
『チャンピオン鷹』(1981) 波牛 THE CHAMPIONS 94分 香港 1985/02鑑賞
監督:ユン・シャンチャン 製作:ユエン・ウーピン 脚本:ユン・シャンチャン
出演:ユン・ピョウ、チャン・ユッキョン、ディック・ウェイ、ムーン・リー
日本代表がワールドカップ出場を決めたという話をちょっと耳にはさんだ記念第二弾!サッカー映画特集
というわけで今日は『チャンピオン鷹』(1981)を紹介する。だが、真面目すぎるサッカーファンには怒られるかも知れない。以前、「何か面白い映画はないか」と聞かれたので『少林サッカー』を勧めたところ、どうやらその相手が年に何度も試合を見に行くぐらいのサッカーファンで、「サッカーを馬鹿にしてるのか」と怒られました。
「美しいサッカーとはパスを繋げていくのが基本で、やたらと派手はシュートを出せばいいってもんじゃない」そうで。
でも少林隊だって、ちゃんと眼鏡やデブがパスを繋いで鉄頭がヘディングを決めるシーンがちゃんとある。そもそも本気で怒ることはないわな。
昨日も言ったが、香港はイギリス領のためかサッカーが盛んだ。土地が狭いので子供たちが空き地などで遊べるのが野球ではなくサッカーだというのもあるだろう。日本でJリーグが発足するよりもずっと前からプロサッカーが存在している。
最近では『インファナル・アフェア』三部作で強面なマフィアのボスを演じて役の幅を広げたエリック・ツァンだが、彼は映画界に入る前はプロのサッカー選手だったそうだ。
以前の作品ではコミカルな役柄中心で、『アクシデンタル・スパイ』の探偵や『ジェネックス・コップ』の上司役といえば分かるだろうか。1980年代には監督としても活躍しており、中でも『悪漢探偵1、2』(1982、1983)は傑作だ。ジャッキー・チェン監督・主演の『サンダーアーム』も元々はエリック・ツァンが監督だった。しかし、冒頭のアフリカの遺跡(撮影はヨーロッパだが)のシーンでジャッキーが頭蓋骨骨折をして撮影が長期中断したためエリック・ツァンは降板し、再開後はジャッキーが監督も務めることになった。なるほど、それを聞いてから観てみるとたしかに冒頭のシーンとそれ以降は演出のタイプが違う。エリック・ツァン担当の部分はギャグも多く演出も軽快だがアクションがちょっと迫力に欠ける。
爆笑問題の田中の身体に若き日の谷啓の頭をくっつけたようなエリック・ツァンは、背も低い上に太っていてずんぐりむっくりなのだが、さて一体どのポジションを担当していたのだろうか。足も短くあまり速くは走れなそうなので、オフェンスではなくディフェンスだと思うのだが。ゴールキーパーは身体が大きい方が有利だからこれもちがうだろう。
現役時代の映像や写真は見たことがないが、ジャッキー・チェンやユン・ピョウなどの香港サッカーチームが日本に遠征してきた時にエリック・ツァンもその一員だった。対する日本チームには明石家さんまなどがいた記憶がある。ゲーム中に全然関係ないフィールドの隅で意味なくジャッキー・チェンがバク転していた。あの試合は一体何の企画だったのだろうか?
だいぶと話がずれたが『チャンピオン鷹』である。監督・製作・脚本とユエン一族で固められている。ユンとユエンが混ざっているが漢字だと全員「袁」だ。製作のユエン・ウーピンはマトリックスのアクションコーディネーターをやった人だ。
ストーリーとしては、田舎から出てきた青年が得意のカンフーのキックでサッカーボールを蹴ったらすごいシュートになって、それがきっかけで草サッカーチームに入る。そして、プロサッカーチームが入団テストを行うというので友人と一緒に受けに行くが、そのチームのキャプテンであるサッカー王は以前ユン・ピョウがちょっとしたはずみで大恥をかかせてしまった相手。
手違いで合格してしまったユン・ピョウにサッカー王のイジメが襲いかかる。ついには選手から雑用係に格下げになってしまったユン・ピョウだが、それでもくじけずにサッカーの練習を続ける。選手のロッカーに洗濯したてのタオルと入れる時だって、手ではなくカゴから放り投げたタオルを足でシュートして入れる。
なんだかんだあったあげく、チームを飛び出したユン・ピョウはライバルチームに移籍し活躍することになる。怒ったサッカー王はユン・ピョウと決着を付けるべく挑戦状を叩き付ける。そこには負けた方は足を斬られるとの条件が書かれていた。
そしてついに試合がはじまった。
ユン・ピョウが実際にサッカーが得意なのかは知らないが、練習シーンでのボールさばきを見ていると結構上手いんじゃないかという気がする。肉体的訓練は充分すぎるほどに受けているし、小道具の使い方にも長けているはず。
ボールを片付けるときにも、コートに散らばったボールを蹴ってはダイレクトにボール入れにシュートする。中にはトリック撮影を使ったシーンもあるが(SFXや特撮とすら呼べない原始的なトリック撮影だ)、ほとんどはユン・ピョウ自身がやっているシーンがほとんど。
「そんなことをいっても、カンフーが得意だからってサッカーはまた別物。本当の試合ではそんなのは通用しない」と怒る人もいるだろうが、まあ細かいことを気にするなとだけ言っておく。
最後には降ってきた雨でコートがドロドロになり選手たちが足を取られて転ぶ中、野生児ユン・ピョウだけは裸足になって自在に駆け回りゴールを決める。そして試合は終了。同点の場合はユン・ピョウチームが勝ちとの約束なためサッカー王は足を斬られることに。
いくらなんでも本当には切らんだろうと思って観ていたら、巨大な刃物が登場。切れ味が鈍そうなのがさらに恐怖をそそる。逃げだそうとして取り押さえられるサッカー王。・・・おいおい。
後日、ユン・ピョウと友人、そして友人の妹が街を歩いている。角を曲がると道ばたに“いざり”の乞食が座っている。
「右や左の旦那様~」と乞食が顔を上げると、これが両足を失った元サッカー王。
ユン・ピョウと友人が「うひゃぁ」と飛び上がってそのままストップモーションになって「終劇」。ストップモーションで終わるのは香港映画ではありがちだが、どんな終わり方だそれは。後味が悪くて爽快感がないぞ~。香港の人にはこのラストはOKなのだろうか。やはり三国志や水滸伝、西遊記の国の人ってことか。
ちなみに友人の妹はムーン・リーでかなり可愛い。1980年代のムーン・リーは良いね。しかも『天使行動』(1987)ラストでの女悪玉(香港で活躍する日本人アクション女優の大島由加里)との戦いでわかるけどアクションもかなり出来る。共演の西城秀樹(出てたんだよ)のへなちょこアクションが引き立て役になってよけいと強そうだ。