちに休戦となるはずだった。この人物が亡くなっては再び戦いが始まり多くの人が命を落とすことになる。
枢機卿のもとへと治療に向かうが、ロビーの力は相手を単に治すのではなくロビー自身の生命力を分け与えているだけだったのが判明する。ロビーの生命力をこれ以上分け与えると彼自身の命が尽きてしまう。
ここでパタリロはロビーを救いたいという人間としての感情と(もっとも、人間としてのまともな感情がパタリロにあるのかはちょっとばかり疑問だが)、マリネラの国王としてそして一国の元首が世界に対して取るべき責任と、どちらを選ぶかの選択を迫られる。
自国民にして友人でもあったロビーと、見も知らぬ他国の数多くの人々。
そしてパタリロは苦渋の、まさしく苦渋の決断を下す。
最後、パタリロに謝罪か慰めか、あるいはその両方の言葉を伝えようとしたバンコランの手を「さわるな」と拒絶してパタリロは去る。
そして
「その日パタリロは生まれてはじめて心の底から泣きました」
とナレーションが伝え、パタリロは1人っきりで泣いている。
王というのは特権階級である。贅沢で優雅な暮らしもできる。そしてその特権を持つ者は重く大きな義務も背負わなければならない。パタリロはその義務を背負うことを選んだ。
バンコランを拒絶したのはロビーに関する義務と責任は国王であるパタリロ1人で背負わなければならなかったからだ。王とは民の頂点でそして孤独である。臣下や国民の前で王は泣くことを許されない。だからパタリロは1人で泣くのだ。
でもってオレも涙がダーッ。涙ぐむだけではなく、これでもかってぐらいダーッ。
クリント・イーストウッドの『スペース・カウボーイ』(2000)で『FLY ME TO THE MOON』が冒頭とラストに2回流れるが、それとほぼ同じ意味で使われているサブタイトル『FLY ME TO THE MOON』にダーッ。
それにしても、第10巻収録で“初期”の『パタリロ!』ってのもすごい話だ。どれだけ続いてんだよ。21世紀になってもパタリロが続いているとは思わなかったぞ。
スカイパーフェクTV!のAT-Xでアニメ『パタリロ!』(1982~83)の放映が始まった。スターチャンネルなど映画のチャンネルはいくつか加入しいてたが思わずAT-Xも契約してしまった。
まぁ月-金の週5話放映で全49話だから受信するにしても3ヶ月ぐらい。放映が終了したら即解約になるだろう。
コメント (2)
この話覚えてるわ。
中学くらいのときに、テレビで見た。
バラでパタリロが手を怪我するシーンから始まったはず。
15年以上前のことでも印象に残ったことは忘れないんやな。
Posted by: kei | 2008年05月27日 23:39
日時: : 2008年05月27日 23:39
keiさん
アニメ版だと枢機卿を治療すると自分が死んでしまうことをトビーが立ち聞きして知ってしまうなど若干の改変があって、ラストの余韻もコミック版の方が好きですが、アニメもやはり泣けます。『パタリロ』はごくたまに良い話をやってくれます。この“ごくたまに”具合がまた上手い。
Posted by: 東森時音 | 2008年05月28日 00:52
日時: : 2008年05月28日 00:52