『フライング・コップ』(1982~1984) POLICE SQUAD!
監督:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー(三人合わせて通称ZAZ)、ジョー・ダンテ、ポール・クラスニー
出演:レスリー・ニールセン、アラン・ノース
『フライング・ハイ』(1980)などのジム・エイブラハムズ達が手がけたTVシリーズで、後に『裸の銃を持つ男』として劇場版刑事映画にもなった。劇場版の方は大して面白いとは思わないが、このTV版は素晴らしい。ぜひともDVDを出して欲しいものだが出ないだろうな。1980年代後半にビデオ化されてレンタルにもなっているので、店によってはまだ置いているところもあるかも知れない。もしも見つけたら「ぜひとも観て。頼むから」だ。
主人公の刑事フランク・ドレビンが始終むすっとした真面目な顔で実にバカな行動を繰り返す。しかも、周りの人間もバカばかり。バカワールドでバカな事件が繰り広げられるのだ。
とにかくギャグの量が圧倒的。全面に押し出したメインのギャグだけではなく、後ろで何かやってる細かなギャグが魅力だ。殺人事件の現場に急行したドレビンが警部と話しているとその後ろを死体を白い布で覆った担架が担ぎ出されてくる。この担架が出て行っても出て行っても延々と続く。少なくとも10メートル以上。二人が二階にある事件現場のサラ金に入ってきたところでようやくと担架の端が通り過ぎていく。床には死体の跡が白墨でマークしてあり、その隣にはエジプトピラミッドの中にあるような壁画が白墨で描かれている。とまあ、1分ほどのこのシーンの中にもいくつものギャグがある。
しょうもないギャグをそれなりのセットとか大道具・小道具を用意してちゃんと映像化しているところが素晴らしい。そこを手抜きされてしまうと笑えなくなってしまうのだ。日本のギャグ・コメディ関連の映画がつまらない理由の一つがそういった点での手抜きが多いことだろう。予算やスケジュールの都合なんだろうが、観客にはそれは関係ないと言えばない。
スペシャル・ゲスト・スターとしてウィリアム・シャトナーなどが出演しているが、全員ともオープニングの登場人物紹介中に殺されてしまう。出演したゲストスターも洒落が分かっていて良いではないか。
そしてエンディングのストップモーションはレスリー・ニールセン達が動きを止めているだけのニセストップモーション。第1話ではただ止まっているだけなのだが、話数が進む毎にトンマな要素が加わってエスカレートしていく。
このギャグだらけのストーリーを考え出したZAZもすごいが、これにOKを出した製作者も偉い。もっとも、ほとんど評判にならなかったらしく6話で打ち切りになってしまったのだが。でも、このクオリティを維持するにはちょうどいいぐらいの話数だったと思う。
ストップモーションのギャグもそうだが、前と同じ事をやっても客は同じように笑ってくれない。そこでギャグを過激にして笑いを引き出そうとするがそのやり方は次第に苦しくなって最後は破綻してしまう場合が多いのだ。ギャグ映画の宿命だろう。「ギャグ映画は一作きりに限る」という格言が示す通りだ(というか今作ったが)。