
『バットマン ビギンズ』 (2005) BATMAN BEGINS 140分 アメリカ 2005/06/26鑑賞
監督:クリストファー・ノーラン 製作:ラリー・J・フランコ、チャールズ・ローヴェン、エマ・トーマス 製作総指揮:ベンジャミン・メルニカー、マイケル・E・ウスラン キャラクター創造:ボブ・ケイン 脚本:クリストファー・ノーラン、デヴィッド・S・ゴイヤー 撮影:ウォーリー・フィスター 衣装デザイン:リンディ・ヘミング 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード、ハンス・ジマー
出演:クリスチャン・ベイル、リーアム・ニーソン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン、ルトガー・ハウアー、渡辺謙
タイトルの通り、バットマンが誕生し最初の事件を解決するまでを映画いた作品。
1989年のティム・バートン版『バットマン』でもそもそものきっかけは両親を強盗に射殺されたことだったというのは描かれていたが、その惨劇を目の当たりにしたブルース・ウェインがいかにして武術を身につけ、バットマンスーツやバットモービルなどの装備を手に入れていったかという過程が描かれているのがこの『バットマン ビギンズ』の見所の一つだ。
少年時代から修行中の青年期を経て実業家兼バットマンになる時の流れを、そのままの順番ではなくパズル状に時間軸を入れ替えて構成した脚本は、なるほど『フォロウィング』(1998)や『メメント』(2000)の監督であるクリストファー・ノーランだけのことはあるが、「あんたはそれしか芸がないのか」とちょっとばかりツッコみたくもなる。
多少デザインが変更されたバットスーツなどは格好いい。だが、四輪駆動のオフロード車風になりビルの屋上を飛び越えながら爆走するビギンズ版のバットモービルは確かに機能的には優れているだろうが、あのマイケル・ジャクソンが100万ドル払うから譲ってくれと頼んできたというティム・バートン版のバットモービルの方が明らかにクールでイカしている。
バットマンはスパイダーマンやX-MENの連中のような超人的肉体能力は持っておらず、両親を殺された心の傷を成長しても引きずっていて、心に開いた空虚さを埋めるためにコスチュームを着て夜の街で悪投退治をしている、屈折したヒーローだ。クリスチャン・ベイルは神経質そうでその役柄に似合っている。
執事であるアルフレッドはマイケル・ケイン。ちょっと皮肉屋なところがマイケル・ケインらしさが出ていて良い。世間では(ごく狭い世間だと思うが)メイドがやたらにもてはやされているが、わたしはメイドよりも執事の方が強いと確信している。まったく、なんでメイド喫茶はあるのに執事喫茶はないのであろうか。まぁ、仮にあったとしてもわたしは絶対に行かないが。
モーガン・フリーマンはウェイン・コーポレーションの開発部門で防弾着や形状記憶布など様々な発明品を作ってきた人物。007シリーズにおけるQみたいなものか。だが、どれも商品として日の目を見ていないそうだ。開発費はそれなりにかかっていそうで赤字部門だったのではないだろうか。それでもモーガン・フリーマンは好き勝手にあれこれと開発を続けていたようで、この会社の運営がどうなっているかちょっと疑問である。最後まで観るとやはり問題があった会社なんだなというとこで納得した。素材系が専門家と思ったら、薬物に対する中和剤まで簡単に作ってしまう才能豊かな人物だ。
他には今回最大の敵であるリーアム・ニーソン、そしてゲイリー・オールドマンの善玉警官やルトガー・ハウアーの悪徳社長など、なかなか嬉しいキャスティングとなっている。特にルトガー・ハウアーは久しぶりだよなぁ。元気そうでなにより。
だが、渡辺謙は何をしに出てきたんだか分からん。渡辺謙が悪いのではなく、脚本に問題があり。ひょっとしたら撮影はした物の編集段階で上映時間などの理由で大幅カットされたのだろうか。
ラストには列車が脱線して駐車場の車を大量になぎ倒す。時節柄、このシーンに対してクレームはなかったのだろうか。「被害者感情を考えればカットすべきだ」とか文句を付けてきた人が一人ぐらいはいそうだが。っていうか本当にいそうでなんかヤダなぁ。しょうがないじゃんか映画なんだから。あれかな、もう『カサンドラ・クロス』は永遠に放映禁止なんだろうか。
照明が抑えめで黒っぽいコスチュームの連中が暴れるアクションシーンは、寄り気味でしかも短めのカットばかりだから何をやってるのかちょっと分かりにくい。アクションを見せることについてはあまりクリストファー・ノーランは得意ではなさそうだ。この点は残念。おそらくヒット具合から言って次回作は作られそうな予感なので、その点は直して欲しい。香港のユエン一族が殺陣を付けたタイプのアクションもちょっと食傷気味なんでそろそろ新しいアクションを期待しつつ今回はここまで。