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2005年07月 アーカイブ

2005年07月01日

『メンフィス・ベル』 お前ら、戦争中だってのに呑気だな

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『メンフィス・ベル』(1990) MEMPHIS BELLE 107分 アメリカ 1991/03/07鑑賞

監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ 製作:デヴィッド・パットナム、キャサリン・ワイラー 脚本:モンテ・メリック 撮影:デヴィッド・ワトキン 音楽:ジョージ・フェントン
出演:マシュー・モディーン、エリック・ストルツ、ビリー・ゼイン、テイト・ドノヴァン、D・B・スウィーニー、ハリー・コニック・Jr、ショーン・アスティン、リード・ダイアモンド、コートニー・ゲインズ、ニール・ジュントーリ、デヴィッド・ストラザーン、ジョン・リスゴー、ジェーン・ホロックス

 今日の映画は爆撃機物。といってもジャンル付けでは
1.青春物
2.爆撃機物
3.戦争中だってのに慰問パーティーで酒飲んで呑気に女と踊ってんじゃねーよ物
4.なるほど、エリック・ストルツってマイケル・J・フォックスに似てるわ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』主役交代物
といった順番だろうか。

 主人公はアメリカ空軍爆撃機B-17の乗組員。機長がメンフィスで出会った女性から取った“メンフィス・ベル”というそのまんまな名前の機に乗っているのは
機長、副操縦士、航空士、爆撃手、前方砲手、後方砲手、左砲手、右砲手、上部砲手、下部砲手の計10人。
 戦闘機だと一人かせいぜい二人だから、人数が多い分だけドラマ作りはやりやすい。ただ、この作品でそれが機能しているかはまた別物だ。
 前後左右、そして上下にまで銃座がある爆撃機はまるで針山のようでさぞかし防御力が強そうだが、図体が大きくて小回りが利かない上に、往路は大量の爆弾を搭載しているので重量がありさらに動きが鈍くなる。敵の戦闘機に狙われたら一溜まりもないわけで、そのための重武装なのだ。
 さらに味方戦闘機が護衛として付くのが普通だが、戦闘機は一般的に爆撃機よりも航続距離が短いため目的地までの距離によっては戦闘機は途中で引き返してしまう。そうなると自らの武装だけが頼りになる。
 銃座の担当としては機体下部の旋回銃座が一番嫌そうだ。狭くて身動きが取れないし攻撃にあったら真っ先に吹き飛びそうだ。実際、この作品でも旋回銃座は破壊されて砲手は剥き出しになったままぶら下がってしがみつく羽目になるし、『アメージング・ストーリーズ』でスピルバーグが演出したエピソードでも、爆撃機の車輪が下りなくなって胴体着陸するしかないのだが、下部の旋回銃座のハッチが壊れて砲手が閉じこめられたため、このままでは着陸時に潰されて死んでしまうというのがあった。様々なアイディアが試されては失敗し、ついに燃料も乏しくなり滑走路へと着陸態勢に入るのだが・・・あのオチにはひっくり返ったなぁ。

 主人公たちが空軍基地の原っぱで防具なしのアメフトで遊んでいて、そこに機長マシュー・モディーンのモノローグで一人一人の簡単な生い立ちや性格などが紹介されるオープニングはそこからして青春映画のニオイがする。
 ドイツ側軍事工場への爆撃任務の前夜には慰問パーティーが開かれるのだが、楽隊は陽気な音楽を演奏し、着飾った女性たちとダンスをして楽しむ。もちろんお酒もあり。アメリカ映画の戦争物には時折登場するシーンだが、日本軍人が語る戦争体験談などと比べるとまるで違う世界だ。しかも、メンフィス・ベルの主人公たちは次の任務で任期満了となるので兵役が終わって国に帰国することが出来る。第二次世界大戦中に任期満了があるなんてなんというか余裕だ。日本軍は一度招集されると、戦争が終わるか、負傷して大怪我をするか、戦死するかしないと戦線を離れられなかったはず。これだけ人員・物資の物量に差があってはやっぱ負けるよなぁと思わないでもない。

 メンフィス・ベルが飛び立つのは物語も半ば近くになってから。「青春ドラマはいいからとっとと飛べ」と念じ続けてようやく叶った。だが、飛び立った後も色々な事件が起こるのだがどれも物語に盛り上がりを見せない。これは客観的に主人公たちを突き放して戦争という状況を描こうとした演出なのか、それとも単に下手なのか。監督のマイケル・ケイトン=ジョーンズは後に『ジャッカル』(1997)や『容疑者』(2002)を撮っている人物なので後者の予感が高い。
 だが、B-17の内部やヘッドセットによる通話システム、酸素マスクやパラシュート、防御服などの装備の描写がきっちりされていて、資料的価値は高い。当時の爆撃機は機体の大きさに差はあっても(B-17は22.6mで爆弾搭載量は4.9t、東京大空襲で有名なB-29は全長30.18mで爆弾搭載量は9t。大きさもかなり違うが、爆弾搭載量に至ってはB-29は倍近くになる。)中の様子や装備はさほど違わないだろう。第二次世界大戦を部隊にした小説に爆撃機の描写があった場合、頭の中で絵として思い浮かべやすい。
 皆が着ているのが革のジャンパーの内側に白いボアを貼ったもの。街中でもバイク乗りや普通の人でも着ている革ジャンでボマージャケットと呼ばれる物。ボマーとは当然Bomber=爆撃手なので、本当は爆撃機の乗組員しか着ちゃいけないのだ。まあ、それをいったらMA-1とかも着れないし、トレンチコートだってtrench=塹壕、つまり元は戦争中の塹壕用に開発されたコートなのでビジネスマンが着て歩くようなものじゃない。えっ、ビジネスマンにとって会社は戦場だですって?うむむ。

 ストーリーの結末まで語ってしまうことになるが、
 主人公たち10人のうち一人は被弾して重傷を負い、機体も右側の車輪が電気系統の故障で下りてこず、このままでは胴体着陸しかないのかという危機に陥る。そして、観客の頭にはオープニングの帰還して着陸したもののそのまま爆発して乗員が全滅した他機のことがよぎる。しかし、メンフィス・ベルは無事着陸し、全員とも生きたまま大地を踏むことが出来た。
 これに関しては「ありがちなハッピーエンドだ」というよりも、むしろ「戦争では死んだ奴と生き残った奴の二種類しかいない」と感じた。同じく主要な登場人物が誰一人死なずに第二次大戦の終了を迎えるサミュエル・フラーの『最前線物語』ほどのインパクトはもちろんないが、存外と主人公たちに対して冷静な視点で描かれているとは思う。でもまあ、出来としてはつまらないわけだが。

2005年07月03日

『空軍大戦略』 空の上の戦争

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『空軍大戦略』(1969) BATTLE OF BRITAIN 133分 イギリス 2005/07/03DVDにて再鑑賞

監督:ガイ・ハミルトン 製作:ハリー・サルツマン、ベンジャミン・フィッツ 脚本:ジェームズ・ケナウェイ、ウィルフレッド・グレートレックス 撮影:フレディ・ヤング 音楽:ロン・グッドウィン
出演:ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン、ロバート・ショウ、エドワード・フォックス、クリストファー・プラマー、クルト・ユルゲンス、マイケル・レッドグレーヴ

 軍用航空機物もそろそろ飽きてきた。今日紹介する作品でひとまず最後としよう。最初は『ホット・ショット』(1991)にするつもりだったのだが、「ふざけるな」と怒りの書き込みやメールが来ても面倒だ。怒らなくってもいいじゃないかと思うんだが、怒る人は本当に怒るからな。
 そこで軍用航空機物の頂点の一つである『空軍大戦略』(1969)で締めくくることにする。この映画に文句を付けてくる軍用機ファンはさすがにいないだろう。

