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『未来警察』 未来っつーほど未来じゃないが

『未来警察』 (1985) RUNAWAY 101分 アメリカ 1985/07鑑賞

監督:マイケル・クライトン 製作:マイケル・ラックミル 製作総指揮:カート・ヴィラドセン 脚本:マイケル・クライトン 撮影:ジョン・A・アロンゾ 音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:トム・セレック、ジーン・シモンズ、シンシア・ローズ、カースティ・アレイ、G・W・ベイリー

「これって刑事映画じゃなくて警官映画じゃないの?制服着てたし」という意見もあろう。わたしもなんとなくそんな気がするが、これは刑事映画だ。根拠はない。だがわたしが刑事映画だと思う以上、この映画バカ黙示録においてはそれが正義だ。

 時は近未来、すでに会社や一般家庭にもロボットが進出していた。ロボットといっても鉄腕アトムやドラえもんのような人型ではなく(ドラえもんは猫型だが)、小型の冷蔵庫や掃除機に適当に手足を付けたような面白みのないデザインだ。ロボットといえば2足歩行だろと思うが、マイケル・クライトンにとっては実用的であれば見た目はどうでもいいらしい。
 主人公のジャック(トム・セレック)は警察のロボット対策班で働いている。万が一ロボットが暴走したりして問題を起こしたときにロボットを停止させ事態を収拾するのが仕事だ。そこへ女性警官カレンが新しく赴任してきてジャックのパートナーになる。
 時を同じくして、家事ロボットが家人を殺害し赤ん坊を人質にして暴れ回るなどロボットの暴走事故が多発する。ロボットを解体し分析を行うと、謎のチップが見つかる。このチップが暴走原因ではと調査に乗り出すジャックたちだったが・・・

 『ジュラシック・パーク』や『アンドロメダ・・・』などヒット作品で原作を手がけたマイケル・クライトンの監督・脚本作。小説家としての能力はともかく、監督としてはトホホな人なんだが7作ほど撮っている。この『未来警察』はそんなクライトン監督作品の中でも面白い方だと思う。
 主人公のトム・セレックがやはり格好いい。タフガイ系の警官だが、妻を失い一人息子と暮らしていて、その息子を心から愛している良き父親の一面も持つ。銃を構えるとピタリと決まるし、元バスケの名プレイヤーなだけに走る姿も絵になる。
 そして、ある意味ではトム・セレックもロボットも食ってしまってこの映画の実質的主役じゃないかと思わせるのがジーン・シモンズ。専業俳優ではなく、メインの職業はミュージシャン。そう、あの顔面全メイクのロックバンド「KISS」のジーン・シモンズだ。「KISS」での楽器担当は「舌出し」でたまにベースも弾いている。ん?逆か?映画には何作か出ているが、ほとんどが悪役ばかり。メイクを落とした顔がこれでもかという悪人顔だからしょうがないか。というか、素顔の方が怖いんじゃないのか?『未来警察』以外では、賞金稼ぎのルトガー・ハウアーと対決する悪役として『ウォンテッド』に登場している。ラストの死に方は圧巻。

 近未来が舞台だがあまり面白い小道具などは登場しない。先ほど書いたようにロボットはメチャメチャデザインを劣化させたR2-D2みたいなものだし、ジーン・シモンズが送り出す毒を注射して相手を殺すクモ型ロボットはデザインにしろ大きさにしろ誰がどう見ても「メカモ」そのままだ。まあ、あれが何体もカシャカシャと小さな音を立てて迫ってくるのは案外不気味ではある。
 最大の未来道具がジーン・シモンズが使う小型誘導ミサイル発射銃だろう。相手をロックオンして発射すると、どれだけ曲がりくねって逃げようが物陰に隠れようが必ず命中する優れ物。相手を追うシーンではロケットの視点から1カット長回しが登場する。曲がり角をキュキュキューとカーブしたり、パイプの中をくぐり抜けたりと、間抜けではあるし劇場内に笑いが飛んだがこの作品の魅力の一つ。

 ジャックの息子を人質に取ったジーン・シモンズと対決して最後にはジャックが勝ってめでたしめでたしなんだが、結局最後までジーン・シモンズがロボット・暴走チップを作って何をしたかったのかよく分からなかった。それに制御チップをつくるとなると半導体工場が必要だろう。それよりもロボットにコンピュータウイルスを送り込むかOSにトロイでも仕込んだ方がずっと楽だったろうに。特定の高周波で暴走するとかさあ。
 もっとも娯楽映画の悪役なんてそんなものである。

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