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『パニッシャー』2004年版 どっちも自業自得

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『パニッシャー』(2004) THE PUNISHER 123分 アメリカ 2005/06/16レンタルDVDにて鑑賞

監督:ジョナサン・ヘンズリー 製作:アヴィ・アラッド、ゲイル・アン・ハード 脚本:ジョナサン・ヘンズリー、マイケル・フランス 撮影:コンラッド・W・ホール 音楽:カルロ・シリオット
出演:トム・ジェーン、ジョン・トラヴォルタ、ウィル・パットン、ジョン・ピネット、ロイ・シャイダー、レベッカ・ローミン=ステイモス、ローラ・ハリング、エドゥアルド・ヤネス、ベン・フォスター

 原作はマーベル社のアメリカンコミックで、すでに1989年にドルフ・ラングレン主演で映画化されているが、どうも1989年版はなかったことにさてれる感じがする。気持ちはわからないでもない。
 今回主人公のパニッシャーを演ずるのはトム・ジョーン(トーマス・ジョーン)。『ディープ・ブルー』や『ドリーム・キャッチャー』の時は気付かなかったのだがクリストファー・ランバートに見えてしょうがない。「いや違う、ランバートじゃないんだ」と思い込もうとすればするほど、馬面な長い顔とはれぼったいまぶたがランバートに見えてくる。いや、ひょっとしたらクレジットに嘘が書いてあって、実は本当にクリストファー・ランバートなのかもしれない。そういや最近見ないな、クリストファー・ランバート。

 主人公である潜入捜査官が担当していた事件で一人の若い犯罪者が射殺される。この犯罪者が単なるチンピラではなく犯罪組織のボスの息子であったために主人公の不幸は始まる。
 組織のボス(ジョン・トラヴォルタ)の妻は復讐のために主人公とその一族の皆殺しにするように指示する。そして、主人公の父親(ロイ・シャイダー)が住む海辺の家に一族がお祝いで集まっていたところを殺し屋の集団が襲撃する。
 主人公は特殊部隊でテロ対策の専門家などの経歴があるという設定にもかかわらず数人しか倒せなくて案外情けない。ここで敵を全滅させておけば映画はそこで終わってくれたのに。ランボーやジョン・マクレーンだったら絶対に勝ってたな。
 結局、女子供を含んだ一族は皆殺し。ロイ・シャイダーもあっけなく死ぬのでどうやら特別出演だったらしい。息子と妻も殺し屋の運転する車に轢き殺され、自分は銃で何発も撃たれたあげくに爆発で吹っ飛ぶ。
 ところがどういうわけか生き残っていて、謎の多い黒人に助けられ傷を癒やし体力を回復する。息子の贈り物であるドクロのマークが入ったTシャツを着てパニッシャーとなり帰ってくる。そして街は処刑場になった。
 ちなみに謎の黒人は最後まで謎のまま。

 元がアメコミで原作から大きく離れることが出来ないという制約もあるのだろうが、いくらなんでもありきたりで陳腐なストーリー。
 ジョン・トラヴォルタと息子の仇という組み合わせは『フェイス・オフ』があるし、ちょっとばかりチョウ・ユンファの『リプレイスメント・キラーズ』を思わせる。息子と妻が轢き殺されるシーンは、構図まで『マッドマックス』の一作目そのまま。というか、妻子を殺された警官が悪党どもにバイオレンスな復讐をしていくってのが、原作がそうなんだろうし、ありがちな設定だが『マッドマックス』だわな。
 ギターケースを抱えた黒いジャケットの殺し屋は『エル・マリアッチ』三部作(『デスペラード』『レジェンド・オブ・メキシコ』)のパクリだろ。オマージュだとは言わせねーぞ。
 パニッシャーの住処は下水道の奥だったはずだが、今回は安アパートに住んでいる。壁に大きな換気扇が付いていてこのファンがグルグル回っているのがかろうじて下水を思わせる。そのアパートには軽食堂で働く若い女性と顔中にピアスをした男、そしてアイス好きなデブが暮らしている。この三人との安っぽい友情がどうにもうっとおしくて必要を感じられない。復讐に生きるパニッシャーにも人間的な心が残っているとか言いたいのだろうが、だったらもっと脚本に頭を使ってくれ。
 アパートの庭で作り上げたパニッシャーカーはフロントやサイドに防弾シャッターがあり、エンジンも特製で馬力も速度もすごいのだが、ほとんど役に立たないまま壊れる。なんじゃそりゃ。防弾仕様は『ガントレット』のパクリか。

 その後、組織のチンピラの弱みを握って味方につけると、次々と組織の人間を処刑(殺して)いく。一族が襲われたときはへなちょこだったのに、パニッシャーに変身(いや、変身はしないが)してからはメチャメチャ強い。正面からぶつかるのではなく策略を張り巡らして、しかもそれがかなり卑怯で観ていて爽快感がない。アクションはあるのだが燃えない。おかげで観ているこっちは不完全燃焼。せっかくのジョン・トラヴォルタの悪役も魅力がなくてもったいない。というか、妻が浮気をしていると吹き込まれて苦しみ、騙されたまま妻とその浮気相手である信頼する部下を手にかけるシーンは可哀想なぐらいだ。

 ロシア人の殺し屋との格闘はギャグのつもりなんだろうか?シリアスな展開できていきなりあのシーンを入れる意味が分からん。『マッドマックス』を観ていたら、突然ジャッキー・チェンの『プロジェクトA2』が始まった感じで浮いているにもほどがある。しかも、隣人三人がオペラのレコードを流していて、その音楽がかぶってくるものだから、本当にわたしにどうしろっていうのっ?
 その後で拳銃を持った殺し屋たちがアパートに入ってくるが、その時の音声解説で監督?が「このシーンはサム・ペキンパーを意識したショットだ。スモークを焚いて広角で撮った」とか言ってるが、この映画のどこにサム・ペキンパーを感じろと言うのだ。あえていうなら、ショットガンでつま先が吹き飛ぶシーンが『わらの犬』っぽいがそれぐらいだろ。
 ラストの駐車場大爆発はどんなギャグだ、あれは。

 1989年版は劇場公開時に観たっきりでいろいろとトホホだった記憶があるが、それでもこの2004年版より面白いんじゃないだろうか?久しぶりに観てみるか・・・でもまだレンタルビデオ屋に残ってるかな。

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