 ヒットラー支配下のドイツから和平使者がイギリスへと派遣される。しかし交渉は決裂し、イギリスとドイツは本格的な戦いへと突入する。後に「バトル・オブ・ブリテン(英国の戦い)」を呼ばれるこの16週間に渡る戦いは、イギリス側ドイツ側双方に大きな痛手を受けながらもかろうじてイギリス側が勝利し、ドイツ軍のイギリス上陸を阻止するのだった。

 ストーリー的にはさほど見るところはない。二人とも軍人である夫婦の愛憎を始め、この戦闘に関わった者たちのさまざまなドラマは登場するが、見入ってしまうほどではない。一癖も二癖もあるベテランパイロットたちは面白みがあるが、指揮官にしろ兵卒にしろもう一つ個性が無くて区別が付けにくい。しかしかなりの豪華キャストである。一般的に受ける“豪華”ではないだろうが。
 飛行機による飛行シーン、そして空中戦は見事の一言。この作品以降、ここまで大規模な飛行機による空中戦が登場する作品はないが、それは『空軍大戦略』でやることはあらかたやり尽くされてしまったからではないだろうか。
 航空機映画の代わりに空中戦が頻繁に登場するようになったのがSF映画だ。『スター・ウォーズ』(1977)のラスト近くではデススター攻略を巡って、反乱軍と帝国軍の戦闘宇宙艇によるドッグファイトが繰り広げられる。これを始めて劇場で観たときには手に汗を握ったものだが、例えば帝国軍のタイファイターが編隊を組んで画面の外から襲いかかってくるシーンは、『空軍大戦略』でドイツ軍戦闘機の編隊が襲いかかってくるシーンとタイミング、構図、カット割りなどほぼ同じ。他にも機が被弾するとコクピットの中にカメラが移って、「うわー」と悲鳴を上げるパイロットの後ろで爆発が起こり炎が広がるなど、「ルーカスの野郎、空軍大戦略を観てやがんな」と思われるシーンがいくつも登場する。
 もちろん、ルーカスが悪いと言っているのではない。『空軍大戦略』がすごすぎるのだ。実機ないしレプリカを大量に登場させ、見た限りだと合成は一部のシーンを除いて無し。飛行機とパイロットを調達するだけでかなりの苦労だったろう。イギリス空軍が全面協力しているのだろうか?
 撮影にかかる手間を考えただけで気が遠くなる。飛行機が旋回するシーンでミスがあっても気軽に「じゃあテイク2」と言うわけにはいかない。相手の飛行機に無線で連絡をつけて、こちらの飛行機もタイミングを合わせて撮影場所に戻る。そして4機5機が登場するシーンは当たり前だから大変なんてものじゃない。ちょっとやり直しをしているうちに時間はどんどん過ぎるし、天気の悪い日は撮影できない。制作側のトップはものすごい重圧だったことだろう。
 戦闘機対戦闘機のドッグファイト、爆撃機に襲いかかる戦闘機など様々な空中戦が描かれる。やはり一番の見所はラスト近くの空戦だろう。ロンドン空襲のため雲霞のごとく大量に飛んできたドイツ軍爆撃機と護衛のメッサーシュミットを、ポーランド軍、チェコスロヴァキア軍、カナダ軍などを含めた混合イギリス空軍が迎え撃つ。編隊飛行が実に美しい。だが美しいのは最初だけで、実際に戦闘が始まると敵も味方も被弾しては墜落したり爆発したりして大空から消え去っていく。混戦の中では正義も悪もなく、単に生き残る兵士と死ぬ兵士がいるだけだ。一人のパイロットが命を捨てての特攻をし、それで形勢が逆転することもない。歴史上明らかにされているようにドイツは負ける。ドイツ人パイロットたちは勇敢に戦うが、無能な指揮官が上層部にゴマをするので精一杯で現実に目を向けなかったのが一番の敗因だ。

 頭の上で繰り広げられている空中戦を見物しながら、のんびりと午後のお茶をすすっているロンドンっ子が一番たくましいのだろう。

2005年07月04日

『エイセス 大空の誓い』 ジェット機よりもレプシロ機の方が強いんだっ!

『エイセス 大空の誓い』(1991) ACES: IRON EAGLE III 99分 アメリカ 1992/02/26鑑賞

監督:ジョン・グレン 製作:ロン・サミュエルズ 脚本:ケヴィン・エルダーズ 撮影:アレック・ミルズ 音楽:ハリー・マンフレディーニ
出演:ルイス・ゴセット・Jr、JJサニー千葉、クリストファー・カザノフ、ホルスト・ブッフホルツ、レイチェル・マクリッシュ、ポール・フリーマン

 軍用航空機物は昨日で一旦終了するつもりだったが、やはりこいつだけはやっておこう。
 第二次大戦の勇士たち=ジジイが、悪党=若いクズどもの操縦するジェット戦闘機にレプシロ戦闘機で戦いを挑むレプシロジジイ勇者映画だっ!燃えるぞっ!
 原題を見れば分かる通り『アイアン・イーグル』シリーズの3作目なのだが共通点はルイス・ゴゼット・Jrが出演しているだけ。役名は同じだがきっと別人だ。

 元アメリカ軍(ルイス・ゴゼット・Jr)、元イギリス軍(クリストファー・ケザノーブ)、そして元日本軍(JJサニー千葉こと千葉真一)と元ドイツ軍のライヒマンは第二次大戦時には連合国側とドイツ・日本側に分かれて戦っていたものの、今では当時の空中戦を再現した航空ショーを共にやっている仲間だ。操る戦闘機はそれぞれロッキードP-38、スピットファイヤ、メッサーシュミットMe109、そして零式戦闘機(零戦)である。零式は他機種をベースに作った復元機だがそれ以外は大戦時に使われた本物。わたしはあまり詳しくないのだが、軍用航空機ファンにはこれだけでうれしいのではないだろうか。
 そんな彼らがペルーのある村で行われているコカイン密造事件に関わることになる。分かりやすいことに密造組織のボスは元ナチスだ。『勝利への脱出』の時にも書いたが、当時のドイツ人・ドイツ軍人が全てナチスだったわけではない。元ドイツ軍人のライヒマン(実にドイツ人らしい名だ)もその一人だ。
 ショーに名を借りて村へと乗り込んでいった四人は調査を続ける内に次第に真相に近づいていく。そしてついに密造組織と全面対決をすることになるが、なんと敵は最新鋭のジェット戦闘機を所持していた。いくらP-38などが名機といっても数十年も前に現役だった機体。果たしてレプシロ機はジェット機に勝てるのか?

