« 『フライング・コップ』 これが噂のニセストップモーション | メイン | 『パリ警視J』 吼えろ、ベレッタM93R »

『ブリット』 激走、ムスタング

B0009G3EUS.jpg
『ブリット』(1968) BULLITT 114分 アメリカ ワーナ作品

監督:ピーター・イエーツ 製作:フィリップ・ダントニ 製作総指揮:ロバート・E・シリア 原作:ロバート・L・パイク 脚本:アラン・R・トラストマン、ハリー・クライナー 撮影:ウィリアム・A・フレイカー 音楽:ラロ・シフリン
出演:スティーヴ・マックィーン、ジャクリーン・ビセット、ロバート・ヴォーン、ドン・ゴードン、サイモン・オークランド、ロバート・デュヴァル

 スティーヴ・マックィーン主演の刑事映画。タイトルのブリットとは主人公の名前「フランク・ブリット」からきたもの。割と勘違いされがちだが「弾丸」のブリット(バレット)はBULLETなので綴りがちょと違う。もっともその意味も含んだタイトルなのだろう。

 まずはオープニングが素晴らしい。クールさでいえばとびっきりの出来だ。3分ちょっとの間、なにやら悪事を働くために建物に侵入してくる男たち。それに白い文字でタイトルなどのクレジットがかぶさってその文字を使って画面が切り替わっていく。一言も発せられないままラロ・シフリンの音楽が流れる。これは本当に最高だ。
 そして中盤のサンフランシスコの坂道を利用してのカーチェイス。横道との交差点を走り抜けるときのジャンプの連続は有名だろう。それ以降、サンフランシスコを舞台にしたアクション映画では必ずといっていいぐらい引用されている。だが、製作から37年が経過しているために、そのカーチェイスのシーンも現在の観客からはちょっと地味に感じられてしまう部分はあるだろう。アクションシーンの派手さと過激さは特に競争の激しい分野なのでしょうがないことだろう。
 ちなみに、このカーチェイスのシーンで濃緑のフォルックスワーゲンビートルを追い抜くのだが、追い抜いても追い抜いてもまた前方に現れ、結局は4回も追い越している。「同型の車じゃないの」という意見もあろうが、個人的にはビートルに乗っているのが気の短い走り屋で、マックィーンたちに追い越されるとむかっときて、「お前ら、なにあいさつもなしに抜かてんだよ。わしを誰だと思ってんだ」とアクセルを踏み込んで華麗なドライビングテクニックで追い越すと、「あーいかんいかん。今日はのんびり走るつもりだった」と速度を落とす。で、また追い抜かれるのでカッときてアクセルを踏む。画面に映っていない部分でそれが繰り返されたのではないだろうか。
 えっ?カーチェイスのシーンで撮影用に用意した走行車両が足りなくて何度も登場したんじゃないかって?あんた、夢のないこと言うなぁ。

 フランク(マックィーン)は独立先行型で腕利きなハードボイルド刑事。とはいっても同僚たちから浮いているわけでもないし、上司からの信用も厚いようだ。
 上院議員(ロバート・ヴォーン)から指名されて犯罪組織に関する証人を公聴会まで保護することになるが、秘密だったはずのホテルの部屋が何物かに襲撃されて、証人は殺害され担当の刑事は重傷を負ってしまう。悪党を捕らえるためにフランクは医者に頼んで証人は死亡しておらず重症のまま他所に移されたことにしてもらう。そして再び証人を狙ってくる悪党に挑む。

 ピーター・イエーツの演出は抑制が効いていて息詰まる物があるが、最近のアクション映画に慣れた人には退屈かも知れない。これもカーチェイスと同じくしかたないことだろう。
 上院議員役はロバート・ヴォーン。やはりこの人は政治家役が似合う。他には出演シーンは少ないが、タクシーの運転手としてロバート・デュバルが登場する。そこら辺で印象の強い役者を使っておいて、二人組の殺し屋が単なる白髪と黒縁眼鏡のオッサン二人組というのも面白い。
 フランクには恋人がいて、彼女が捜査に入れ込んで危険もいとわないフランクのことを自分とは違う種類の人間ではないかと悩みを打ち明けるシーンと、ラストでの取りあえずの決着の付け方がなかなか良い。
 ただ、フランクがはみだし者の一匹狼なのか、仲間と協力して犯罪に立ち向かう従来型の刑事なのか、人物設定がシーン毎に異なっていてはっきり固まっていない印象がある。その点を参考として同じくサンフランシスコが舞台な『ダーティーハリー』のハリー・キャラハンというキャラクターは、より強烈な人物として設定されたのではないかと個人的に考えている。製作も同じワーナーだし。それに音楽も同じラロ・シフリンだし。・・・ラロ・シフリンは関係ないか。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/4258

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません