
『ビバリーヒルズ・コップ』(1984) BEVERLY HILLS COP 105分 1985/04鑑賞 2005/07/07DVDにて再鑑賞
監督:マーティン・ブレスト 製作:ドン・シンプソン、ジェリー・ブラッカイマー 脚本:ダニエル・ペトリ・Jr 撮影:ブルース・サーティース 音楽:ハロルド・フォルターメイヤー
出演:エディ・マーフィ、リサ・アイルバッハー、ジャッジ・ラインホルド、ジョン・アシュトン、ロニー・コックス
それまでの刑事物といえば『ダーティーハリー』シリーズや『フレンチ・コネクション』、『マックQ』などのように主人公はタフなハードボイルドタイプが主流だった。『48時間』(1982)でエディ・マーフィーが組んだ刑事役ニック・ノルティも口数が少ない代わりにすぐ手が出るタフな暴力刑事だった。
『48時間』で格好いいところはほとんどニック・ノルティに取られてしまったのが悔しかったのか、エディ・マーフィーは自身が主役の刑事物に取りかかる。ただの刑事映画ではつまらないので得意なしゃべくりを大いに盛り込む事にした。それがこの『ビバリーヒルズ・コップ』である。
自動車産業で有名なデトロイト。そのデトロイト市警で刑事として勤務しているアクセル・フォーリーは腕利きだが型破りな一匹狼だ。これまで映画に登場した多くの刑事たちと違って、アクセル最大の武器はしゃべくりだ。マシンガン・トークでまくしたて、相手に反論する暇を与えず隙を作り情報を聞き出したりする。その上、愛銃“ブローニング・ハイパワー”を一旦引き抜くとガンファイトもかなりな腕前。
ロサンゼルスの保税倉庫で警備員として働いていたアクセルの古くからの友人が、謎のドイツ債券に関わったために殺される。アクセルは犯人を捕まえるためにロスの高級住宅地ビバリーヒルズに乗り込む。
トレーナーにパーカー、そしてジーンズにスニーカーという薄汚れた姿は、洒落たビバリーヒルズでは浮きまくった存在だ。しかし得意のしゃべくりで相手を煙に巻いて少しずつ真相に近づいていく。
この設定を日本でやるならば、大阪は浪速警察署の刑事が、幼馴染みを殺した犯人を追って東京は田園調布か白銀台に現れるといったところだろうか。で、その刑事は元は吉本で芸人をやっていたのだが家庭の事情で公務員試験を受けて警官になったという設定。んー、なんかすでにありそうだな。
アクセルはお堅いビバリーヒルズ警察のお坊ちゃま刑事ローズウッド(ジャッジ・ラインホールド)と多少はタフなオールドファション刑事タガート(ジョン・アシュトン)に要注意人物として尾行される。彼らをマフラーにバナナで出し抜くなどするが、酒場強盗を取り押さえるなどして次第に親しくなり、彼らはアクセルが見た目通りではなく腕利きの刑事であることを理解して心を許していく。それは彼らの上司である警部補も同じだった。
ここで生まれた友情は、2作目の『ビバリーヒルズ・コップ2』(1987)で重要な意味を持つので、2を観る前には必ず1を観ておくこと。
例によってやかましいエディ・マーフィーだが、この作品では刑事物の雰囲気を壊すほどではない。あくまでもコメディ映画ではなくちゃんと刑事映画になっている。このバランスが素晴らしい。抑えめの演出が得意なマーチン・ブレストの手腕が大きいのだろう。わたしが好きな監督で『ジーリ』(2003)を除けば傑作揃い。とはいえ、どうやって食ってんだと思うぐらいの寡作監督だが。
ラストの豪邸における銃撃戦も派手ではないがリアル。アクセルが13連発のオートマチックであるブローニング・ハイパワーを使っていて、タガートやローズウッドなどビバリーヒルズ警察の警官たちは銃身の短いリボルバーというのも、デトロイトとビバリーヒルズにおける拳銃の重要性と考え方を現しているし、加えて1984年という時代も見て取れる。正確なデータを読んだことがあるわけではないが、現在では警官の多くはオートマチックを使っているはずだ。
今になって見直すと豪邸の造りやアクセルたちが塀を越えて乗り込んでいく様子。そこでの銃撃戦が『男たちの挽歌2』(1987)にどこか似ていた。『ビバリーヒルズ・コップ』の銃撃戦を2837倍ほど派手にすると『男たちの挽歌2』になりそうな気がする。製作年度としては『男たちの挽歌2』の方が後なので、ひょっとしたらジョン・ウーが参考にしたのかも知れない。もちろんソースは何一つない。わたしの単なる憶測だ。