 勝てるのか?と言ったって勝たなきゃ映画にならない。
 軍用機好きな知人に問い合わせたところ「まともにやったらノーチューンの軽自動車とランエボでゼロヨンをやるようなモンだな。だが、細かいカーブが続く難コースでドライバーの腕に差があったらなんとか」だそうだ。って車のこともよく分からんのだが。
 普通のドッグファイトではなく工夫を凝らした空中戦で、もうちょっとヒネリがあってもいいかなとも思うが面白い。
 主人公たちは実戦をくぐり抜けた有名なパイロットなのだが、千葉真一だけ実は実戦経験がない。そこでの千葉真一の苦悩する演技はなかなか。英語のセリフ回しもそれほどひどくない。そして日本軍人だけあって最後は特攻。
 ラストの屋外での祝賀パーティで生き延びた三人は、千葉真一のために空に向かって敬礼。そこへコメディリリーフとして登場する黒人青年が、バーベキューの格好で「肉焼けたよ~」とやってきて、三人にボコボコにされてしまう。で、そのままフェードアウトしてエンディングクレジットに。どんな終わり方だ。
 村娘としてヒロイン的存在の女性が登場するが、じつはこの女性こそ映画内最強の人物。村に押し寄せてきた密造組織の悪人どもを銃でバリバリと撃ち殺していく。強い。ちなみにテレビの洋画劇場で放映されたときに、この女性を吹き替えていたのがなぜか演歌歌手の小林幸子。ちょっとオバさんが入っていたが意外に似合っていた。しかし、何故小林幸子?演歌どころか歌を歌うシーンもなかったと記憶しているが。

2005年07月06日

『リーサル・ウェポン』 究極・人間・必殺・・・兵器

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『リーサル・ウェポン』(1987) LETHAL WEAPON 110分 アメリカ 1987/06鑑賞

監督:リチャード・ドナー 製作:リチャード・ドナー、ジョエル・シルヴァー 脚本:シェーン・ブラック 撮影:スティーヴン・ゴールドブラット 音楽:マイケル・ケイメン、エリック・クラプトン
出演:メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ゲイリー・ビューシイ、ミッチェル・ライアン、トム・アトキンス

 しばらくの間、刑事映画を取り上げてみることにした。警察映画ではなく刑事映画、ここんとこ重要だ。
 1本目は大ヒットしてシリーズも4本作られた『リーサル・ウェポン』シリーズの一作目。LETHALは致死的なといった意味だから、LETHAL WEAPONは必殺兵器とでもいったことろだろうが、公開当時マンガの『美味しんぼ』が流行っていたので、予告編では「究極兵器」などと書かれていた。そしてDVDの字幕だと「人間兵器」。もうどれが正しいのやら。ところで『美味しんぼ』ってまだ連載してるんだっけ?究極探しもいい加減にしろっての。
 公開当時に観たときはリッグスことメル・ギブソンに感情移入していたのだが、今回観直してみるとその対象がマータフことダニー・グローヴァーになっていることに驚いた。50歳の誕生日を迎えた黒人刑事で、愛する妻と娘二人息子一人の家族を持ち、刑事という危険な仕事だがそれなりに安定していて、もう少し勤め上げれば恩給資格が手に入る。日々これ平穏という彼の人生に、ある日一人の若造が関わってくることになる。ベトナム戦争で活躍した白人だが交通事故で妻を失い生きる気力を無くしている。住処であるトレーラーハウスに一人ぼっちでいると寂しさに耐えきれずに銃を口に突っ込んで自殺を図ろうとする、そんな精神的に不安定な男である。今になってみると、このリッグスのウダウダした苦悩振りが鼻についてちょっとうっとおしい。
 こんなメンタルヘルス男と相棒として組まなければならないマータフに同情。「ああもう、まいちゃったな」と始終戸惑い顔だが後半はさすがのベテラン振りを見せる。マータフだってベトナム戦争で戦ったのだ。
 そしてマータフやその家族と接したことと、痲薬がらみの事件で、ただ暴れるだけではなく誰かのために戦うことでリッグスは大げさに言えば生きる意義、そして充実感を感じるようになる。リッグスにとってマータフは良き相棒であると同時に良き先輩だ。

 監督のリチャード・ドナーは、あまりきちんと語られることの少ない人だが、どんな題材でもきちんとこなす職人監督的な部分だけではなく、作家性も意外に高い(と言ったら失礼だが)人である。
 この作品のオープニングにしても、ロスの夜景を空撮で撮っていってついには物語の発端である高層マンションの一室を窓からうかがうまでの1カット長回になっている。そして、若い女性がビルから飛び降りるのだが、そこでは落下していく女性の視点からのカットが2つ使われていて、なかなか挑戦的な映像だ。
 2~4までの続編も、ヒットしたから作ってみましたではなく、リッグスが次第に周りに人間に打ち解けていきついには妻と子供、そして友人を手に入れ、再び人生を始めるまでの過程が丁寧に描かれている。そして、もうこれで絶対に終わりだよと言わんばかりの4のエンドクレジットはちょっと泣ける。

 拷問魔としてアル・レオンが出演しているのもうれしい。
 『ダイ・ハード』、『ブラック・レイン』、『ゴースト・ハンターズ』に『エスケープ・フロム・LA』など名だたる作品に出演しているヒゲを生やし額がはげ上がった東洋人だ。
 『ダイハード』でテロリストの一人として出演しチョコバーを盗み食いしていた奴と言えば分かるだろうか。個人的には『ビルとテッドの大冒険』のチンギス・ハン役がベスト。

2005年07月08日

『ビバリーヒルズ・コップ』 しゃべくり刑事、ビバリーヒルズにあらわる

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『ビバリーヒルズ・コップ』(1984) BEVERLY HILLS COP 105分 1985/04鑑賞 2005/07/07DVDにて再鑑賞

監督:マーティン・ブレスト 製作:ドン・シンプソン、ジェリー・ブラッカイマー 脚本:ダニエル・ペトリ・Jr 撮影:ブルース・サーティース 音楽:ハロルド・フォルターメイヤー
出演:エディ・マーフィ、リサ・アイルバッハー、ジャッジ・ラインホルド、ジョン・アシュトン、ロニー・コックス

 それまでの刑事物といえば『ダーティーハリー』シリーズや『フレンチ・コネクション』、『マックQ』などのように主人公はタフなハードボイルドタイプが主流だった。『48時間』(1982)でエディ・マーフィーが組んだ刑事役ニック・ノルティも口数が少ない代わりにすぐ手が出るタフな暴力刑事だった。
 『48時間』で格好いいところはほとんどニック・ノルティに取られてしまったのが悔しかったのか、エディ・マーフィーは自身が主役の刑事物に取りかかる。ただの刑事映画ではつまらないので得意なしゃべくりを大いに盛り込む事にした。それがこの『ビバリーヒルズ・コップ』である。

 自動車産業で有名なデトロイト。そのデトロイト市警で刑事として勤務しているアクセル・フォーリーは腕利きだが型破りな一匹狼だ。これまで映画に登場した多くの刑事たちと違って、アクセル最大の武器はしゃべくりだ。マシンガン・トークでまくしたて、相手に反論する暇を与えず隙を作り情報を聞き出したりする。その上、愛銃“ブローニング・ハイパワー”を一旦引き抜くとガンファイトもかなりな腕前。
 ロサンゼルスの保税倉庫で警備員として働いていたアクセルの古くからの友人が、謎のドイツ債券に関わったために殺される。アクセルは犯人を捕まえるためにロスの高級住宅地ビバリーヒルズに乗り込む。
 トレーナーにパーカー、そしてジーンズにスニーカーという薄汚れた姿は、洒落たビバリーヒルズでは浮きまくった存在だ。しかし得意のしゃべくりで相手を煙に巻いて少しずつ真相に近づいていく。
 この設定を日本でやるならば、大阪は浪速警察署の刑事が、幼馴染みを殺した犯人を追って東京は田園調布か白銀台に現れるといったところだろうか。で、その刑事は元は吉本で芸人をやっていたのだが家庭の事情で公務員試験を受けて警官になったという設定。んー、なんかすでにありそうだな。

