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『もっともあぶない刑事』 襲い来る苅谷俊介

『もっともあぶない刑事』(1989) 104分 日本 1989/04鑑賞

監督:村川透 プロデューサー:初川則夫、伊地智啓、服部紹男 企画:岡田晋吉、清水欣也、黒澤満 脚本:柏原寛司 撮影:柳島克己 音楽:都志見隆
出演:舘ひろし、柴田恭兵、中条静夫、浅野温子、仲村トオル、柄本明、苅谷俊介

 日本の刑事ドラマというと『太陽にほえろ』とか『特捜最前線』などのように集団で捜査にあたる物が多い。そんな中、珍しく2人組のコンビが主役なのが『あぶない刑事』シリーズだ。えっ?『噂の刑事トミーとマツ』はだって?
 テレビドラマ版の方は1本たりとも見ていないが映画の方は6作全部見ている。
 1作目の『あぶない刑事』はメチャメチャつまらなかった。見ている最中にあまりのつまらなさに激しい頭痛がしてきて、フラフラしながら家に帰って熱を測ったら38度を超えていて、結局数日寝込んだ。怖ろしい破壊力だ。「ただの風邪じゃないかって」?いいや、あれは『あぶない刑事』にやられたのだ。
 2作目の『またまたあぶない刑事』は多少ましになっていた。しょせんTVドラマの延長線上であったが熱が出ないだけずいぶんマシだ。
 そして、3作目の『もっともあぶない刑事』。最初タイトルを見たときには「なんつー名前をつけるんじゃい」とちょっと怒ったが、監督が村川透だと聞いて「じゃあしょうがないか。松田優作の『最も危険な遊戯』の監督だしな」と納得した。全2作が面白くなかったのでこいつも特に期待しないで観に行ったのだが、面白かった。はっきりいって日本刑事映画の傑作だ。

 主人公の二人が常に軽口ばかり叩いていて、上司の命令を平気で無視する型破りな刑事。アメリカの刑事映画では定番だが日本の作品では珍しいタイプだ。彼らを含めた主要登場人物がTVシリーズからの長い付き合いだけあって掛け合いのタイミングもドンピシャリで息が合っている。
 主人公のタカとユージの後輩で「女にモテたい」君な仲村トオルが間抜けで良い。『ビーバップ・ハイスクール』よりもこっちの方が似合うや。

 柄本明の悪党のボスも憎々しくて良いが、苅谷俊介の倒しても倒してもなかなか死なないターミネーターばりの殺し屋も良い。ターミネーターといっても苅谷俊介なのでチンピラの頭ぐらいにしか見えずさして強そうでないのが味だ。免許証の更新で警察に行ったら、安全協会ビデオの交通安全ビデオにレポーター役で苅谷俊介が出てたな。ミスキャストな気もする。
 日本のアクション物だと、カーチェイスをやって派手に壊れる車はなぜか年式のいった中古車という法則がある。タカとユージが証人を連れて警察と悪党の両方から逃げ回る時の車もかなり古いアメ車だ。これは元々乗っていた覆面パトカーだと発見されやすいため、そこら辺にいた若い馬鹿と車を交換したからである。おかげで気にせずに廃車の山に紛れて身を隠したり、派手なカーチェイスが出来る。ちょっとした工夫だが、こういうところに気を遣っている脚本は往々にして出来が良いものだ。
 笑えるシーンの連発に少しハードボイルドが入っている。これが全編ハードボイルドだと大爆笑でとても見ていられなかっただろう。ハードボイルドをやるにも難しい世の中なのだ。
「俺たち運が良いからな」というセリフの繰り返しが格好いい。
 後半の「そんなアホな」な武器の調達方法や敵陣への殴り込み。そして衝撃のラスト・・・つい泣いちまったぞ。

 テレビシリーズや映画の前2作を観ていなくても充分に楽しめる。実際にテレビシリーズを観ていないわたしが保証する。続く5、6作目も観る必要がないが、この『もっともあぶない刑事』だけはよかったら観て欲しい。面白いぞ。

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