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『スウィート・ロード』 こっちにはパックス・パワーグローブがあるぜっ!

『スウィート・ロード』(1989) THE WIZARD 99分 アメリカ 1991/11/22鑑賞

監督:トッド・ホランド 製作:デヴィッド・チショルム、ケン・トポルスキー 製作総指揮:リンズレイ・パーソンズ・Jr 脚本:デヴィッド・チショルム 撮影:ロバート・イェーマン 音楽:J・ピーター・ロビンソン
出演:フレッド・サヴェージ、クリスチャン・スレイター、ボー・ブリッジス、ルーク・エドワーズ、ジェニー・ルイス

 『スウィート・ロード』なんて感傷的っぽいタイトルがついているが原題は『THE WIZARD』。ウィザード=魔法使いは主人公の一人で、自閉症児だがNES(ファミコンのアメリカにおける商品名)をやらせたら魔法のように華麗な技を見せる男の子ジミーのこと。ひたすらにカリフォルニアへと行きたがるジミーを見て兄のコーリーは「親たちは頼りにならない」と決意し、ジミーを連れて子供二人きりで西に向かって旅立つところから物語は動き出す。
 ゲームセンターでジミーがハスラーまがいに対戦して旅費を稼ぎ、途中で知り合った女の子が「ゲーム大会に出場しよう」といいだして旅に同行する。そんな彼らを、父(ボー・ブリッジス)と兄(クリスチャン・スレーター)が車で追いかる。
 何故ジミーはカリフォルニアに行きたがるのか。両親の離婚でばらばらになってしまった家族はこれからどうなるのか。お子様が主人公だが、なかなかに味わいのあるロードムービーである。

 ゲームを通してしか他人と触れ合えないジミーに対して「ゲームなんか下らない」とはねつけていた父親が、ついに頭に来たクリスチャン・スレーターから激しく非難される。そして次の朝、モーテルのベッドで目を覚ましたクリスチャン・スレーターはテレビの前に座ってNESのゲームに一晩熱中していた父を見つける。『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』のゲームにハマった父は寝不足のため赤い目で「やった、竜巻の技を会得したぞ」とか喜んでいる。好きなシーンだ。
 旅を続ける三人の前に地元のゲーム名人と取り巻きのガキどもが立ちふさがる。有り金全部を賭けて勝負することになるが、顔にかかる前髪をフッと払うキザなゲーム名人が「オレは無敵さ!なんたってこいつがあるからな」とゲーム機を前に取り出したのが『パックス・パワーグローブ』だった。
 知っている人は知ってるが知らない人は知らないだろうから説明しておくと、『パワーグローブ』とは肘ぐらいまでの長さがある手袋状のデバイスで、腕の傾きや指の動作がファミコンのコントローラーにある十字ボタンやABボタンの役割を果たしてくれるという“画期的”な入力装置だった。あまりの画期的さ故にあまり売れなかったようだし、そのせいか製造先である『パックス』も倒産してしまった。しかし、後にモニターの前で剣を振り回したりサッカーボールを蹴る入力装置も登場している。ゲームセンターでヒットしたコナミの『ギターフリークス』なども変わり物系入力装置。『パワーグローブ』の理念は消え去ってはいないのだ。
 だが、ゲーム名人がプレイする様はどう見てもやりにくそうだった。しかも対戦するゲームがレースゲームときたもんだからハンドルを切るのもアクセルやブレーキも一苦労。それで敗れたりとはいえ接戦までもちこんだんだから、普通のコントローラーを使ってたら楽に勝ってたんじゃないか?ちなみにパワーグローブを使っているのを見たのは現実でもメディア上でもこのシーンしかない。

 『スウィート・ロード』には関係ないが、今度『スターウォーズ ジェダイの訓練キット』ともいうべきおもちゃが発売されるらしい。『スターウォーズ 新たなる希望』の中盤、ミレニアムファルコンの中でルークがやっていた訓練をモデルにしているそうで、ライトセーバーと映画では宙に浮かんでいた白球がセットになっており、それをテレビにつないで遊ぶそうだ。面白そうでちょっと欲しい。
 別にわたしは『スターウォーズ エピソード4~6』が嫌いなわけじゃないのだ。まるっきりダメな作品だといってるわけではなくそれなりに評価はしている・・・低いけど・・・特にエピソード4。ただ、公開時に見た人がかなり衝撃を受けたのかいまだにそこから抜け出せておらず、神格化して崇め奉っているのが嫌いなのだ。あれこれ言おうなものなら聖地に土足で入ってきた相手に対する「異教徒めっ!」といった目で見られるのが嫌だ。そこまでの作品じゃとうていないと思うんだがなぁ。それとエピソード1~2は意外性もないほどにクソ。『エピソード3 シスの復讐』もクソなんだろな。

 終盤のゲーム大会はなかなかに盛り上がる。そして、ジミーがなぜカリフォルニアに行きたがったのかもラストに分かり、ちょっとしんみり。 ほとんど知られていない作品だと思うが案外と良作だった。
 いかにも低予算っぽくて、ボー・ブリッジスが出演しているのはまあ分かるが、クリスチャン・スレーターは何故出ているのだろう。本格的に売り出す前ではあるか。

 だが物語においてテレビゲームが大きな意味を持つ映画はまず日本においてこそ先に作られるべきではなかったろうか。『ノーライフキング』(1989)があるといえばあるが、あれは原作小説の方がずっと面白いし、監督の市川準はビデオゲームのことなどほとんど理解していない。
 結局、日本映画の作り手のメインにいる人は年を食って頭が固いか、映画業界しか知らなくて視野が狭いかになっているのではないだろうか。テレビゲームもパソコンも知らない事、関係ない事という存在でありそうだ。そのくせ流行とか若い人にウケようとか考えているので寒くて痛い外し方をするのだ。若い監督はましになっているようだが、三十半ばにもなって“新人”扱いなのは映画業界ぐらいなものだろう。
 大体、『電車男』映画化ってなんね。あれはそれこそネットの即時性を活かしたイベント(?)であって、ほぼリアルタイムで出来事が進行していく、自分の書き込みが電車男の行動に影響して状態が変化していくのがおそらく面白かったのであって(ネットでの騒ぎを見ていないんで知りませんが)、それを小説にしたり、この間本屋で見かけたがマンガにしたり、この時点ですでにネタとしては古くなってとっくに過去になっているのにさらに映画化・・・寒いよ~痛いよ~
 時間の感覚が映画界とネット界では大幅に違うと思うんだけどね。

2007年12月12日 追記
 どうやら勝ったのはジミーじゃなくて、パックス・パワーグローブ使いの少年だったようだ。
 14年前に観たきりの私の穴だらけな記憶で書いたので間違ってしまった。やはり、可能な限り観直してから書くべきだった。申し訳ない。

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