 アクセルはお堅いビバリーヒルズ警察のお坊ちゃま刑事ローズウッド(ジャッジ・ラインホールド)と多少はタフなオールドファション刑事タガート(ジョン・アシュトン)に要注意人物として尾行される。彼らをマフラーにバナナで出し抜くなどするが、酒場強盗を取り押さえるなどして次第に親しくなり、彼らはアクセルが見た目通りではなく腕利きの刑事であることを理解して心を許していく。それは彼らの上司である警部補も同じだった。
 ここで生まれた友情は、2作目の『ビバリーヒルズ・コップ2』(1987)で重要な意味を持つので、2を観る前には必ず1を観ておくこと。

 例によってやかましいエディ・マーフィーだが、この作品では刑事物の雰囲気を壊すほどではない。あくまでもコメディ映画ではなくちゃんと刑事映画になっている。このバランスが素晴らしい。抑えめの演出が得意なマーチン・ブレストの手腕が大きいのだろう。わたしが好きな監督で『ジーリ』(2003)を除けば傑作揃い。とはいえ、どうやって食ってんだと思うぐらいの寡作監督だが。

 ラストの豪邸における銃撃戦も派手ではないがリアル。アクセルが13連発のオートマチックであるブローニング・ハイパワーを使っていて、タガートやローズウッドなどビバリーヒルズ警察の警官たちは銃身の短いリボルバーというのも、デトロイトとビバリーヒルズにおける拳銃の重要性と考え方を現しているし、加えて1984年という時代も見て取れる。正確なデータを読んだことがあるわけではないが、現在では警官の多くはオートマチックを使っているはずだ。
 今になって見直すと豪邸の造りやアクセルたちが塀を越えて乗り込んでいく様子。そこでの銃撃戦が『男たちの挽歌2』(1987)にどこか似ていた。『ビバリーヒルズ・コップ』の銃撃戦を2837倍ほど派手にすると『男たちの挽歌2』になりそうな気がする。製作年度としては『男たちの挽歌2』の方が後なので、ひょっとしたらジョン・ウーが参考にしたのかも知れない。もちろんソースは何一つない。わたしの単なる憶測だ。

2005年07月09日

『未来警察』 未来っつーほど未来じゃないが

『未来警察』 (1985) RUNAWAY 101分 アメリカ 1985/07鑑賞

監督:マイケル・クライトン 製作:マイケル・ラックミル 製作総指揮:カート・ヴィラドセン 脚本:マイケル・クライトン 撮影:ジョン・A・アロンゾ 音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:トム・セレック、ジーン・シモンズ、シンシア・ローズ、カースティ・アレイ、G・W・ベイリー

「これって刑事映画じゃなくて警官映画じゃないの?制服着てたし」という意見もあろう。わたしもなんとなくそんな気がするが、これは刑事映画だ。根拠はない。だがわたしが刑事映画だと思う以上、この映画バカ黙示録においてはそれが正義だ。

 時は近未来、すでに会社や一般家庭にもロボットが進出していた。ロボットといっても鉄腕アトムやドラえもんのような人型ではなく(ドラえもんは猫型だが)、小型の冷蔵庫や掃除機に適当に手足を付けたような面白みのないデザインだ。ロボットといえば2足歩行だろと思うが、マイケル・クライトンにとっては実用的であれば見た目はどうでもいいらしい。
 主人公のジャック(トム・セレック)は警察のロボット対策班で働いている。万が一ロボットが暴走したりして問題を起こしたときにロボットを停止させ事態を収拾するのが仕事だ。そこへ女性警官カレンが新しく赴任してきてジャックのパートナーになる。
 時を同じくして、家事ロボットが家人を殺害し赤ん坊を人質にして暴れ回るなどロボットの暴走事故が多発する。ロボットを解体し分析を行うと、謎のチップが見つかる。このチップが暴走原因ではと調査に乗り出すジャックたちだったが・・・

 『ジュラシック・パーク』や『アンドロメダ・・・』などヒット作品で原作を手がけたマイケル・クライトンの監督・脚本作。小説家としての能力はともかく、監督としてはトホホな人なんだが7作ほど撮っている。この『未来警察』はそんなクライトン監督作品の中でも面白い方だと思う。
 主人公のトム・セレックがやはり格好いい。タフガイ系の警官だが、妻を失い一人息子と暮らしていて、その息子を心から愛している良き父親の一面も持つ。銃を構えるとピタリと決まるし、元バスケの名プレイヤーなだけに走る姿も絵になる。
 そして、ある意味ではトム・セレックもロボットも食ってしまってこの映画の実質的主役じゃないかと思わせるのがジーン・シモンズ。専業俳優ではなく、メインの職業はミュージシャン。そう、あの顔面全メイクのロックバンド「KISS」のジーン・シモンズだ。「KISS」での楽器担当は「舌出し」でたまにベースも弾いている。ん?逆か?映画には何作か出ているが、ほとんどが悪役ばかり。メイクを落とした顔がこれでもかという悪人顔だからしょうがないか。というか、素顔の方が怖いんじゃないのか?『未来警察』以外では、賞金稼ぎのルトガー・ハウアーと対決する悪役として『ウォンテッド』に登場している。ラストの死に方は圧巻。

 近未来が舞台だがあまり面白い小道具などは登場しない。先ほど書いたようにロボットはメチャメチャデザインを劣化させたR2-D2みたいなものだし、ジーン・シモンズが送り出す毒を注射して相手を殺すクモ型ロボットはデザインにしろ大きさにしろ誰がどう見ても「メカモ」そのままだ。まあ、あれが何体もカシャカシャと小さな音を立てて迫ってくるのは案外不気味ではある。
 最大の未来道具がジーン・シモンズが使う小型誘導ミサイル発射銃だろう。相手をロックオンして発射すると、どれだけ曲がりくねって逃げようが物陰に隠れようが必ず命中する優れ物。相手を追うシーンではロケットの視点から1カット長回しが登場する。曲がり角をキュキュキューとカーブしたり、パイプの中をくぐり抜けたりと、間抜けではあるし劇場内に笑いが飛んだがこの作品の魅力の一つ。

 ジャックの息子を人質に取ったジーン・シモンズと対決して最後にはジャックが勝ってめでたしめでたしなんだが、結局最後までジーン・シモンズがロボット・暴走チップを作って何をしたかったのかよく分からなかった。それに制御チップをつくるとなると半導体工場が必要だろう。それよりもロボットにコンピュータウイルスを送り込むかOSにトロイでも仕込んだ方がずっと楽だったろうに。特定の高周波で暴走するとかさあ。
 もっとも娯楽映画の悪役なんてそんなものである。

2005年07月10日

『もっともあぶない刑事』 襲い来る苅谷俊介

『もっともあぶない刑事』(1989) 104分 日本 1989/04鑑賞

監督:村川透 プロデューサー:初川則夫、伊地智啓、服部紹男 企画:岡田晋吉、清水欣也、黒澤満 脚本:柏原寛司 撮影:柳島克己 音楽:都志見隆
出演:舘ひろし、柴田恭兵、中条静夫、浅野温子、仲村トオル、柄本明、苅谷俊介

 日本の刑事ドラマというと『太陽にほえろ』とか『特捜最前線』などのように集団で捜査にあたる物が多い。そんな中、珍しく2人組のコンビが主役なのが『あぶない刑事』シリーズだ。えっ?『噂の刑事トミーとマツ』はだって?
 テレビドラマ版の方は1本たりとも見ていないが映画の方は6作全部見ている。
 1作目の『あぶない刑事』はメチャメチャつまらなかった。見ている最中にあまりのつまらなさに激しい頭痛がしてきて、フラフラしながら家に帰って熱を測ったら38度を超えていて、結局数日寝込んだ。怖ろしい破壊力だ。「ただの風邪じゃないかって」?いいや、あれは『あぶない刑事』にやられたのだ。
 2作目の『またまたあぶない刑事』は多少ましになっていた。しょせんTVドラマの延長線上であったが熱が出ないだけずいぶんマシだ。
 そして、3作目の『もっともあぶない刑事』。最初タイトルを見たときには「なんつー名前をつけるんじゃい」とちょっと怒ったが、監督が村川透だと聞いて「じゃあしょうがないか。松田優作の『最も危険な遊戯』の監督だしな」と納得した。全2作が面白くなかったのでこいつも特に期待しないで観に行ったのだが、面白かった。はっきりいって日本刑事映画の傑作だ。

