『1+1=0 いちたすいちはれい』 桑田乃梨子 花とゆめCOMICS
『おそろしくて言えない』が新刊コミックとして出た頃から桑田乃梨子のファンになって、その後もずっと買い続けている。引っ越しやらで古いコミックスを手放したこともあったが、後に古本や回りをして買いそろえた。オレが全作品(多分)を持っているマンガ家は桑田乃梨子と竹本泉ぐらいだ。
『1+1=0』の主人公である石綿(この所、大きくマイナスイメージな苗字だな)は幽霊などを日常的に見てしまう優れた心霊能力を持っている。しかし、その能力が役に立ったこともなく、平凡に暮らしたい石綿にとってはむしろ邪魔に感じている。
そこへ転校生として苑田という少年が転校生として現れる。ハッタリ屋だがカリスマ性を持つ苑田は「世界を支配する」という壮大な夢を持っている。世界のトップを占星術師や預言者として影から操るつもりなのだが、肝心の霊能力はまったくもっていない。
心霊研究会唯一の部員で見た目は心霊少女だがこれまた霊能力の欠片もない少女、御簾津みずほが苑田を心霊研に誘い、石綿は霊能力を持っていることが二人にバレてしまい、そのままうやむやのうちに心霊研入り。
みずほには姉がいたが事故で死んでしまい今ではみずほの守護霊になっている。その“みずえ”に石綿は惚れてしまう。現世の人間と幽霊との恋愛は成立するのか?
山での合宿や学園祭での降霊術などの定番?なイベントが続く中、石綿とみずえは愛を深めていく。しかし、みずえの守護霊としての役目が終わり再び生まれ変わる準備のため成仏する日がやってくるのだった・・・
ちょっと意外なみずえの転生先や、自らの能力はみずえと出会うためにあったのだと気付く石綿(陶酔しきったそのセリフを聞いて「ざー」と呆れかえっている苑田とみずほの二人がまた良い)になかなかジーンときながら物語は終わる。
ここまでだと「ジーン・・・」だけだったのだが、巻末にあるおまけまんが『12years after』のラスト1ページで泣いた。もうこれでもかってぐらい泣いた。
物語の終盤、石綿とみずえの別れのシーンを再現させて、でもって泣いている石綿の姿は見せない。上手い。少女マンガだがオレの涙は男泣きだった。
あくまでもおまけまんがで本編なくしてはなりたたないし、たったの4ページだ。だがこのおまけまんがの存在によって『1+1=0』はオレを泣かせた数少ない作品となり、オレ的傑作としてこれから先もずっと本棚に置かれることとなった。
もしも『1+1=0』を映画化したら、エンディングクレジット後にこの『12years after』を入れたい。でもって観客は泣く。ただ、エンディングクレジットが始まると帰りやがる客が多いので冒頭に「最後まで座ってろ」とアナウンスしておかなけりゃダメか。