 主人公の二人が常に軽口ばかり叩いていて、上司の命令を平気で無視する型破りな刑事。アメリカの刑事映画では定番だが日本の作品では珍しいタイプだ。彼らを含めた主要登場人物がTVシリーズからの長い付き合いだけあって掛け合いのタイミングもドンピシャリで息が合っている。
 主人公のタカとユージの後輩で「女にモテたい」君な仲村トオルが間抜けで良い。『ビーバップ・ハイスクール』よりもこっちの方が似合うや。

 柄本明の悪党のボスも憎々しくて良いが、苅谷俊介の倒しても倒してもなかなか死なないターミネーターばりの殺し屋も良い。ターミネーターといっても苅谷俊介なのでチンピラの頭ぐらいにしか見えずさして強そうでないのが味だ。免許証の更新で警察に行ったら、安全協会ビデオの交通安全ビデオにレポーター役で苅谷俊介が出てたな。ミスキャストな気もする。
 日本のアクション物だと、カーチェイスをやって派手に壊れる車はなぜか年式のいった中古車という法則がある。タカとユージが証人を連れて警察と悪党の両方から逃げ回る時の車もかなり古いアメ車だ。これは元々乗っていた覆面パトカーだと発見されやすいため、そこら辺にいた若い馬鹿と車を交換したからである。おかげで気にせずに廃車の山に紛れて身を隠したり、派手なカーチェイスが出来る。ちょっとした工夫だが、こういうところに気を遣っている脚本は往々にして出来が良いものだ。
 笑えるシーンの連発に少しハードボイルドが入っている。これが全編ハードボイルドだと大爆笑でとても見ていられなかっただろう。ハードボイルドをやるにも難しい世の中なのだ。
「俺たち運が良いからな」というセリフの繰り返しが格好いい。
 後半の「そんなアホな」な武器の調達方法や敵陣への殴り込み。そして衝撃のラスト・・・つい泣いちまったぞ。

 テレビシリーズや映画の前2作を観ていなくても充分に楽しめる。実際にテレビシリーズを観ていないわたしが保証する。続く5、6作目も観る必要がないが、この『もっともあぶない刑事』だけはよかったら観て欲しい。面白いぞ。

2005年07月11日

『プロテクター』 いかにも香港な風景

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『プロテクター』(1985) THE PROTECTOR 威龍猛探 97分 香港 1985/06鑑賞 2005/07/10レンタルビデオで再鑑賞

監督:ジェームズ・グリッケンハウス 製作:レイモンド・チョウ 脚本:ジェームズ・グリッケンハウス 撮影:マーク・アーウィン 音楽:ケン・ソーン
出演:ジャッキー・チェン、ダニー・アイエロ、ソーン・エリス、ロイ・チャオ、サリー・イップ、ムーン・リー

 ジャッキー・チェンで刑事映画といえば『ポリス・ストーリー』シリーズだと言われそうだ。確かに『ポリス・ストーリー 香港国際警察』(1985)はジャッキー映画の中で三本の指に入る傑作だと思うが、この『プロテクター』も好きなんだ、わたしは。
 大学のシネマ研究会時代にジャッキー映画の話になって、わたしが「『プロテクター』が好きだな」といったら、かなりえーっ?といった顔をされた。実際、ジャッキー・チェンファンの中でもどちらかというと評価の低い、下手をしたらなかったことにされている作品だ。でもね、好きなんだなこれが。

 ジャッキーがアメリカ進出を目指した作品で、監督は『エクスタミネーター』や『ザ・ソルジャー』などのジェームズ・グリッケンハウス。残酷描写が売りなだけの『エクスタミネーター』はともかく、お金をかけず日数をかけずに007っぽいものを作ろうとしてそれなりに成功?している『ザ・ソルジャー』は割と面白い。それにクリストファー・ウォーケン主演の『マクベイン』も劇場公開時に観たっきりだが面白かった。そりゃまあC級監督だが、憎めないところがあると思うんだがなぁ。

 『プロテクター』で一番印象に残っているアクションシーンは、ニューヨークの刑事ビリー(ジャッキー・チェン)とその相棒がバーで一息入れているところにサブマシンガンなどで武装した強盗が押し入ってくる所だ。上映開始からすぐのところにあるこの銃撃戦は迫力がある。ビリーが最初の敵を撃ち倒した後で相手の首筋に指を当ててまだ生きているかどうか脈を確認するところなどリアルだった。そして本格的に始まる銃撃戦は相手をしっかり狙って一発必中といったものではなく、とりあえず相手に向けて連射するといったもの。飛び交う銃弾とガンスモークが渋い。
 とはいえ、ジャッキー映画で一番印象に残っているのが銃撃戦だというのは確かにちょっとマズい気もする。

 冒頭でテキサスからニューヨークにコンピュータを運んできた(ということはテキサス・インスツルメンツの商品か?)トレーラの運転手が、『マッドマックス2』か『北斗の拳』の悪役のような連中に襲われて荷物を奪われてしまう。その運転手を助けたビリーが運転手に一言「ニューヨークへようこそ」
 そして、バーでの銃撃戦で殉職した相棒に替わって新しくパートナーになったダニー・アイエロと、誘拐された富豪の娘を取り返すために香港へと向かうが、さっそく敵に襲われてしまう。そんな二人に香港警察の副署長がこう言う。「香港へようこそ」
 ニューヨークよりも危険な香港で捜査に乗り出す二人の前に麻薬組織の魔の手が伸びてくる。全編を通してほぼシリアスなジャッキーのMA-1姿が格好いい。

 アメリカ公開が前提だったためか、監督がアメリカ人のジェームズ・グリッケンハウスだったせいか、やたらと香港っぽい風景が強調されている。いっそのことタイガーバームガーデンでのマンチェイスシーンを入れてもよかったんじゃないだろうか。いかにも香港という感じではあるがどこか違和感がある。日本を舞台にした外国映画を観たときに感じる違和感と同じようなものだ。違う国、違う文化の人にとってはわたしたちが普段見ている光景も違う物に映るのだろう。違う国どころか、日本国内を旅行していても地元の人にとっては当たり前でもこちらには驚くようなこともあるので、それも当たり前か。

 銃撃戦は上手いグリッケンハウスだが格闘アクションはさほど得意ではないようで、ジョン・サクソンをサル顔にしたような白人の空手チャンピオンとジャッキーの戦いは、空手チャンピオンもかなり身体が動くようなので、ひょっとしたら『スパルタンX』でのジャッキー対ベニー・ユキーデの戦いになったのかも知れないが、残念なことにさほど燃えない。素手で戦っている内はまだいいのだが、手に小さな壷をかぶせたり、エンジン式回転のこぎりが出てくるとちょっと脱力してしまう。
 特に敵が繰り出す回転のこぎりをジャッキーが避けるシーンはわざとらしい。それでも、わたしたちが観ることができるのは後にそれらのアクションシーンをジャッキーが撮り直した香港版で、グリッケンハウス版(アメリカ版)ではさらに避けるタイミングがゆるゆるらしい。ジャッキーが身体をかわしてから1秒ほどしてやっと回転のこぎりがその場を切り刻むんだそうだ。ジャッキー・チェンの『マイ・スタント』か『マイ・ストーリー』で観たんだったか。

 この頃はダニー・アイエロと言ってもなかなか通じなくて、「ほら、『アパッチ砦ブロンクス』に出てた」と言ってさらに状況を混乱させていたが、『レオン』(1994)のおかげで今では多くの人が知っている俳優になった。わたしは『ジャック・ルビー』(1992)なんかダニー・アイエロが主演だというだけで観に行った。
 マドンナの曲『パパ・ドント・プリーチ』のプロモーションビデオに出演しているのを見て驚いたのも今は昔の話。

 そうそう、出番は少ないがムーン・リーが相変わらず可愛い。それからサリー・イップが相変わらずケバい。

2005年07月12日

『フライング・コップ』 これが噂のニセストップモーション

『フライング・コップ』(1982~1984) POLICE SQUAD!

監督:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー(三人合わせて通称ZAZ)、ジョー・ダンテ、ポール・クラスニー
出演:レスリー・ニールセン、アラン・ノース

 『フライング・ハイ』(1980)などのジム・エイブラハムズ達が手がけたTVシリーズで、後に『裸の銃を持つ男』として劇場版刑事映画にもなった。劇場版の方は大して面白いとは思わないが、このTV版は素晴らしい。ぜひともDVDを出して欲しいものだが出ないだろうな。1980年代後半にビデオ化されてレンタルにもなっているので、店によってはまだ置いているところもあるかも知れない。もしも見つけたら「ぜひとも観て。頼むから」だ。
 主人公の刑事フランク・ドレビンが始終むすっとした真面目な顔で実にバカな行動を繰り返す。しかも、周りの人間もバカばかり。バカワールドでバカな事件が繰り広げられるのだ。
 とにかくギャグの量が圧倒的。全面に押し出したメインのギャグだけではなく、後ろで何かやってる細かなギャグが魅力だ。殺人事件の現場に急行したドレビンが警部と話しているとその後ろを死体を白い布で覆った担架が担ぎ出されてくる。この担架が出て行っても出て行っても延々と続く。少なくとも10メートル以上。二人が二階にある事件現場のサラ金に入ってきたところでようやくと担架の端が通り過ぎていく。床には死体の跡が白墨でマークしてあり、その隣にはエジプトピラミッドの中にあるような壁画が白墨で描かれている。とまあ、1分ほどのこのシーンの中にもいくつものギャグがある。
 しょうもないギャグをそれなりのセットとか大道具・小道具を用意してちゃんと映像化しているところが素晴らしい。そこを手抜きされてしまうと笑えなくなってしまうのだ。日本のギャグ・コメディ関連の映画がつまらない理由の一つがそういった点での手抜きが多いことだろう。予算やスケジュールの都合なんだろうが、観客にはそれは関係ないと言えばない。
 スペシャル・ゲスト・スターとしてウィリアム・シャトナーなどが出演しているが、全員ともオープニングの登場人物紹介中に殺されてしまう。出演したゲストスターも洒落が分かっていて良いではないか。
 そしてエンディングのストップモーションはレスリー・ニールセン達が動きを止めているだけのニセストップモーション。第1話ではただ止まっているだけなのだが、話数が進む毎にトンマな要素が加わってエスカレートしていく。
 このギャグだらけのストーリーを考え出したZAZもすごいが、これにOKを出した製作者も偉い。もっとも、ほとんど評判にならなかったらしく6話で打ち切りになってしまったのだが。でも、このクオリティを維持するにはちょうどいいぐらいの話数だったと思う。
 ストップモーションのギャグもそうだが、前と同じ事をやっても客は同じように笑ってくれない。そこでギャグを過激にして笑いを引き出そうとするがそのやり方は次第に苦しくなって最後は破綻してしまう場合が多いのだ。ギャグ映画の宿命だろう。「ギャグ映画は一作きりに限る」という格言が示す通りだ(というか今作ったが)。

2005年07月13日

『ブリット』 激走、ムスタング

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『ブリット』(1968) BULLITT 114分 アメリカ ワーナ作品

監督:ピーター・イエーツ 製作:フィリップ・ダントニ 製作総指揮:ロバート・E・シリア 原作:ロバート・L・パイク 脚本:アラン・R・トラストマン、ハリー・クライナー 撮影:ウィリアム・A・フレイカー 音楽:ラロ・シフリン
出演:スティーヴ・マックィーン、ジャクリーン・ビセット、ロバート・ヴォーン、ドン・ゴードン、サイモン・オークランド、ロバート・デュヴァル

 スティーヴ・マックィーン主演の刑事映画。タイトルのブリットとは主人公の名前「フランク・ブリット」からきたもの。割と勘違いされがちだが「弾丸」のブリット(バレット)はBULLETなので綴りがちょと違う。もっともその意味も含んだタイトルなのだろう。

 まずはオープニングが素晴らしい。クールさでいえばとびっきりの出来だ。3分ちょっとの間、なにやら悪事を働くために建物に侵入してくる男たち。それに白い文字でタイトルなどのクレジットがかぶさってその文字を使って画面が切り替わっていく。一言も発せられないままラロ・シフリンの音楽が流れる。これは本当に最高だ。
 そして中盤のサンフランシスコの坂道を利用してのカーチェイス。横道との交差点を走り抜けるときのジャンプの連続は有名だろう。それ以降、サンフランシスコを舞台にしたアクション映画では必ずといっていいぐらい引用されている。だが、製作から37年が経過しているために、そのカーチェイスのシーンも現在の観客からはちょっと地味に感じられてしまう部分はあるだろう。アクションシーンの派手さと過激さは特に競争の激しい分野なのでしょうがないことだろう。
 ちなみに、このカーチェイスのシーンで濃緑のフォルックスワーゲンビートルを追い抜くのだが、追い抜いても追い抜いてもまた前方に現れ、結局は4回も追い越している。「同型の車じゃないの」という意見もあろうが、個人的にはビートルに乗っているのが気の短い走り屋で、マックィーンたちに追い越されるとむかっときて、「お前ら、なにあいさつもなしに抜かてんだよ。わしを誰だと思ってんだ」とアクセルを踏み込んで華麗なドライビングテクニックで追い越すと、「あーいかんいかん。今日はのんびり走るつもりだった」と速度を落とす。で、また追い抜かれるのでカッときてアクセルを踏む。画面に映っていない部分でそれが繰り返されたのではないだろうか。
 えっ?カーチェイスのシーンで撮影用に用意した走行車両が足りなくて何度も登場したんじゃないかって?あんた、夢のないこと言うなぁ。

 フランク(マックィーン)は独立先行型で腕利きなハードボイルド刑事。とはいっても同僚たちから浮いているわけでもないし、上司からの信用も厚いようだ。
 上院議員(ロバート・ヴォーン)から指名されて犯罪組織に関する証人を公聴会まで保護することになるが、秘密だったはずのホテルの部屋が何物かに襲撃されて、証人は殺害され担当の刑事は重傷を負ってしまう。悪党を捕らえるためにフランクは医者に頼んで証人は死亡しておらず重症のまま他所に移されたことにしてもらう。そして再び証人を狙ってくる悪党に挑む。

 ピーター・イエーツの演出は抑制が効いていて息詰まる物があるが、最近のアクション映画に慣れた人には退屈かも知れない。これもカーチェイスと同じくしかたないことだろう。
 上院議員役はロバート・ヴォーン。やはりこの人は政治家役が似合う。他には出演シーンは少ないが、タクシーの運転手としてロバート・デュバルが登場する。そこら辺で印象の強い役者を使っておいて、二人組の殺し屋が単なる白髪と黒縁眼鏡のオッサン二人組というのも面白い。
 フランクには恋人がいて、彼女が捜査に入れ込んで危険もいとわないフランクのことを自分とは違う種類の人間ではないかと悩みを打ち明けるシーンと、ラストでの取りあえずの決着の付け方がなかなか良い。
 ただ、フランクがはみだし者の一匹狼なのか、仲間と協力して犯罪に立ち向かう従来型の刑事なのか、人物設定がシーン毎に異なっていてはっきり固まっていない印象がある。その点を参考として同じくサンフランシスコが舞台な『ダーティーハリー』のハリー・キャラハンというキャラクターは、より強烈な人物として設定されたのではないかと個人的に考えている。製作も同じワーナーだし。それに音楽も同じラロ・シフリンだし。・・・ラロ・シフリンは関係ないか。

2005年07月14日

『パリ警視J』 吼えろ、ベレッタM93R

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『パリ警視J』(1984) LE MARGINAL 102分 フランス 1985/05鑑賞

監督:ジャック・ドレー 製作:アラン・ベルモンド 脚本:ジャック・ドレー、ジャン・エルマン 撮影:ザヴィエ・ショワルツェンベルガー 音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、ヘンリー・シルヴァ、ピエール・ヴェルニエ、チェッキー・カリョ、ジャン・エルマン

 ジャン=ポール・ベルモンド主演のフランス製刑事映画。ストーリー自体は重苦しいのにアクションはジャン=ポール・ベルモンドの『リオの男』などの『男』シリーズのような派手なアクションで、『ダーティーハリー』のキャラクターとストーリーで『リーサル・ウェポン』のアクションをやっているといえば分かりやすいだろうか。
 だがそんなアンバランスさもジャン=ポール・ベルモンドの格好良さで全てOK。しかも悪役がヘンリー・シルヴァときてる。相変わらずの凶悪な目つきがギラついている。
 マシンピストル・ベレッタM93Rの三点バースト(三発自動連射)があるというので期待していた。ラスト近くでジャン=ポール・ベルモンドがM93Rを構える。引き金を引く。バッッ!と発射音と閃光が走る。・・・えっ?もう終わり?
 今にして思えばフルオートの三連射は一瞬だと分かるのだが、高校生だったわたしにはちょっと期待はずれだった。もっとも、M93Rは引き金を一度引いただけで3連射される機能を持つ特殊な拳銃で、一般向けには発売されておらず政府組織などの公務でしか使われていないため映画にはほとんど登場しない。それゆえ貴重なシーンではある。
 『レオン』のオープニングでもギャングの子分が持っているが、一発も撃たない内にレオンに殺されている。ひょっとすると日本のモデルガン会社が出しているエアガンじゃないだろうかとにらんでいるのだがどうだろうか。
 有名なところでは『ロボコップ』が持っている大型拳銃のオート9だろう。M93Rをベースにした架空の未来拳銃で、こちらはこれでもかとばかりのバースト射撃を見せてくれる。

2005年07月17日

『宇宙戦争』(2005) うちの子が助かるためならお前らが死のうが知ったことか

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『宇宙戦争』 (2005) WAR OF THE WORLDS 114分 アメリカ 2005/07/17

監督:スティーヴン・スピルバーグ 製作:キャスリーン・ケネディ、コリン・ウィルソン 製作総指揮:ポーラ・ワグナー 原作:H・G・ウェルズ 脚本:デヴィッド・コープ、ジョシュ・フリードマン 撮影:ヤヌス・カミンスキー 編集:マイケル・カーン 音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ティム・ロビンス、ジャスティン・チャットウィン、ミランダ・オットー、ダニエル・フランゼーゼ、ジーン・バリー

 いかん。スピルバーグが何をやりたいのか全然わからない。何なんだこの『宇宙戦争』という映画は。
 ストーリーは知っている。小学校時代に児童向け図書で、中学時代には文庫本で読んだ。横田順弥が書いた「その時、日本の押川春浪たちはどうしたか」を描いた『火星人類の逆襲』だって読んでいる。要約すれば「火星人がやってきて、暴れて、勝手に死ぬ」。要約しすぎだが、2005年版『宇宙戦争』もそのまんま。だが、問題なのは宇宙人側のストーリーではない。
 トム君ことトム・クルーズは港で働く荷下ろしのクレーン作業員だ。家に帰ると離婚した元妻とその新しい夫が、トム君たちの子供である兄と妹を預けに来ている。ああ・・・なんか先が読めてしまったよ。ずずずーっと先まで読めてしまったよ。でも、仮にもスピルバーグだ。そのまんまはやらないだろうと思ったらずずずーっとそのまんま。
 大人になりきれないまま父親になってしまった平凡な男。その日常である世界が唐突に異星人に襲われ、逃げ戸惑っているうちに子供たち、特に娘との絆を取り戻す。そんだけ。重要なのは親子愛だけで隣人や逃げるうちに関わった人など無視無視。お前らが死のうがうちの子さえ助かりゃ良いんだよってのがテーマか。だから何なんだよそれは。
 そりゃまあ、平凡な男トム君が突然人類を守るために立ち上がり、先頭を切って戦ってついには宇宙人の母船を吹き飛ばしたってのも困るっちゃあ困るんだが。
 心が離れてしまった息子の心を開こうとキャッチボールに誘うってのはアメリカ映画の定番だが、映画において死んでるシーンだ。わたしたちはとうの昔に『ナチュラル』(1984)のラストを見ちゃってるしな。
 宇宙人が操る三本足のマシーン・トライポッドに立ち向かっていく軍隊と道ですれ違うが、軍隊はそのまま行ったっきりどうなったかよく分からない。カメラはあくまでもトム君の視点。徹底していると言えば徹底しているが、世界の一大事を背景に延々と親子ドラマを続けられてもなぁ。逆を言えば、世界の一大事がなければこの親子は理解し得なかったということか?そりゃまずいだろ。
 イカれた男役のティム・ロビンスも何をしに出てきたのかいまいち不明。この地下室のシーンで内部を捜索するトライポッドのカメラは、『マイノリティ・リポート』(2002)に同じようなのがなかったか?
 嵐の後に地上から現れたトライポッドが街を破壊し、奇妙な光線で人間を粉に変えてしまうシーンはさすがの迫力ではある。あの光線は実は冷凍光線ではないかと睨んでいる。一瞬で凍らせてフリーズドライにしているのだ。だから、粉々にならないように気をつけて、水に漬ければほら復活ーっ、はしないか。
 CNNの現地レポート風な手持ちカメラで映像がブレまくって少々落ち着かない。しかし、ブレまくっているのに手前の人間と背景の建物・トライポッドがきちんとズレずに合成されているのはさすがだ。
 スピルバーグにしては細かいところに気が行き届いていない雑な仕上がりに思える。トム君があれこれ製作に口を出したんじゃないかなと考えてしまうのはわたしだけか。

2005年07月18日

『さくらの境』 女子高生三人の平穏(すぎる)な日常

『さくらの境』
 竹本泉氏の新刊。『トランジスタにヴィーナス』が終了したので、てっきりコミックフラッパーは廃刊になったと思ったらまだあったんだ。でも、書店で見かけたことないよ~。まあ、コミック雑誌のコーナーはほとんど素通りなんだけどさ。
 両親がブラジルに転勤してしまい、翻訳家をやっている叔母の家に居候になるが、こんどはその叔母が「現地に行かないとこれか書けん」とこれまたヨーロッパに。
 大きな家に10匹の猫と暮らすハメになったさくらを一人にしてはおけないと、近所の一子、二子の上桜姉妹が同居することになる。
 さてこれから果たして、どうなることやら・・・っていうとあまりどうにもならない。
女の子三人と猫10匹の日常が良い意味でだらだらと描き語られる。しっかり者な二子の甘えのツボを押してしまったばかりにさくらは二子にベタベタ甘えられることになるが、それで別に禁断の世界に行くわけでもなく、ひたすらのったらのったら。
 読み終わるとのほほんのほほんとしている自分に気付くはずです。

2005年07月19日

『てけてけマイハート』第4巻 ちょっと変わった平凡な毎日

『てけてけマイハート』第4巻

 これまた竹本泉氏の新刊。3巻のラストでいきなり“のぞみ”と“吉田くん”が結婚したので「ああ、打ち切りか何かで最終回なんだろうなぁ。4コマ漫画誌の『まんがライフ』で連載しているのに全然4コマじゃないもんなぁ。それにしても『まんがなんたら』って何誌もあってどの雑誌なのかわからないので単行本待ちなんだが、それも終わりか」と思っていたらまだ連載中ということで続刊が出ました。
 大人ななのに中学生にしか見えないのぞみがついに主婦生活です。でも、竹本氏の絵だとあまり大人も青少年も差がないような・・・お年寄りはさすがに分かりますが。
 結婚したはずなのにほとんど変わりない生活。いいのかなぁ。まぁいいか。
 これという大きな事件もないけどちょっと変わった日常が魅力です。

 竹本泉氏の著作を読み始めたのは、高校時代に友人Hに「なんか面白い本があったら貸して」と頼んだところ『あおいちゃんパニック』全三巻を渡されたのがきっかけ。
 なんで男子高校生が『なかよし』コミックスを読まねばならんのだ。Hは何を考え取るんだとブツブツ言いながら読み始めて、翌日には自分用のを買ってました。あとはコミックスを買って、ゲームを買って、CDも買って。ある意味貢ぎ生活。出会いはどこにあるか分からないということでしょうか。

2005年07月20日

『セーラー服をあなたに…』 目が小さいのが残念

『セーラー服をあなたに…』

 竹本泉氏が原画を担当したカードゲームです。その筋では有名な実在する女子高生の制服を揃えたとのことですが、わたしは特に制服に思い入れがあるわけでもなし、これを一緒に遊んでくれそうな知人も・・・心当たりがないわけでもないですがわたし自身がちょっと抵抗あるし。
 竹本氏の描いたイラストカードだと考えれば良いんでしょうが、カードに書かれた絵は目が小さめでどちらかというと竹本色が薄くて心が動かないんですよ。イメージとしてはシリアス系を描いているときの吾妻ひでおっぽい絵です。
 結局、キャビネットの中で眠ってます。ちょっと残念な買い物でした。でも、ファンならば買わねば。

2005年07月21日

『よみきりもの』第8巻 巻数記録更新作品

『よみきりもの』第8巻

 初版が05年3月9日だからちょっと新刊と呼ぶには時季外れだが、まあ新刊ってことでいいでしょ。我ながらいい加減だな、おい。
 竹本泉氏はどうやらかなりあきっぽい人らしく、一つ連載を長く続けるのが苦手なようだ。
 主人公の少女が落雷のショックで時空転移体質になってしまい毎回異なる異世界をテンテンとする『さよりなパラレル』(全4巻)や、主人公の少女が様々な衣装を着るとその人物になりきってしまい毎回性格が変わる『しましま曜日』(全2巻)、主人公が3人いて毎回ヘンテコな依頼を受けてはあちこちに単独あるいは複数で出かけていく『てきぱきワーキンラブ』(全6巻)、そしてグラマーな女スパイが宇宙を股にかけて活躍(?)する『トランジスタにヴィーナス』で全7巻。1話毎にかなり変化のある連載でも7巻がこれまでの記録だった。そしてそれをついに破ったのがこの『よみきりもの』だ。
 でもタイトルで読み切りと言い切っているように、毎回主人公も舞台も変わる短編集だから、これを記録更新と言って良いのやらいかんのやら。作者自身も冒頭のカラーおまけマンガで登場人物から「全部よみきりなのにひとつのシリーズだって言い張るのインチキくさくない?」って言わせているし。でもまあいいでしょう、わたしが許す。どこの誰ともわからん男が許したからってどうなるわけでもないですが。
 読み切りなので当然ですが毎回設定は変わります。かなーりヘンテコなのからちょっとヘンテコなのまで。ヘンテコですが呑気な日常生活。読んでハマるとやめられません。
 嫌味のないオーソドックスな絵ですし、のんびりとしたストーリーも魅力です。わたしとしてはお勧め。うじゃ。

2005年07月24日

ジャン=クロード・ヴァン・ダムのDVD新作『レクイエム』はかなり良いぞ

 引っ越してきた先のDVD・ビデオレンタル料金の相場はちと高め。そこで水曜・日曜日の「5本で1,050円」料金を利用している。
 その5本を決めるのが楽しみでもあり少々面倒でもあるのだが、今回はスティーヴン・セガール、ウェズリー・スナイプス、そしてジャン=クロード・ヴァン・ダムの新作アクション映画ですんなりと3本は決まった。
 新作だと二泊三日なので残りの2本は一週間レンタルの旧作を選び、とりあえずジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の『レクイエム』(2004)を「どうせまた例によってなヴァンダム映画なのだろう。それはそれで好きだが」と観始めた。

 すると、冒頭のシーンからして良い。おやっと思っていたらその良さが持続する。ヴァンダム映画だから中盤頃には失速するだろうと思っていたら、その中盤で映画冒頭のシーンの意味が分かる。作品とわたしのテンションはさらに上昇。
 そしてラストの敵陣への乗り込みと親玉との対決!

 よっしゃぁぁぁぁ!

 主人公の復讐を徹底して描いた点、髪を短く刈り込んだヴァンダムの渋さ、そしてファミリーの仲間たち。悪人側というかヴァンダムも悪党なので敵側とするが、敵側の香港マフィアの怖ろしさ。
 監督のフィリップ・マルチネスは始めて目にする名前だが、上手いなこの人は。
 もちろん、予算をふんだんに使った大作ではないし、豪華キャストが登場しているわけではないが、それらの要素が映画の面白さの決め手ではないことを認識させてくれる作品だ。
 今回はとりあえずお勧めの文章だけ。詳しい感想はまた後日にきちんとまとめる予定。

 観て、いやほんと。

2005年07月26日

『新ゲノム』第1巻 帰ってきたエルフとエロロボット。ついでに所長。

 4巻が出たきりそのままになっていた古賀亮一のコミック『ゲノム』新刊がようやくと発売になりました。
 タイトルは『新ゲノム』第1巻となっていますが、第1話の一コマ目で「先月号からえらい急展開でステキですね」というセリフがあるので連載が変更になったとかではなく、何かの都合で『新』がついたのでしょう。
 5巻がなかなか出ないので、最終回になってたのかなと思ってました。ほら、連載誌は18歳未満禁止の成年コミック誌ですから、わたしの場合はまだ買っちゃいけないんですよね。まぁ、いつもの嘘ですが。
 内容の方もそのままで、エルエルやパクマンが繰り広げるギャグと昆虫などの生物の知識の両方が楽しめる学習コミックになっています。『えびボクサー』(2002)という映画で巨大なシャコがボクシングで人間と対決していましたが、シャコは本当に前足のパンチが強烈なんですね。勉強になります。